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トリプルポジティブ パージェタ

[管理番号:663]
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生
妻(42歳)が乳がんで、いろいろ調べていてこのサイトを見つけました。
田澤先生の心強いコメントにいつも勇気づけられています。
妻はすでに全摘手術を受けています。
これから再発予防の治療が始まるところです。
術前は、大きさ1.8cm、リンパ節転移もないだろうと言われていたのですが、手術をしてみると、リンパ節転移があって、リンパ節郭清も受けました。
術後の病理結果は以下の通りです。
大きさ 22×20mm pT2
ly(+),v(+)
LN(5/20)
Nuclear grade 3
ER(+) 3b
PgR(+) 3b
HER2(+) 3+
Mib-1 30%
祈るような気持ちで病理結果を聞いたのですが、リンパ節転移5個(うちセンチネルリンパ節に1個、レベル1に3個、レベル2に1個)、脈管侵襲が高度、静脈侵襲も軽度見られる、との記載もあり、術前に予想していたより進行していたことに少なからずショックを受けました。
とはいえ、トリプルポジティブということで、ホルモン療法もハーセプチンも効くということなので、不幸中の幸いとも思っています。
先生のご意見を伺えればと思うのですが、比較的進行していても、トリプルポジティブであることは、再発予防の効果をかなり期待できると考えてよいのでしょうか。
抽象的な質問で申し訳ありません。
また、現在、以下の治療法を提案されています。
AC 3か月
weekly パクリ+ハーセプチン 3か月
3week ハーセプチン 9か月
半年後から、放射線治療とホルモン療法
標準的な治療方法と主治医の先生からうかがっていますが、HER2陽性には、ハーセプチンにパージェタという新薬を併用すると大きな効果があるということをネット情報で見ました。
主治医の先生にお願いしてみたいと思っているのですが、いかがでしょうか。
それと、ACとFECの違いなども教えていただければ幸いです。
今は、来るべき抗がん剤の副作用と将来への不安に、落ち着かない日々を過ごしています。
お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT2, pN2, pStageⅢA, luminalB(HER2陽性), NG3ですね。

回答

「比較的進行していても、トリプルポジティブであることは、再発予防の効果をかなり期待できると考えてよいのでしょうか。」
⇒その通りです。
 「内分泌療法」も「抗HER2療法」もターゲット療法なので、効果が期待できます。
 
「標準的な治療方法と主治医の先生からうかがっています」
⇒アンスラサイクリン系のACとタキサン系のパクリタキセルをハーセプチンと併用するのは最強レジメンと言えます。
 
「HER2陽性には、ハーセプチンにパージェタという新薬を併用すると大きな効果 主治医の先生にお願いしてみたいと思っているのですが、いかがでしょうか。」
⇒残念ながら、「パージェタは術後補助療法には適応外」です。
 パージェタは「手術不能・再発乳癌」にしか、適応はありません。
 現在「術後補助療法としての有効性、および安全性を確認する臨床試験」が行われています。
 
「ACとFECの違いなど」
⇒同様にアンスラサイクリンを用いたレジメンです。
  
 歴史的に「FEC6サイクル」が標準的である時代があったのですが、2014の報告で「AC4サイクル」が「FEC6サイクル」と効果が同等で副作用が低いという報告がありました。
 それで、同等なら、(6サイクルである)FECよりも(4サイクルである)ACが広まってきています。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
早速にありがとうございました。
いろいろとよく分かりました。
最強レジメンと教えていただいて安心しました。
ただ、パージェタは残念です。
かつてハーセプチンも、まず転移・再発の場合に使えるようになって、その後、術後補助治療にも使えるようになったという経緯のようですね。それを知ると、やはりパージェタも早く使いたいと思ってしまいます。
臨床試験に参加する方法があるかなど、主治医の先生に尋ねてみます。
本当にありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 一般に「術後補助療法」は「治療効果を確認できるまでに長期間かかる」ので、どうしても時間がかかります。
 ただ、「補助療法として認められる」薬は「本当にいい薬」なので、「補助療法はきっちりと行う」ようにしましょう。