[管理番号:7465]
性別:女性
年齢:44歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:
2018年10月に乳がんが判明しました。
しかしサイズが大きすぎるので手術はすぐにせず、術前化学療法を勧められました。
私はルミナールAであることから、抗がん剤を拒否し、ホルモン療法を選択しました。
そして6ヶ月間、リュープリン+アロマターゼ をしたところ、医者には70%の縮小が認められると言われ、今年6月に左側の全摘をしました。
見かけも凹んで硬くなった胸が柔らかくなり、外見は正常な胸になりました。
MRIは10月と3月に2度行われ、血液検査、エコー検査は毎月行い、いずれも縮小しているという結果が出ていました。
しかし、手術をしたあとの病理結果ではホルモン療法が効いていないという結果が出てしまいました。
詳細は以下です。
・左胸全摘
・ステージ3A、T3、N2a
・最大腫瘍 8.5cm
・Glandular/Tubule Differentiation 2/3
・NuClear Plemonorphism 1/3
・グレード 1/3
・リンパ節移転 5/6
・エストロゲン=96% プロエストロゲン=95%
・Ki-67=7%
・HER-2=陰性(IHC 1+、 FISH 1,2.9/2.8)
・センチネルリンパ節 最大サイズ0.9cm
・術前化学療法の反応:腫瘍とリンパ節の腫瘍ともに効果が特に認められなかった
【現状】
以上の結果から、
Adriamycin 2週間ごとに4回
Cytoxan
Taxol 毎週 合計12回
の4ヶ月間の化学療法を勧められています。
【質問】
①過去のQ&Aを参考にしたところ、私の場合は化学療法は必要でないのではないか?と思うのですが、先生の意見を聞かせてください
②ホルモン療法を既に開始しているため、化学療法は効果が薄くなるという記事をネットで拝見しましたが、その可能性はありますか?
③病理結果にて効果が見られなかったのに今月またリュープリンを注射することになっていますが、このままホルモン療法を続ける意味もよく分からなくなってきました。
このままリュープリン+アロマターゼを続けるべきなのでしょうか?
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「①過去のQ&Aを参考にしたところ、私の場合は化学療法は必要でないのではないか?と思うのですが、先生の意見を聞かせてください」
→ルミナールAでは勿論、不要です。
「②ホルモン療法を既に開始しているため、化学療法は効果が薄くなるという記事をネットで拝見しましたが、その可能性はありますか?」
→それは、あまり関係ないでしょう。(机上の空論)
「このままリュープリン+アロマターゼを続けるべきなのでしょうか?」
→勿論、すべきです。
「術前治療効果が病理で不明」=「術後補助療法としての再発予防効果が無い」わけではないのです。
質問者様から 【質問2 】
ルミナールAではない可能性?
性別:女性
年齢:44歳
病名:乳管癌
症状:ステージ3A
こんにちは!いつも有難うございます。
田澤先生の意見でキモセラピーをしなければいけないと迫られた気分になっていたのが大分開放されました。
前回お話させて頂いたように、術前ホルモン療法(リュープリン+フェマーラ)
に効果が特に見られなかったという手術後の病理結果でした。
その後、転移していないか調べるためにPET検査を行い、転移はしていないことが分かりました。
担当医の
「ホルモン療法は効果がないからキモをするべきだ」
という意見に対して、ルミナールAであることからキモは必要ないのではないのか?と質問したところ、
「自分もはじめはそう思っていたのだが、ホルモン療法が効果なかったのだからルミナールAでない可能性だってある。」
という返答が帰ってきたのですが、データ上では明らかに典型的なルミナールAなんです。
セカンドオピニオンとして(田澤先生が先に返答してくださったのでサードオピニオンになりますが)すでに他の病院での先生の予約もとってあるのですが、その先生に担当医がマンモグラフィーもルミナールAじゃないかもしれないので送っておくと言っていました。
そこで質問なのですが
①データでは明らかなルミナールAなのに、術前ホルモン療法での効果が見られなかったためルミナールAじゃないなんて事はありうるのか?
②先生なら今後どんな治療法を提案しますか?
【現状は】
6月(上旬)日に全摘
?
6月(下旬)日にPET検査 クリア(転移なし)
?
6月(下旬)日にリュープリン注射 フェマーラは毎日1錠
今後の治療を相談中
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
術後補助療法としての(期待できる)効果と、現にあるシコリに対する「目に見えている効果」では全く異なります。
「①データでは明らかなルミナールAなのに、術前ホルモン療法での効果が見られなかったためルミナールAじゃないなんて事はありうるのか?」
→Ki67=7%だからルミナールタイプだと思いますが…
どうしても気になるならOncotypeDXして確認すればいいのです。
「②先生なら今後どんな治療法を提案しますか?」
→術前ホルモン療法の評価など無関係です。
ホルモン療法です。
質問者様から 【質問3 】
ステージ3の放射線についてと異常細胞の今後の治療について
性別:女性
年齢:44歳
病名:乳がん
症状:左胸=ステージ3A、右胸=細胞異常
田澤先生、いつもお世話になっています。
ご意見をいただき大変助かっています。
前回、ステージ3の左胸について抗がん剤は必要かどうかをお聞きしました。
そしてその後ママプリントにてローリスクと出ましたので
(アメリカ在住なのでママプリントは特別に頼まなくてもやってくれていました)
抗がん剤をせず、現在は放射線とホルモン療法にて治療をすすめる方針となっています。
そこでお聞きしたいのですが、全摘した後の放射線はやはり必要ですか?
田澤先生の意見を聞かせてください。
そしてもう一つ質問があります。
それは右胸についてです。
実は担当の外科医は2度のMRIをやったときに1度目は少し光っていたけど2度めは光っていなかったので、問題ないだろうとしてバイオプシーをしませんでした。
それをセカンドオピニオンの先生に念のためバイオプシーはしたほうがいいのではないか?と指摘をいただき、つい最近右胸のバイオプシーを済ませました。
その結果、ガンではないものの、以下の詳細が出ました。
*Lobular Carcinoma in Situ
1.Atypical Intraductal Proliferation – Preliminary Diagnosis
2.Calcification: Identified associate with fibrocystic changes 3.Radiographic and pathologic findings: Correlate
*Multiple yellow fatty tissue segments which have the configuration of core biopsies and have an aggregate measurement of 3.2cm. No masses are identified grossly.
The estimated formalin fixation time is 78 hours 3 minutes.
The specimen is totally submitted SOS A-+ B-+
*Special Stains:
To more definitively characterize the atypical proliferation, immunohistochemical stains were performed on block A with appropriate controls. The proliferation stains negatively for E-cadherin and shows cytoplasmic staining with P120 catenin.
これについて、
担当外科医はこのまま何もしなくても大丈夫
という意見でしたが、
セカンドオピニオンの医師は異常細胞を取り除く手術をしたほうがいい。
と意見が分かれています。
そこで田澤先生にお聞きしたいのですが、先生ならどの選択を薦めますか?
乳がんプラザが本当にあって良かったです!
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「そこでお聞きしたいのですが、全摘した後の放射線はやはり必要ですか?」
⇒必要です。
日本のガイドラインではリンパ節転移4個以上でのpostmastecomy radiation
therapy(PMRT)は必須です。
「そこで田澤先生にお聞きしたいのですが、先生ならどの選択を薦めますか?」
⇒LCISは…
アメリカでは「癌もどき」扱いのようですが…
日本では癌です。
当然「癌としてきちんとマージンをつけた切除」です。