[管理番号:1450]
性別:女性
年齢:40歳
初めて乳がん検診を受けました。
マンモグラフィーは、両胸に何個か石灰化があるが問題なし。
乳腺が発達してて真っ白にうつり、癌があっても分かりにくい。真っ白の中にもより
はっきり真っ白に映ってるところが右にある。
エコーは、先ほどの右の真っ白に映ってる箇所は問題なし。
両胸に何個か嚢胞あり。
左に楕円形の腫瘤?あり。
エコーをしながら、ここは整っている?がほらまた黒い所がある、と、ブツブツ言わ
れてました。乳腺症と思っていると。右に3、4箇所左に2箇所くらいありました。
3ヶ月後に来るようにとのこと。
家に帰りエコーをプリントしたものを見て、田澤先生のHPで調べていると、その何箇
所もあったのは、腫瘤非形成性病変だと素人目にして思いました。
心配になり1ヶ月も経たないうちに、
再度受診し確定診断して下さいとお願いしました。
すると、あなたの場合は針を刺す所がいっぱいあるので、MRIが良いと思います。し
かし本来はMRIは癌の広がりを見るものです。
針を刺すのもMRIも、僕は必要ないと思っています。夜も眠れないようならMRIをとり
ましょうとのこと。
待てるようなら、3ヶ月後に来るようにと。
質問なんですが、
腫瘤非形成性病変は、MRIで癌かどうかわかるのでしょうか?MRIをするべきでしょうか?
腫瘤非形成性病変は、専門医が見たら癌かどうか分かるものなんでしょうか?
もし癌だとしても、初期なんでしょうか?
腫瘤非形成性病変は、生理前生理後でもしくは時間の経過で、癌でもそうでなくて
も、形を変えるものでしょうか?
私の場合、経過観察して大丈夫なんでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳腺症」と「腫瘤非形成性病変」の区別は実は難しいのです。
「腫瘤非形成性病変」は「乳腺症がある特定の部位にあるだけ」のように見える事が
あります。
例)小嚢胞の集簇、乳管拡張の集簇…これは「乳腺全体に存在」すれば、ただの
「乳腺症」といえますが、「極々狭い範囲」だけに存在する際には「腫瘤非形成病
変」といい、「癌の可能性を考えます」
この「全体ではなく、極狭い範囲であることが重要」という点では「石灰化とも
類似」しています。(石灰化も乳腺全体にある場合には良性と判断できます)
回答
「腫瘤非形成性病変は、MRIで癌かどうかわかるのでしょうか?MRIをするべきでしょ
うか?」
⇒MRIは不要な検査です。
「MRIで所見がないから」みたいにして、却って「誤診の素となる」検査と言えま
す。「百害あって一利なし」です。
「MRIで癌が疑われないから大丈夫」と言われた揚句に「結局、癌だった」という
人が如何に多いか!
担当医がいうように「本来はMRIは癌の広がりを見るもの」です。
○ MRIは「診断目的で使用するべき」ではありません。
「腫瘤非形成性病変は、専門医が見たら癌かどうか分かるものなんでしょうか?」
⇒鑑別困難です。
最も「診断の難しい」所見といえます。
唯一の診断手段は「生検」です。
しかも「ある程度の組織量を採取」しないと診断できないのです。その意味では
「バネ式ではなく吸引式(マンモトーム生検)が必須」と思います。
「もし癌だとしても、初期なんでしょうか?」
⇒それは間違いありません。
腫瘤非形成し病変は(癌だとすれば)「非浸潤癌(O期)を想定」した所見です。
「腫瘤非形成性病変は、生理前生理後でもしくは時間の経過で、癌でもそうでなくて
も、形を変えるものでしょうか?」
⇒癌であれば(3カ月で変化するかは別として、長い目でみれば)必ず増殖して大き
くなります。
良性(乳腺症)では「殆ど変化しない」ので、そこを「経過観察」して区別しよう
としているのです。
「私の場合、経過観察して大丈夫なんでしょうか?」
⇒画像所見を見ていないので、それをお答えすることはできません。
ただ、「唯一の確定診断」は「マンモトーム生検」ということは言えます。(勿
論、外科的生検でもいいのですが)