［管理番号:949］
性別:女性
年齢:50歳
 
 

 
 
はじめまして。
田澤先生のご意見を伺いたくメールさせて頂きました。
私は7月30日に左胸のワイヤーフック留置下生検＋センチネルリンパ節生検をしました。
シュミレーションで、マンモトームが位置的にしずらいと言う事で、ワイヤーフック留置下生検になりました。
センチネルリンパ節生検では転移がないと言う事で、腋窩リンパ節郭清はしませんでした。
摘出手術もリンパ節の郭清もしていないのですが、退院した時よりだんだん痛みが強くなり、脇や腕や背中までシビレと打撲のような痛みで毎日苦しんでいます。
胸の中も痛く、寝返り打つ度に針を刺したような感じの痛さです。
それと、乳頭も非常に敏感になっていて、Tシャツが触れるだけで痛く、あと熱い物を飲むと左胸だけ胸の先まで熱さが伝わって来ます。
左脇や腋の下もTシャツが触れただけでも痛く、腕を下ろすのも腋の下に触れるのが痛くて不快です。
担当医に相談した所、鎮痛剤で抑えるしかないと言われ、トラムセットを処方して頂いて、飲んだら少しだけマシになりました。が、副作用で気持ち悪いのと飲み続けていたら手足に湿疹が出来てしまい、ロキソプロフェンに替えました。湿疹は消えて来たのですが、ロキソプロフェンは少しも効きません。
夜中に何度も痛くて目が覚めてしまい、寝不足にもなり、非常に疲れてしまいました。
こんな状態でなかなか仕事にも復帰出来ません。
この痛みが少しでも和らぐ方法はありますでしょうか？
又、トラムセットに代わる強めの痛み止めがありますでしょうか？
大手術の疼痛でもないのに、長々と本当にすいません。
ですが、私にとっては非常に辛い毎日です。
生検の結果は9月7日の外来でお聞きするのですが、再手術にでもなったらこれ以上の痛みに耐えられません。
今まで子宮摘出手術や他にも手術をした事はあるのですが、こんなに後から痛んだのは初めてです。
 

田澤先生からの回答

　こんにちは。田澤です。
　術後疼痛ですね。
　私は多くの執刀経験がありますが、質問者の様な「術後疼痛」を見た事がありません。
　原因を考えようとしていますが「想像以上の荒い手術が行われたと仮定しても」説明がつきません。
　「いずれは改善する」とは思いますが
　ただ、「別の点」にも気になるところがありました。
　「ワイヤーフック留置下生検」＋センチネルリンパ節生検という表現です。
　『癌の確定診断はついているのでしょうか？』
　本来「センチネルリンパ節生検は癌の確定診断のもと」行われるべきです。
　もしも「術中迅速診断にて癌の確定診断が行われた」としたら、その時点で「生検⇒温存術」へ変更されるべきです。
○生検は確定診断を得るためのものであり、（術中迅速診断であれ）「センチネルリンパ節生検は癌との診断確定後に行われるべき」ものです。
　「10中８，９癌だから、（後日やるのも大変だから）センチネルリンパ節生検だかでもやっておきましょう」みたいな曖昧な医療は厳に慎むべきです。

回答

「この痛みが少しでも和らぐ方法はありますでしょうか？又、トラムセットに代わる強めの痛み止めがありますでしょうか？」
⇒私にはこのようなケースが無いので、正しい事なのか自信がありませんが…
　オキシコンチンなど「麻薬」を用いる方法があります。
　もともと、それらは「癌性疼痛」での適応なので、「術後疼痛としては適応がない」のですが、「乳癌と言う診断が付いている以上（ついていますよね？）」適応に問題は無い筈です。
　
　それ以外では「鎮痛補助薬」としてカルバマゼピンなどの「抗けいれん薬の併用」も考慮すべきです。（担当医と相談してください）