[管理番号:5975]
性別:女性
年齢:56歳
田澤先生、どうぞよろしくお願い致します。
閉経して4年経つ56歳です。
9年前に日本に帰国し大変お恥ずかしながら以後9年間人間ドック、乳がん検診一度も受けたことがありません。
この2~3ヵ月左乳首だけの痒みが続き、たまたま乳がん発覚の前兆に痒みがあるという記事を見つけ(後から痒みはガンと結びつけるのはナンセンスという先生のお言葉見つけました)当時気になり左胸を触ってみて初めてしこりのようなものを発見しました。
自己検診の正しいやり方として臥位で表面を4本指でさあーっと撫でるのが良いとありましたが、そのやり方ですと指先がしこりにコツンと当たるような感触はなく、むしろ乳輪周囲を指で押し込むように触りこみますとやや奥の方に丸いかためのものに触れるような感じです。
梅干しの種ほど硬くはありませんが固めのグミほどの感じです。
実際に診てみないとわからないという前提で、私の年齢からして先生はやはりガンの可能性が高いと考えるべきでしょうか。
まだどこの乳腺外科に行くか決めていませんが、乳癌であることも勿論心配ですが、それと同じくらい最短距離で正しい診断を得られるのだろうかと非常に不安です。
マンモとエコーをやるのは確実としましても
この二つ以外に、どの検査がくればそこの病院は信頼できると考えたらいいでしょうか?
またマンモトームという単語をよく聞きますが、これから行く乳腺外科がマンモトームをやってくれるかどうかを事前にチェックしたほうがいいのでしょうか?
素人的な質問で申し訳ありません。
癌ではないことを願いたいですが万が一癌であった場合はやはり治療は遠くの大きな総合病院よりも自宅から近い病院を選ぶべきでしょうか。
最後に江戸川病院の田澤先生は現在初診予約はとれないとのことですがその通りですか?
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「むしろ乳輪周囲を指で押し込むように触りこみますとやや奥の方に丸いかためのものに触れるような感じ」
「梅干しの種ほど硬くはありませんが固めのグミほどの感じ」「実際に診てみないとわからないという前提で、私の年齢からして先生はやはりガンの可能性が高いと考えるべきでしょうか。」
⇒乳輪直下の触診は(我々乳腺外科医でも)時に難しいので、質問者の「自己検診の所見を解釈」するのは容易ではありません。
そもそも、それが本当に「しこり」なのか?
乳頭直下の「通常の乳腺を触っているだけではないのか?」との区別も文面からでは判断できません。
「最短距離で正しい診断を得られるのだろうかと非常に不安」
⇒全く同感。
これについては、最近前医で(針生検で良性とされ)「結構な長期間良性として経過をみていて、結局癌だった」という症例を「たてつづけに」診療しているので、
(それらの患者さんの気持ちを考えて)大変な憤りを感じているところです。
愚痴を言わせてもらえば…
私の仙台時代…
私が所属していた東北公○病院で誤診はありえない話であり、その周囲の病院も
「きちんとした診療」がされていました。(仙台以外となると、少し?が付きましたが…)
勿論、その仙台にも「あのクリニックの医師の診断は…」みたいな所も正直ありましたが、(そのような医師は)自分で自覚しているのか診断ができないと「すぐに放出」(我々の病院への紹介など)していました。
それが、ここ東京へ来て見ると…
あまりにも(手術もさることながら)「診断に問題がある」病院が無数に存在(病院も医師も、数が多い分、そのような医師も当然いるのも仕方がないということでしょう)していることに、すぐに気付きました。
そして、そのような病院(医師)が、(診断に不安を持ちながらも、他に紹介せずに)「誤診のまま経過を見続ける」ケースが多いのです。(そこが仙台のような狭いコミュニティーとの違いと言えます。 おかしな診療があっても「埋もれて」しまうようです)
長い愚痴になってしまいました。
「マンモとエコーをやるのは確実としましてもこの二つ以外に、どの検査がくればそこの病院は信頼できると考えたらいいでしょうか? 」
⇒これは簡単な話です。
その医師自身がエコーをするのか?
その一点に尽きます。
技師にエコーをさせている限り、微妙な所見を診断することは不可能です。
エコーは例えて言えば「動画」なのです。(他の画像診断:マンモやMRIなどが静止画なのに比べ)最も大きな違いが「エコーが動画であること」です。
「静止画の中の間違い探し」に比べて「動画の中の間違い探し」が、いかに難しいか?(慣れを必要とするか?) 想像してください。
「これから行く乳腺外科がマンモトームをやってくれるかどうかを事前にチェックしたほうがいいのでしょうか?」
⇒それは本質的なことではありません。
まず「画像診断」なのです。
(マンモトームを含めた、組織検査は)あくまでも「画像診断で癌を疑った後の話」なのです。
質問者の場合には「腫瘍はあるのは間違いないが、その質的診断(組織診断)をどうすべきか?」という状況に(現状)いるわけではなく、あくまでも「(ご本人が気にしているのが)腫瘍なのか?」という段階です。
まずは画像診断(この場合はとにかくエコー)が全てなのです。
★その次のステップとして(もしも、ご本人が自覚しているしこりが)本物の腫瘍であれば、「組織診断の手技として、どうするか?(バネ式なのか、CELEROなのか、MMTEなのか?)」というステップとなるのです。
「癌ではないことを願いたいですが万が一癌であった場合はやはり治療は遠くの大きな総合病院よりも自宅から近い病院を選ぶべきでしょうか。」
⇒質問の内容が良く解りません。
「大きな病院の方が優れている」前提ですか?
一番気をつけるべきは(質問者のいう)「大きな病院」は「若い医師の教育の場」
であることであり、(もう一つ言わせてもらえば)「多くの医師で分業していても、プロにはなれない」ということです。
「最後に江戸川病院の田澤先生は現在初診予約はとれないとのことですがその通りですか?」
⇒その通りです。
(癌かもしれないと心配している)初診患者さんに「一番、早い予約が○月になります(3カ月先)」と案内すると、(当然ながら)患者さんからは「そんなに待てるか?」的な反応となります。(重ねて言いますが、患者さんの気持ちは当然です)
その(患者さんから「責められる」)状況で(対応する)スタッフが疲弊したので「新患予約は江戸川ではとらない」ことに統一されたのです。
これが(新患で、心配な方は)唯一「水曜日午前中の予約外外来に(待ち時間覚悟の上)来てください」となった背景です。
★ちなみに市川は「新患予約」しています。(3カ月先くらいだと認識しています)
江戸川では「術後診療している人がさすがに蓄積されてきたため」+「術後の抗癌剤は江戸川だけ(市川で抗癌剤はしません)」なので、予約患者さんだけで直ぐに埋まってしまうという背景があります。(乳腺外来がどこも混雑している背景です)
それに対し、市川では「予約枠に占める新患の割合」に余裕があるため、(3カ月先になるとはいえ)「新患予約に対応できている」ようです。
「メディカルプラザ市川駅」