[管理番号:1853]
性別:女性
年齢:39歳
はじめまして。同時再建について質問させて下さい。
私は10月○○日に乳ガンを告知されました。
○○のブレストセンターにてマンモ、エコーを経てMRIの検査後、広がりがあることから全摘を医者に言われました。
そして10月25日に針生検をし、乳頭腺管癌との診断でした。
そのお医者様は、よそに行ったらどこでもあなたは全摘と言われるでしょう。
でもうちなら温存できますよ。と言いましたが、なぜどこに行っても全摘の診断がつく私に対してこの先生は温存できますと言うのだろうと悩んだあげく、転院をする事にしました。
転院先の病院では、やはり全摘と言われましたが私は命を優先したいので全摘は受け入れようと思っていた矢先、その先生から同時再建のお話が出ました。
しかし私はリンパ転移の疑いがあるとMRIで出ていたため、無理ではないか、と先生に言いましたら、先生は自家再建なら可能だと言いました。
放射線治療をしてから自家再建するのと、はじめから自家再建して放射線治療するのとではあまり差はないというような印象を受けました。
本当にそのようなことは可能なのか、また、それに伴うリスク、全摘後同時再建での再発などは、どうやって調べることができるのかおしえて頂きたく思います。
私の今ある情報は針生検の報告書のみです。
Papillotubular carcinomaが見られる。
乳管内成分は乳頭状ないししじょう構造をとっている。浸潤部は細管構造が目立つが充実性胞巣も見られる。
核グレード1(2+1)
脈管侵襲像は明らかでない。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「先生は自家再建なら可能だと言いました」
⇒可能です。
特に問題はありません。
最近では「組織拡張器(ティッシュエキスパンダー)」を「(シリコン)インプラント」に入れ替えてから「放射線照射」する施設も増えてきました。
「全摘後同時再建での再発などはどうやって調べることができるのか」
⇒「超音波」すれば解ります。
「再建乳房」が無い方が「解り易い」ことは事実ですが、「超音波すれば検査できます」
質問者様から 【質問2】
田澤先生、先日は同時再建についての質問にご回答していただきましてありがとうございました。
慣れない携帯からの投稿で文章も覚束なく、それでも回答して下さった事に思わず喜びを感じてしまいました。
乳ガンと言われてから毎日のようにこのサイトを興味深く読ませていただき、田澤先生の信念を持った姿勢に心打たれました。
なぜどのお医者様も田澤先生みたいにならないのでしょう??
最初に受診したクリニックの先生は
まるで私のことをお金にしか見えていないようでした。
前置きが長くなり申し訳ございません。
再度質問させていただきたく、
お忙しいとは存じますが、どうぞ宜しくお願い致します。
まだまだ無知でお恥ずかしい限りですがまず、放射線治療についてです。
全摘後同時再建し、リンパ転移していた場合に放射線治療をするとの事で、放射線治療をする必要があるということは理解したのですが、何のために放射線治療をするのかの理解がなかなか深まりません。
また、私はどのタイプに位置しているのかはまだ分からないのですが、
(MRIの結果ではシコリ22mm、エコーではもう少し小さいだろうとのことでした)もしルミナールAだとして、リンパ転移が4つ以上の場合は放射線治療を受けた後に抗がん剤とホルモン剤の両方を受けるという流れになるのでしょうか。
それから転移についてです。
遠隔転移した場合は根治できないなどの情報を見ますが、それはなぜですか?
最後に。
浸潤癌で全摘したとしても再発の可能性があるのでしょうか?
