[管理番号:2210]
性別:女性
年齢:41才
色々調べていてこちらのHPへたどり着きました。
回答を見ていて今まで思っていたより同じ病気の方がいらっしゃる事や症状がある事にびっくりしております。
お忙しい中申し訳ございませんが今後の治療や再発について不安でいっぱいです。
先生のご意見お願いしたいです。
19日に手術になりますが、未だに全摘が温存か悩んでいます。
針生検での病理結果
しこり=左胸の右下に、7㎜と3mm(同じタイプなので根っこはつながっていると説明を受けました。)ふたつ約10mm離れてある。
ER+8
PR+8
HER2+1
Ki67=30%
CT検査、血液検査の結果=リンパやその他には転移なし
初めの説明では温存でくり抜き法で形はそんなに変わらないと説明を受けましたが、手術の説明では先生が変わり、扇形4/1切除(予定では4cm範囲で)と説明されました。
全摘=同時再建を考えていましたが、遠方の大学病院でないとできないと言われ、子供が小さいことや転勤先のためたよる人がいない事、仕事を続ける事などふまえ断念しました。
担当医の説明では初めから温存の説明しかしなかったので、先生がそういうのなら大丈夫なのなかという事と、形が変わっても残したい気持ちもあり、温存の方向で行こうと思っていますが、やはり再発が怖く全摘の方が良いのではと直前で悩んでいます。
そこで先生に聞きたいのですが、
①しこりは小さいですが、ふたつあるという事は浸潤範囲も広いのでは?
②主治医の先生からは再発の可能性は10%~15%と説明を受けましたが私の症状だと本当にそのくらいの再発率でしょうか?
③病巣の広がりで再度手術になるかもと言われましたが、だったら初めから全摘してしまった方がよいのではと思いますが、再手術になるケースは結構あるのでしょうか?
④手術後に病理検査をまたすると言われましたが、現段階では、ホルモン療法がよく効くタイプなので、ホルモン療法のみを予定。
センネルリンパ節生検で転移があったり、病巣により+化学療法をするといわれました。
HER2+1は陽性ということですか?(ネットで調べたら+が陽性とか、
1は陰性とかよく分からなくなってきまいした)ということはトリプルポジティブしかもKi30%だと化学療法はするのでは?
その場で質問すれば良かったのですが、手術が近づくにつれ色々考えてしまい不安になってきました。
お忙しいところすみませんがよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「しこり=左胸の右下に、7㎜と3mm(同じタイプなので根っこはつながっていると説明を受けました。)ふたつ約10mm離れてある。」
⇒これは、(別々の乳管に全く別個に、たまたま同時にできた)所謂「多発」とは異なります。
同一乳管内にできた「別々の浸潤巣」と考えてください。
「乳頭から乳腺の裾野へと延びる管」をイメージしてみてください。
♯スキーをする方なら、(ゲレンデマップで)「山頂から、下にあるリフト乗り場へ向うコース」を思い浮かべる」といいです。
この「乳管」の中の1箇所に「癌ができ、この乳管内に伸びた」、そして離れた部位で「乳管から外へ出てシコリを形成(=これを浸潤といいます)」したのです。
つまり、これら2つの腫瘍は「乳管内を拡がる癌=非浸潤癌」で連続していると考えられます。
cT1b, cN0, cStage1, luminal typeですね。
「①しこりは小さいですが、ふたつあるという事は浸潤範囲も広いのでは?」
⇒上記コメントでお解りいただけましたか?
あくまでも「乳管内病変(癌)で連続しているだけで」浸潤範囲は小さいと思います。
「②主治医の先生からは再発の可能性は10%~15%と説明を受けましたが私の症状だと本当にそのくらいの再発率でしょうか?」
⇒これは「乳房内再発」ではなくて、「遠隔転移再発」のことですね?
ほぼ10%です。(ホルモン療法をすることで)
「③病巣の広がりで再度手術になるかもと言われましたが、だったら初めから全摘してしまった方がよいのではと思いますが、再手術になるケースは結構あるのでしょうか?」
⇒結構あったら大変です。
勿論施設によって異なり(マージンの付け方や精度によって異なる)ますが…
因みに江戸川病院(全例、私が執刀ですが)では「1%程度」です。
「HER2+1は陽性ということですか?」
⇒陰性です。
「1+」という表記が誤解を招くようです。
これは「染色の程度」をしめすもので、
「0」「1+」:陰性
「2+」⇒FISH法で確認が必要 ♯「2+」の25%でFISH法で「陽性」となります。
「3+」:陽性
「トリプルポジティブしかもKi30%だと化学療法はするのでは?」
⇒「HER2は陰性」です(上記コメントどおり)
Luminal typeとなります。
「Ki67=30%」というのは、確かに微妙な値ですが(luminalA/B境界として)「浸潤径が1cm以下=pT1b」であれば「化学療法は不要」と思います。