[管理番号:2539]
性別:女性
年齢:33歳
はじめまして。
昨年乳がんが発覚し、まず全摘とリンパ郭清(レベルⅡまで)手術をしました。
結果はグレード3、リンパ転移2個、ホルモンどちらも強陽性、her2陰性、ki67値40%でした。
受精卵凍結を行い、今は術後化学療法(AC)をしています。
後半はドセタキセルの予定です。
放射線はリンパ4個以下なのでしなくていいと思うとの主治医の話で、
化学療法後はホルモン療法に入る予定です。
リュープロレリン注射(2~3年?)と、薬の服用を5年です。
妊娠希望なので10年ではなく5年希望ですが、
ホルモン療法終了後すぐに生理が戻るわけではないことを考えますと、
年齢を考えると微妙なところで、5年でも悩んでおります。
個人差はあるかと思いますが、ホルモン療法終了後どの程度で妊娠可能になるのでしょうか。
3年と5年ではどの位再発率の差があるのかも知りたいです。
また、局所と全身なので別物ではありますが、ホルモン療法を短くする場合、放射線を加えた方がよいという事はありますか?
結婚直後に乳がんが発覚し、妊娠を諦めたくない気持ちでいっぱいです。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
乳癌の「術後療法」と「妊娠」については「若い年代の乳癌が増えている」ことと、「社会としての晩婚化」の2つの側面から(従来と比較して)非常に多い悩みとなってきています。
「個人差はあるかと思いますが、ホルモン療法終了後どの程度で妊娠可能になるのでしょうか。」
⇒2カ月間は「タモキシフェンの代謝」を考えて空けるべきです。
この質問の意味が「抗がん剤⇒LH-RHagonist、タモキシフェン」終了後、どの位で「卵巣機能が回復するのか?」となると個人差があり、予想するのは困難です。
ただ、「凍結卵子」を用いるのは2カ月以上空ければ大丈夫だということです。
「3年と5年ではどの位再発率の差があるのか」
⇒3年と5年の比較はありません。
2年と5年ならば、以下の2つの試験があります。
7%程度ということです。(但し、対象者が閉経後となっています)
2年と5年の比較試験は以下の2試験です。
Swedishらのtrial
閉経後の3887例を対象に
TAM2年(1801例)と5年(1744例)を比較し、
10年間の無再発生存率および10年生存率を評価した試験です。
結果は、5年間投与した群の方が、2年間投与群と比べて、どちらの評価項目とも有意に改善してます。
(5年vs2年;無再発生存率;73%vs67%;p=0.009、生存率;80%vs74%;p =0.03)
書誌事項 Swedish Breast Cancer C.G:Journal of the National Cancer Institute, 88(21)1543-1549(1996)
CRC trial
50歳上 stage T1−T3 2937例を対象に
2年(1470例)と5年(1467例)を比較し、
無再発生存率が5年投与群で有意に改善していた。
生存率は有意差なし。
書誌事項 CRC BC Trials Group:Journal of the National Cancer Institute, 88(24)1834-1839(1996)
「また、局所と全身なので別物ではありますが、ホルモン療法を短くする場合、放射線を加えた方がよいという事はありますか?」
⇒無関係です。
「結婚直後に乳がんが発覚し、妊娠を諦めたくない気持ちでいっぱいです。」
⇒妊娠出産自体は「再発率を高めない」ことが解っているので、「化学療法終了後」⇒妊娠出産⇒「ホルモン療法」という手もあります。