その場合は手術の取り残しと言うことになるのでしょうか。
たくさん質問してしまいましたが
どうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「全摘後同時再建し、リンパ転移していた場合に放射線治療をするとの事で、放射線治療をする必要があるということは理解したのですが、何のために放射線治療をするのかの理解がなかなか深まりません」
⇒ここに関しては、単純に「臨床試験の結果」です。
理論が先では無く、あくまでも乳房全摘後に「放射線照射した群」と「放射線照射しなかった群」にわけて予後を検討した結果「リンパ節転移の個数」によっては(局所制御のみならず)『生存率も改善した』のです。
○ここからは、あくまでも推測ですが、
「胸壁及びリンパ節照射」によって「胸壁再発⇒血行性転移」や「リンパ節転移⇒節外浸潤⇒血行性転移」の抑性になりそうです。
「もしルミナールAだとして、リンパ転移が4つ以上の場合は放射線治療を受けた後に抗がん剤とホルモン剤の両方を受けるという流れになるのでしょうか。」
⇒順番としては「化学療法」後に「放射線治療」です。(ホルモン療法はそれらに併
用できます)
「遠隔転移した場合は根治できないなどの情報を見ますが、それはなぜですか?」
⇒これは「正確」には誤りです。
20年間を超えて「完全寛解」する例が2~3%存在すると言われています。
ただ、私の経験ではそういう症例は「骨やリンパ節」などであり、「肝や肺などの臓器転移では困難」です。
○局所(乳腺及び領域リンパ節)とは異なり、「遠隔転移は血行性転移」であり、
「血液の流れにのり、臓器に生着」した訳ですから、すでに「全身のいたるところに生着」している可能性が高いのです。
それで「何度、抗がん剤でたたいても」モグラたたき状態となってしまうのです
「浸潤癌で全摘したとしても再発の可能性があるのでしょうか?その場合は手術の取り残しと言うことになるのでしょうか。」
⇒「再発」と言っても「遠隔転移再発」と「局所再発」に分けて考える必要があります。
癌である以上、「全摘」しても「遠隔転移再発」のリスクはあります。
「局所再発」の場合は「手術の取り残し」であることが大部分です。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、先日は質問に答えてくださりありがとうございました。
大変わかりやすく、おかげさまで疑問を解消することができました。
昨日転院した病院を受診しました。
また疑問がでて参りましたので質問させて頂きたくお願い致します。
PET検査の結果、しこりは25mmで、リンパの転移疑いがあるとのこと。
また、前の病院では全く言われなかったのですが他に何カ所かガンらしきものがあるということでした。(広がり、という事なのか?)
やはり温存は難しいので、最初のお話通り全摘が良いでしょうとのお話でした。
また、同時再建については後日担当の先生とお話することになりました。
質問です。
リンパ転移が仮に四個以下の時、放射線治療等無しになるわけですが、自家細胞での同時再建は万が一後日再発や転移が起きたときまた手術するなどの大変なリスクを伴うことになるのでしょうか。
また、先生から疑いがあるのでリンパを10個は取ります。
と言われたのですが10個取るとはどういう意味なのでしょうか?
何個もリンパはあるのですか?
10個取るということは、転移は10個で抗がん剤、放射線治療の対象になるということですか?
リンパに転移していたら血管へも転移しているとの判断になりますか?
また、ガンらしきものが何個もあるという事は、予後に影響があるのでしょうか。
ステージは2bと言われました。
まだ子供が10歳と6歳です。
旦那さんと一緒に歳を取って、孫をこの腕に抱くまで、私は生きていられるのでしょうか?
先の見えない不安で押しつぶされそうです。
宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「自家細胞での同時再建は万が一後日再発や転移が起きたときまた手術するなどの大変なリスクを伴うことになるのでしょうか」
⇒全摘後の「局所再発」は非常に稀で、「ほぼ無し」と考えて結構です。
「遠隔転移再発」の場合には「手術はしない」ので、「自家組織再建」で問題になる事態はおよそありません。
「先生から疑いがあるのでリンパを10個は取ります。と言われたのですが10個取るとはどういう意味なのでしょうか?」
⇒意味不明ですが…
おおかた、「きちんと郭清する」の「おしゃれな」表現なのでしょう。(リンパ節の個数は個人差があり、きまってはいません)
「何個もリンパはあるのですか?」
⇒あります。
個人差もありますし、通常「レベル3まで郭清」すれば20個位はあります。
(しばしば経験する事ですが)80台後半などの高齢者は「殆どリンパ節が無い」こともあります。
「10個取るということは、転移は10個で抗がん剤、放射線治療の対象になるということですか?」
⇒全く違います。
「転移の個数とは無関係に、(転移していないところまで)リンパ節を余分に取る」ということです。
「リンパに転移していたら血管へも転移しているとの判断になりますか?」
⇒違います。
「リンパ行性転移:リンパ管を通ってリンパ節へ」と「血行性転移:血管を通って遠隔臓器へ」は全く別の物です。
「ガンらしきものが何個もあるという事は、予後に影響があるのでしょうか。」
⇒PETの評価のようですが、「乳腺内に複数小さなものがある」としても「何ら予後には影響」しません。
「旦那さんと一緒に歳を取って、孫をこの腕に抱くまで、私は生きていられるのでしょうか?」
⇒大丈夫です。
ステージ2Bならば「無再発」の方が圧倒的に高いのです。
質問者様から 【質問4】
お世話になっております。
先日同時再建について質問した者です。
先日はお忙しい中ご回答いただきまして大変ありがとうございました。
あれから形成外科の先生とお話した上で自分なりによく考えた結果、同時再建する事をやめに致しました。
するなら二次再建、今は治療に専念する事に致しました。
田澤先生にはそれまでの疑問点について迅速にお答えいただき、本当にありがとうございました。
手術も来年1月○日に決まり昨日手術の説明を受けて参りました。
手術は全摘で、リンパ郭清の予定です。
また田澤先生に教えていただきたく質問させて下さい。
リンパ郭清による腕への負担についてです。
良く重い物を持ってはいけないなど聞きますが郭清後は重い物は一生持ってはいけないのでしょうか。
また、小さな怪我や虫刺され等も良くないと聞きましたがそれも一生気をつけなければなりませんか?
