[管理番号:565]
性別:女性
年齢:54歳
はじめまして。質問させてください。
5年前に乳頭腺管癌で右胸を全摘し、去年転移が見つかりました。
リンパ節多発転移、肺多発転移、肝臓多発転移です。
おとなしい癌だと言われていたのに信じられない思いで、もうすぐ死ぬんだと思いましたが、不思議なことに症状がないのです。
ホルモン剤を飲んでいるので急にカーッとなって汗をかいたり、ぼーっとしたりはしますが、今現在もその程度です。
抗がん剤はしていません。こんなことってあるんでしょうか?
自分が末期癌だなんてとても信じられません。
先生は沢山の患者さんを見てこられたと思いますが、こういう人もいるのですか?このままなら10年、20年生きられるような気がしてしまいます。
でも、いつ症状が出るのか毎日怖いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
術後4年での再発ですね。お気持ちお察しします。
回答
「自分が末期癌だなんてとても信じられません。先生は沢山の患者さんを見てこられたと思いますが、こういう人もいるのですか?」
⇒乳癌は消化器系の癌(例えば胃癌や大腸がんなど)と比べると「転移があって」も特に症状が無い事も多いです。
ただ進行すると「肺転移なら呼吸困難や咳」「肝転移なら黄疸や腹水」が出現します。
◎ホルモン療法が長期間奏功して「健康な生活をおくれる」事を祈っています。
質問者様から 【質問2 抗がん剤への切り替え】
田澤先生、また質問させてください。
前回書いたようにリンパと肺と肝臓に転移がありますが、ホルモン治療のみで抗がん剤をしておりません。
定期的に腫瘍マーカーの検査とCTなどをしていますが、具体的にどうなったら抗がん剤になるのでしょうか?ホルモン剤も何種類かあると聞いたことがありますが、それらをすべて使ってから抗がん剤でしょうか?
主治医の先生はまだいいといいます。ですが、私としては、もし現在の転移が小さくなって、そのぶん長く生きれるのなら、元気なうちに抗がん剤をやりたい気持ちもあります。あと、また出てきてしまうとしても、現在の転移を手術でとってしまうことは無意味なのですか?
悪化するのを待っているような毎日がとても苦痛です。本当に元気なので、なにかもっと治療をしたいのです。長生きするために今私ができることはなんでしょう?
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
再発後には「ホルモン療法」しかしていない事は解りましたが、「術後補助療法」(再発予防)としても「抗がん剤はしていない」のでしょうか?
「おとなしい癌だと言われていた」と前回あったので、(現時点でホルモン療法をしている事と考え合わせると)ルミナールAでしょうか?
とすると、
「手術」⇒「術後ホルモン療法のみ」⇒「術後ホルモン療法中に再発」⇒「ホルモン療法の変更」ではないでしょうか?
回答
「具体的にどうなったら抗がん剤になるのでしょうか?」
⇒再発治療にはある程度の「コンセンサス」はありますが、術後補助療法のような「標準治療として整備されたもの」はありません。
○ある程度の「コンセンサス」としては、
・リンパ節や骨転移:ホルモン療法を替えながら粘る⇒(病状悪化となったら)抗がん剤へ
・内臓転移:早めに抗がん剤導入
ただ、これは病状や主治医の考え方によって「一定の基準」はありません。
◎主治医の考え方としてはQOL(生活の質)を考えて、「副作用が無い治療(ホルモン療法)」で、できる限り粘りたい。というものだと思います。
ホルモン療法の効果がいよいよ無くなるまで「抗がん剤はしない」という方針かもしれません。
私の考え方では「早期に抗がん剤を導入」し「十分な縮小を得て」から「ホルモン療法による維持」を目指します。
♯質問者が「一度も抗がん剤をしていない」のであれば、まずはタキサンあたりで「寛解を狙う」という方法を私なら行います。
「ホルモン剤も何種類かあると聞いたことがありますが、それらをすべて使ってから抗がん剤でしょうか?」
⇒主治医の「まだいい」というコメントからは、効いている限り「ホルモン療法を使い切る」方針のようです。
「もし現在の転移が小さくなって、そのぶん長く生きれるのなら、元気なうちに抗がん剤をやりたい気持ちもあります」
⇒それであれば、(まだ使っていないならば)毎週投与のパクリタキセルなどいいと思います。
「また出てきてしまうとしても、現在の転移を手術でとってしまうことは無意味なのですか?」
⇒一般に手術の適応はありません。
肝にしろ肺にしろ「手術によるダメージが大きすぎる」からです。
もしも局所治療を考えるなら、むしろ「放射線照射(特にトモセラピー)」でしょう。(一概に適応があるとは言い切れませんが)
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |