[管理番号:2609]
性別:女性
年齢:39歳
初めて質問させて頂きます。
4年前から、年に一度、乳腺クリニックで乳がん検診を受けています。
毎年「右乳房に嚢胞が一つありますが、心配ありません」と言われていました。
昨年8月の検診で、その嚢胞とは別の場所に集簇した嚢胞が見つかりました。
右乳房の乳頭直下に4つ程の嚢胞が集まっており、一番大きなもので5ミリくらいとのことでした。
技師さんのエコーの後、医師自らエコーをして下さり「見たところ、ただの嚢胞と思いますけどねえ。
血流も無いし…。
ただ、一ヶ所に集簇している嚢胞は、稀に初期の癌が隠れている場合もあるので、念のため半年後に経過観察しましょう。」と言われました。
そして先日、半年後の検査に行って来ました。
エコーの結果、集簇した嚢胞は相変わらず存在するものの、大きさが小さくなっており萎みかけているとの事。
マンモも撮影しましたが、そちらも異常なしでした。
先生は「嚢胞は小さくなってきているので心配いりません。」と説明されました。
私が「悪性なら、小さくなることは無いのですか?」と尋ねると、「そうですね。悪性ならどんどん大きくなるので、小さくなることはありません」との事でした。
その時は安心して帰って来たのですが、帰ってからこちらのサイトを改めて読んでいて少し不安に思ったことがあります。
◯集簇した嚢胞は、トップページに記載の「腫瘤非形成性病変」に当たると思うのですが、私はマンモトーム検査も針生検もしていません。
画像だけで「問題ない」と診断されていますが、これを信じても良いのでしょうか?
◯嚢胞が小さくなっているということは、悪性ではないと考えて良いのでしょうか?ちなみに、昨年8月の検診は生理前で胸が張っている時期で、今回は生理直後の検査でした。
嚢胞は生理周期によって大きさが変化することもあると聞きますが、悪性なら生理周期にかかわらず小さくなることは無いのでしょうか?
次は半年後に経過観察に行くことになっていますが、このまま半年様子を見て良いのか、別の病院へ行ってみるべきか迷っています。
先生はどう思われますか?お忙しいところ恐れ入りますが、ご意見を聞かせて頂ければ有り難いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「昨年8月の検診で、その嚢胞とは別の場所に集簇した嚢胞」
「右乳房の乳頭直下に4つ程の嚢胞が集まって」
「一ヶ所に集簇している嚢胞は、稀に初期の癌が隠れている場合もある」
⇒ご本人の認識通り、「腫瘤非形成性病変」となります。
「嚢胞は相変わらず存在するものの、大きさが小さくなっており萎みかけている」
「悪性ならどんどん大きくなるので、小さくなることはありません」
⇒そう思います。
やはり、普通の「嚢胞」だった可能性が高いと思います。
「◯集簇した嚢胞は、トップページに記載の「腫瘤非形成性病変」に当たると思うのですが、私はマンモトーム検査も針生検もしていません。画像だけで「問題ない」と診断されていますが、これを信じても良いのでしょうか?」
⇒(最初の段階で、マンモトーム生検をすべきだったかどうかは別として)現時点で「小さくなっている」以上、経過観察とすべきでしょう。(確率的にはゼロではありませんが、大丈夫だと思います)
「◯嚢胞が小さくなっているということは、悪性ではないと考えて良いのでしょうか?」
⇒正確に言うと、「小さくなった」ということは、(それが)「ただの嚢胞である=癌細胞により拡張した乳管ではない」ということです。
腫瘤非形成性病変は「見た目が似ていますが」
癌の場合は「嚢胞ではなく、癌細胞により拡張した乳管の集簇」ということであり、「(普通の)嚢胞の集簇」の場合は「良性」なのです。
「嚢胞は生理周期によって大きさが変化することもあると聞きます」
⇒(ただの)嚢胞は「乳管の閉塞による拡張」です。
女性ホルモンによる線維化が「乳管を(器械的に)閉塞」し、(分泌液が)貯留して「嚢胞」となるのです。
これは、「生理周期により、線維化が弱まると、乳管の閉塞がゆるくなり縮小」するからなのです。
「悪性なら生理周期にかかわらず小さくなることは無いのでしょうか?」
⇒癌細胞の増殖による乳管拡張は、(癌細胞は増殖する一方なので)(一つ一つの拡張乳管が大きくなるというよりは)「拡張乳管の範囲が(全体として)大きくなる」ということです。
「次は半年後に経過観察に行くことになっていますが、このまま半年様子を見て良いのか、別の病院へ行ってみるべきか迷っています。」
⇒上記コメント通り、「小さくなった=可逆的な乳管の閉塞=癌では無い」と考えるべきです。
(万が一を考えたとしても)「半年に1回で十分」です。