それから抗がん剤治療中はやはり車の運転などはしないほうが良いでしょうか?
正社員で勤務しており仕事への負担もどの位なのか予想がつかないでいます。
私の場合、抗がん剤をやるなら3ヶ月か6ヶ月と医師からお話されました。
抗がん剤終了後でしたら身体への副作用は格段に変わりますか?
それともかなりの期間副作用は続くのですか?
また、ホルモン治療についても、どのような副作用となりますでしょうか。
やはり薬を服用している間、副作用はずっと続くのでしょうか?
また田澤先生に甘えてたくさん質問してしまいましたが何卒ご回答のほど宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
同時再建は辞めるとのことですね。
正しく理解された上での結論であればいいと思います。
「リンパ郭清による腕への負担についてです。良く重い物を持ってはいけないなど聞きますが郭清後は重い物は一生持ってはいけないのでしょうか。」
⇒一応、「一生」ということになっています。
まずは2年様子を見ましょう。
「また、小さな怪我や虫刺され等も良くないと聞きましたがそれも一生気をつけなければなりませんか?」
⇒同様です。
庭木いじりなどは「手袋をして」行いましょう。
「それから抗がん剤治療中はやはり車の運転などはしないほうが良いでしょうか?」
⇒大丈夫ですよ。
ただ「タキサン系」などは「アルコールで溶かしている」ので、その際には注意が
必要です。
「正社員で勤務しており仕事への負担もどの位なのか予想がつかないでいます。」
⇒副作用は個人差があります。
ただ、仕事を続けながらの人もいますよ。
「抗がん剤終了後でしたら身体への副作用は格段に変わりますか?それともかなりの期間副作用は続くのですか?」
⇒終了して3週間で「急性の症状は改善」します。
ただ「浮腫み」は1~2カ月程度、「痺れ」は半年程度の継続はあります。
「また、ホルモン治療についても、どのような副作用となりますでしょうか。」
⇒「ホットフラッシュ」です。
「やはり薬を服用している間、副作用はずっと続くのでしょうか?」
⇒大概は慣れてきます。(全く無くなる事はないですが)
質問者様から 【質問5】
いつもお世話になっております。
1853で質問させて頂いているものです。
先日、手術が決まってから胸のない自分を日々イメージし、術後のショックを大きくしないよう心がけていましたが、日が空いている為段々別の事が気になり不安になってきました。
いつでも自分の不安を解消してくれる先生が身近に(と言ってもお会いしたことはないのですが…)いる事が何より私の心のよりどころです。
お忙しいとは存じますが今回も質問させて下さい。
リンパの転移が一個画像で判断されてレベル1まで廓清予定ですがレベルは何を表しているのですか?
転移の重症度でしょうか?
そしてレベルにより何か変わるのでしょうか。
例えば、腕への負担はレベルがいくつでも変わりないものなのでしょうか。
また、前回虫刺されや小さな怪我にも一生要注意とお話しをいただきましたがもし、虫刺されや怪我をしてしまった時は自分はどう対処すれば良いですか?
利き腕ですし、子供が小さい為、連日で立て続けに怪我をすることもあると考え、不安になりました。
また、針生険の結果は信憑性が高いのでしょうか。
少し長くなりますが経緯をお話しいたします。
前医者は私が浸潤癌であるにも関わらず、PCで非浸潤癌の説明文と絵を使って、あたかも非浸潤癌であるかのように、『あなたの癌は管の中を広がって行くタイプです。
管を突き破るのは浸潤癌です。
あなたは早期だから摘出すれば治ります。
だから早くうちで手術しましょう』と何度も説明しました。
ですがリンパの転移については一切話してくれませんでした。
※私が浸潤癌だと気が付いたのは針生検の結果を自分で訳した時です。
(クリニックの為、針生検の病理診断は外部に依頼したもの)
この検査結果も、このサイトを見ていなければもらえるものだとは知らなかったし、『絶対に欲しい』と医師に言わなければファイルにしまわれてしまうところでした。
転院する時に、私は浸潤癌なのに、浸潤癌の絵で説明せず、なぜわざわざ非浸潤癌の絵で説明したのかと聞くと、
転院が気に入らなかったのか、
人が変わったように
『あんたが勝手に勘違いしたんだろ!私は一言も非浸潤癌だなんて言っていない!』と怒られ、
挙句には『お前はな、リンパ転移しているんだ。
お前は北斗晶と一緒なんだよ!!』とまで言われました。
そのせいでしばらく医師不審に陥りましたが
今ではそんなクリニックで手術しなくて良かったと思えるようになってきました。
が、しかしそんな医師のもとで受けた針生検は果たして本当に正しいものなのか、本当は進行が速いタイプなのではないのかと考えれば考えるほど恐ろしくなってしまいました。
ちなみにその医師は乳腺専門医で、後で調べたら温存率99%という怖い数字をたたき出している医師でした。
私はただ、3Dマンモがある病院を探して、そこにたどり着いただけなのですが、
考えてみればこの医師は、初めから私の事を『癌が見つかればどうせ温存したいと言う患者だろう』と思って接していたのだと後になって気づきました。
医師の性格や考え方はどうであれ、専門医である以上、検査の腕は確かだ、と思いたいのですが…。
告知から約三か月。
針生検の結果をもとに現在まで動いています。
PETCTは11/27に行い、リンパ転移一個だという結果でしたが、手術の1月までとても不安でなりません。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「リンパの転移が一個画像で判断されてレベル1まで廓清予定ですがレベルは何を表しているのですか?転移の重症度でしょうか?」
⇒違います。
(癌細胞が)リンパ管を通って、リンパ節に到達して、更に次のリンパ節へ到達するような「方向」があることをまずはご理解ください。
よく「リンパ節は関所」に例えられます。リンパ管を通って関署に到達した癌細胞は関所(リンパ節)に捉えられ、そこで留まるが、(癌細胞が次から次へと名がえてくると、関所(リンパ節では抑えきれなくなり)「関所破り」が起きます。すると次の関所(リンパ節)へ到達。そして「関所破り」が起こると、更に「次の関所(リンパ節)」へと拡がっていくのです。
ここで脱線しますが、関所には知識がないので私が好きな「東海道五十三次」を例に説明しましょう。
東京日本橋から京都へ至る宿場のことです。
(武蔵国)日本橋→品川宿→川崎宿→神奈川宿→程ケ谷⇒(相模国)戸塚宿→藤沢宿→平塚宿→大磯宿→小田原宿→箱根宿⇒(伊豆国)三島宿
ここでリンパ節は(武蔵国)をレベル1 (相模国)をレベル2 (伊豆国)をレベル3とみることができます。
つまり、(日本橋から)リンパ管を流れてきたリンパ節は最初(品川宿)に到達、そして順番に「川崎宿⇒神奈川宿⇒・・」と到達していきます。
そこで、その範囲を「出発点(日本橋)から近い順に」レベル1、レベル2、レベル3と名付けているのです。
○人間の体に話を戻しますが、
「脇の下(腋窩)に到達した」癌細胞は、腋窩を頸の方へ(リンパ管を通って)進みます。大胸筋の裏を通っていくのですが、途中「小胸筋が膜でしきっているので、小胸筋外膜までをレベル1、小胸筋の裏側をレベル2、小胸筋内膜より内側をレベル3と区別(ここまでは武蔵国、ここからここまでは相模国、その先は伊豆国のように)しているのです。
★質問者は「小胸筋膜より外側を郭清」することになるのです。
「腋窩~鎖骨下郭清には腋窩そしてレベルにより何か変わるのでしょうか。例えば、腕への負担はレベルがいくつでも変わりないものなのでしょうか。」
