[管理番号:1878]
性別:女性
年齢:51歳
10月中旬に右乳房全摘手術を受け、先日病理結果が出ました。
これまでの経緯ですが、5年前の健診で石灰化を指摘され「要観察」となりましたもので、以来、毎年マンモグラフィーと超音波検査を受けてきました。
今年の健診で初めて「要精密検査」となり、近所の大学病院でマンモトーム生検をしたところ乳癌の確定診断が下りた次第です。
術前病理組織診断報告書
①6゜ ②12゜
Ductal carcinoma in
situ,NG2,solid type を主体
に①に浸潤癌
(IDC,Scirrhous
type,NG2,HGI)も見られる。
immunostain(IDCで判定)
ER >90%
PgR 10%
HER2 score3
MIB-1 20%
術後病理組織診断報告書
Surgical material ;
rt.breast,total resection
Surgical materials of size ;
170×170×45mm,
Skin130×42mm
Hitological type : Invasive
ductal carcinoma
Hitological subtype :
scirrhous
Nuclear grade : NG1
Hitological grade : HG I
DCIS ; solid > comedo,
NG1
Lymph nodes ;
negative(0/3)
Surgical margin ; negative
Vessel invasion ; ly0, v0
Location ; Left/C area
Tumor size ;
4×3×3mm(IDC)
Stage pT1aN0Mx
乳管内進展の目立つ腫瘍です。
immunostain ; (#13)
ER 〉90%
PgR 3%(IDC)
HER2 score3
MIB-1 60%
主治医の先生からは、浸潤径が4ミリなのでホルモン療法だけで大丈夫でしょう、と言われました。
再発率の話も聞きましたが、ホルモン治療に抗がん剤を上乗せしても大して変わらないので、副作用の事を考えるとそこまでやらなくてもいいのではないか、との事でした。
抗がん剤をやらなくて済むのならそれに越したことはないですし、正直、ホッとしている自分もいます。
既にホルモン剤を飲み始めてもいるのですが、ただ、今更ながらHER2が陽性、MIBの値も高めなのが気に掛かります。
このままホルモン治療だけで大丈夫なのでしょうか。
ホルモン剤はアロマシン錠を処方されました。
最終生理日が5月の中旬(ここ3年程は不順でした)、血液検査等はしていませんがこの薬で大丈夫でしょうか。
長くなってしまいましたが、どうぞ宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1a(4mm), pN0, pStage1
十分すぎる程「早期」です。
今更「5年前の時点」で経過観察とならずに(そのまま)ステレオガイド下マンモトーム生検していれば… などと野暮な話は無しにしましょう。(他の閲覧者には是非、注目してほしいのですが…)
この早期癌で「抗がん剤の適応は全く無し」迷う必要はありません。
回答
「浸潤径が4ミリなのでホルモン療法だけで大丈夫」
⇒その通りです。
NCCNのガイドラインでもそうだし、「日本中、どこへいっても」その筈です。
pT1aでは「抗HER2療法(ハーセプチン+抗がん剤)」の適応はありません。
「今更ながらHER2が陽性、MIBの値も高めなのが気に掛かります。このままホルモン治療だけで大丈夫なのでしょうか」
⇒気にする必要は、全くありません。ホルモン療法単剤で十分です。
「浸潤径の小ささ」こそ、勝利なのです。
「ホルモン剤はアロマシン錠を処方されました。最終生理日が5月の中旬」
⇒ タモキシフェンにするべきです。
「閉経」とは「最終月経から1年以上」とされています。
アロマシン(アロマターゼ阻害剤)を閉経していない状態で投与すると「月経が再開」して、それが「予後不良の原因となりうる」ことが解っています。
「あと半年」タモキシフェンにするべきです。
○HER2陽性と言われると「気になる気持ち」は解りますが…
「早期発見に勝る治療なし」なのです。 余計な治療はするべきではありません。