⇒実際は「腋窩郭清のレベル」と「腕への負担」は無関係です。
「腕への負担=腕からのリンパ流」は「レベル2、3と郭清を頸の方向へ勧めること」により障害されるわけでは無く、『レベル1の中で、どの程度まで腋窩静脈周囲や背中側を障害するか?』に関わっています。
つまり「レベル2,3の方向(頸の方向)」ではなく、レベル1でも「背中の方向や腋窩静脈の周囲」に「腕のリンパ流」があるので「レベル1をどのように(それらを損傷することなく)郭清するか?」が「腕の負担のポイント」なのです。
「もし、虫刺されや怪我をしてしまった時は自分はどう対処すれば良いですか?」
⇒炎症が酷くならない様に「早めに病院を受診」することです。
「また、針生険の結果は信憑性が高いのでしょうか。」
⇒何事もそうですが、
実際に行う「その人の技術精度」によります。
「PETCTは11/27に行い、リンパ転移一個だという結果でしたが、手術の1月までとても不安でなりません。」
⇒PETで何もかも解るものではありません。
そもそも私はPETは無駄な被爆だとおもっています(遠隔転移など有るわけ無いのです)
腋窩リンパ節転移に関しては「エコ―だけで十分」だし、「疑わしければセンチネルリンパ節生検を術中にすべき」です。
画像診断にばかり頼るのは「医療被曝に配慮が無さ過ぎ」と思います。
「手術までが不安」なのは誰しも一緒です。
乳癌はそれ程進行しない癌なので大丈夫です。
質問者様から 【質問6】
いつもお世話になっております。
先日右胸全摘、リンパ郭清手術が終わりましてまだ入院中です。
胸も全摘でしたが術前からイメージをしていたこともあり、落ち着いて自分の胸を直視する事ができました。
また術後病理結果が出ましたら田澤先生にお世話になりたいと思っています。
宜しくお願い致します。
昨日から皆さんの質問と回答を読み返していくうちに疑問がわきましたので、またどうぞ宜しくお願い致します。
リンパ郭清についてです。
あまりないとは思いますが、例としてセンチネルリンパをしたら一個転移していて、追加郭清した中で更にまた一個転移していたら転移数は二個になりますよね?
でも始めから郭清した人はセンチネルの転移も調べてから全体の
転移数が決まるのですか?
他の方の質問を探してみてもそのような質問は見つからなかったので、
お忙しいとは存じますがどうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
無事に手術が済んで良かったですね。
回答
「あまりないとは思いますが、例としてセンチネルリンパをしたら一個転移していて、追加郭清した中で更にまた一個転移していたら転移数は二個になりますよね?」
⇒その通りです。
「でも始めから郭清した人はセンチネルの転移も調べてから全体の転移数が決まるのですか?」
⇒何か「勘違い」をされているようです。
○郭清するリンパ節の中に「センチネルリンパ節は当然含まれている」のです。
例として
Aさんが手術をされるとします。
①センチネルリンパ節生検をした場合
最初に「入口のリンパ節」を「センチネルリンパ節」として取りだす。「このリンパ節に転移あり」⇒追加郭清として「9個追加郭清したらそのうち1個が転移」
⇒結局10個郭清したうちの2個に転移
②最初から郭清した場合
上記10個を(最初から)郭清してうち2個が転移(入口のリンパ節をセンチネルリンパ節として区別していないだけで、取っているリンパ節は①と全く一緒です)
★センチネルリンパ節はたんに「郭清するリンパ節の一番入口」というポジションにすぎないのです。
質問者様から 【質問7】
田澤先生、お世話になります。
昨日病理結果を聞きに病院へ行きました。
が、結果は最悪なものでした。
初めに聞いていた内容とはかなりかけ離れていて結果についてショックが大きすぎて、もう自分自身どうしていいのかわかりません。
手術さえすれば治るものと思っている家族や周りに申し訳なくて申し訳なくて…。
結果を知れば知るほど悪いことばかりで希望の持ちようがありません。
病理結果は患者からの問い合わせやトラブルが多いため、渡せないという事で主治医に書いてもらいました。
乳頭腺管ガン
浸潤径60mm
リンパ転移(6/16)
リンパ管侵襲(+)高度
静脈侵襲(+)三カ所
ホルモン受容体(+)
HER2陰性(0)
組織異型度グレード
2(2+2) ki67 未測定
かなり進展していて、断
端露出(ー)
だがマージンはかなりギリギリだそうです。
サブタイプはルミナルBと思われる。
ステージはⅢAです。
進行ガンですよね?
今後の方針はまだ決定ではありませんが
再発のリスクはかなり高いと言うことでEC3ヶ月、ドセタキセル3ヶ月の計6ヶ月。
その後放射線治療、注射を二年から三年、
ホルモン剤治療。
ホルモン剤は併用するかは不明です。
私の治療方針はこれで完璧なのでしょうか?
これを乗り越えれば私にも希望がありますか?
10年、20年と旦那さんと子供達と共に生きていける望みはありますか?
先生は他の方への回答で『私の経験上では「腫瘍径(浸潤径)」が最も要注意だと感じています』とおっしゃっていましたが、私はその要注意で予後は悪いという解釈にしかなりません。
シコリは25mmでもこんなに浸潤していたら再発はかなりの確率で発生しますよね?
リンパ管侵襲、脈管侵襲、こんなにしていたら近い将来私は必ず遠隔転移しますよね?
もう、死しか見えません。
今は絶望的な事ばかりしか考えられません。
手術が終わってようやく前向きな気持ちがもてるようになっていたのに…。
Q&Aを見ても私よりいい結果の方ばかりが目に付いてしまいます。
なぜ私はこんなに悪い結果なのか。
生きていくことを拒絶されているのか。
ガンになって、気づくのが遅かった自分が悪いのですが私に希望はあるのでしょうか?
普通の、人並みの生活はもう送ることはできないのでしょうか?
光が欲しいです。
田澤先生から 【回答7】
こんにちは。田澤です。
pT3(60mm), pN2, luminal, HG2
「EC3ヶ月、ドセタキセル3ヶ月の計6ヶ月。」
⇒同意見です。
pT3, pN2であれば「アンスラサイクリン+タキサン」がいいと思います。
「その後放射線治療、注射を二年から三年、ホルモン剤治療。」
⇒SOFT試験から「化学療法後に月経再開した方にはLH-RHagonistが有効」であることがわかっています。
LH-RHagonistの併用は(開始の時期は別として)当然と言えます。
「私の治療方針はこれで完璧なのでしょうか?」
⇒その通りです。
「化学療法(アンスラタキサン)」「ホルモン療法(タモキシフェン+LH-RHagonist)」「放射線照射」全て必要です。
「これを乗り越えれば私にも希望がありますか?10年、20年と旦那さんと子供達と共に生きていける望みはありますか?」
⇒当然です。
「根治」してしまう可能性の方が高いことを明記しておきます。
「先生は他の方への回答で『私の経験上では「腫瘍径(浸潤径)」が最も要注意だと感じています』とおっしゃっていましたが、私はその要注意で予後は悪いという解釈にしかなりません。」
⇒「画像上、明らかなしこりとしての60mm」と「画像では25mmであるが、顕微鏡的には60mm」では大分印象が違います。
決して「悲観する」状況ではありません。
「シコリは25mmでもこんなに浸潤していたら再発はかなりの確率で発生しますよね?」
⇒きたんとした治療をすれば、「再発しない確率」の方が高いです。
「リンパ管侵襲、脈管侵襲、こんなにしていたら近い将来私は必ず遠隔転移しますよね?」
⇒そんなことはありません。
根治の確率の方が高い事は事実です。
○今は「ショックが大きい」ことは理解できますが、きちんとした治療をすれば「根治する可能性の方が高い」ことも事実です。
気持ちは「時間でしか解決できない」ものですが、「やるべき治療をきちんと」行いましょう。
質問者様から 【質問8】
田澤先生、お返事ありがとうございます。
『「これを乗り越えれば私にも希望がありますか?10年、20年と旦那さんと子供達と共に生きていける望みはありますか?」
⇒当然です。
「根治」してしまう可能性の方が高いことを明記しておきます。』
この言葉を見た時、涙が溢れて止まりませんでした。
先生の気質から見て、私への気休めで仰っているわけではない、と思って良いですか…?
他のどんな言葉より頼もしくて嬉しかったです。
浸潤径が余りにも大きく、もうあとは内臓転移を
待つ身なのだ、あと何年生きられるのか、と、どん底にいたのが、辛くても治療を頑張りたいという気持ちが少し湧き出てまいりました。
お陰様で精神的にもだいぶ落ち着いてきました。
先日病院に行きましたらher2は1+、ki67が10%で、私はルミナルAだと言われました。
主治医は浸潤径が大きかった事、リンパ管侵襲が高度なこと、リンパ転移が6個という結果からタイプは効きやすくはないけれど、やはり抗がん剤を勧めるとの事でした。
抗がん剤は前に言われた通りEC+ドセの6ヶ月です。
私のこのような状態であればルミナルAでも抗がん剤の効果が望めますか?
また、主治医にも田澤先生と同じように『悲観する状態ではない』と言われました。
田澤先生も主治医もなぜそう思われるのでしょう?
そして、主治医から無治療再発リスクは30%だが治療をすれば半分に減らせると言われました。
それは私が酷く落ち込んでいた為にわざと主治医が良く言ったのではないかと思うのです。
本当の所、私の場合全ての治療をして、再発率、10年生存率はどのくらいなのでしょうか?
また、これからの治療にあたりましては田澤先生の『「根治」してしまう可能性の方が高いことを明記しておきます。』とのお言葉を信じ、今自分ができる治療を後悔なく、やるだけやりたいと思います。
田澤先生が他の方のQを引用し、処方箋で出されたとおり、自分でコントロール出来ないことは考えないように努力したいと思います。
(管理番号:2345脈管侵襲についての質問2)
ですが、また疑問や不安ありましたらここに来ても良いでしょうか?
私にとってこのサイトと田澤先生が本当に心のより所です。
どうか田澤先生、お身体ご自愛下さいませ。
そして私達の為に、このサイトを出来る限り続けて頂きたいと切にお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答8】
こんにちは。田澤です。
「主治医は浸潤径が大きかった事、リンパ管侵襲が高度なこと、リンパ転移が6個という結果からタイプは効きやすくはないけれど、やはり抗がん剤を勧める」「抗がん剤は前に言われた通りEC+ドセの6ヶ月」
⇒前回も回答しましたが、私も完全に同意します。
「私のこのような状態であればルミナルAでも抗がん剤の効果が望めますか?」
⇒十分に望めます。
データ的には「20%以上の上乗せ効果」があります。
「また、主治医にも田澤先生と同じように『悲観する状態ではない』と言われました。田澤先生も主治医もなぜそう思われるのでしょう?」
⇒それは実際の「統計の数字」もそうですが、経験から来るものでもあります。
『「画像上、明らかなしこりとしての60mm」と「画像では25mmであるが、顕微鏡的には60mm」では大分印象が違います』と前回コメントしましたが、そのような面もあります。
同様の患者さんが実際に再発せずに「根治している」ことを診療で経験しているからです。
「本当の所、私の場合全ての治療をして、再発率、10年生存率はどのくらいなのでしょうか?」
⇒私は決して気休めのコメントはしません。
5年間のタモキシフェン+「EC+ドセタキセル」を行う事により
再発率は34%となり、生存率は73%となります。
○ここで一言付け加えますと、上記数字は「腫瘍径>5cm」と「タモキシフェンが5年」としてのデータです。
つまり、「タモキシフェンにLH-RHagonistを加え、更にタモキシフェンを10年」とするだけで(数字は不明ですが)かなり数字は改善すると思います。
もう一つ言えば「画像上25mmを腫瘍径>5mm」としての数字なので、実際は「そもそも(これより)10%程度いい」のではないかというのが(私の経験からくる)感想です。
参考にしてください。
「他の方のQを引用し、処方箋で出されたとおり、自分でコントロール出来ないことは考えないように努力したいと思います。」
⇒この言葉は本当に「心に響き」ますね。
(管理番号:2345脈管侵襲についての質問2)
「松井秀樹」 私は、彼が(伝説の)甲子園で4連続敬遠を受けた試合も、(テレビでですが)「real time」で見ていた口ですが、その後の「努力」も含め尊敬しています。
「そして私達の為に、このサイトを出来る限り続けて頂きたいと切にお願い申し上げます。」
⇒大変ありがたい言葉です。
これからも、少しでもお役にたてるよう継続いたします。