[管理番号:813]
性別:女性
年齢:40歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
数日前から片方の乳首が上を向き、乳房にも10㎝位のしこりが確認できるようになりました。
本日乳腺外来を受診しました。
最初に触診をしていただいたのですが、先生に「乳腺系ではないね」と言われました。
しこりの大きさについては、しこり自体は小さくてもその周りが炎症していると大きく感じる事もあるとの事でした。
4日後に針生検(太い針やいろいろは種類の針を使うかもと言われました)の予約を入れてもらい、今日はその後マンモグラフィーとエコー検査をしました。
エコーの際エコー技師の方に「大きくもないけれど小さくもないね」と言われました。
結果を待つしかないのは重々承知していますが気になって仕方ありません。
触診で乳腺系を否定できるものなのでしょうか?
また、乳腺系以外という事は乳がんで確定と言われたのと同じなのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳腺系ではないね」というコメントが全く意味不明です。
回答
「触診で乳腺系を否定できるものなのでしょうか?」
⇒「乳腺系」という意味がわかりません。
「乳腺内ではない=皮下腫瘍」みたいな意味でしょうか?
「乳腺系以外という事は乳がんで確定と言われたのと同じなのでしょうか」
⇒「乳腺系以外」という意味はわかりませんが…
「片方の乳首が上を向き、乳房にも10㎝位のしこり」「4日後に針生検(太い針やいろいろは種類の針を使うかもと言われました)の予約を入れてもらい」という事からは「乳癌の可能性が高い」のかもしれません。
質問者様から 【質問2 乳がん検査】
お忙しい中、回答頂きありがとうございました。
「乳腺系」とは恐らくは乳腺炎や乳腺症ではないという意味なのかなと思いました。
それらを触診だけで否定することは可能なのでしょうか?
今現在の状態をわかる限り詳しく書きます。
しこりですが、冷静に見ると10㎝ではなく7㎝くらいかもしれません。
石のように硬くはなく少し弾力があるかもしれません。
しこりはよく動く感じがします。
乳首は斜め上(外側)を向いており、その方向の乳輪に5ミリ位のへこみがあります。
検診は受けたことがなく受けようと予約を取った矢先の出来事でした。
自分なりに乳房のセルフチェックはたまにしていたのですが、しこりには全く気が付きませんでした。
そして突然大きなしこりと乳房の張りを感じて、翌日に乳首が上を向きました。
そして診察を受けました。
触診の後に針生検の予約を入れられ、マンモグラフィーとエコー検査の後は先生と話をしていませんのでマンモグラフィーとエコー検査の結果は聞いていません。
これらの事から田澤先生の見解をお聞かせいただけないでしょうか?
また、10日に針生検があり結果は20日なのですが、マンモグラフィーとエコー検査の診断結果だけでも10日に聞いたほうがよいでしょうか?
(診察してくれた先生は針生検ができないみたいで生検する先生は別の先生との事です)。
お忙しいとは思いますが不安な気持ちでいっぱいですのでよろしければご意見をお聞かせくださいませ。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「乳腺系ではない=乳腺炎や乳腺症ではない」であれば、触診で「明らかな腫瘍(良性、悪性は別として)と判断できる」という事でしょう。
回答
「それらを触診だけで否定することは可能なのでしょうか?」
⇒明らかな「腫瘍」だと言う事は触診で判断できます。
「しこりはよく動く感じがします」
⇒動くからと言っても「乳癌を否定」するものではありません。
乳癌も、裏側の筋肉(=大胸筋)に浸潤しない限り「良く動きます」
♯大胸筋浸潤は相当おおきくならない限り起こりません。
「乳首は斜め上(外側)を向いており、その方向の乳輪に5ミリ位のへこみ」
⇒乳癌の可能性が高いように思います。
皮膚を引っ張る所見は「乳癌に特徴的な所見」と言えます。
「マンモグラフィーとエコー検査の診断結果だけでも10日に聞いたほうがよいでしょうか?」
⇒是非聞いてください。
その際に「腋窩リンパ節が腫れているのか、超音波で診てもらってください」
これらは、本来なら「初診時に(言われなくても)医師が、するべきもの」なのですが…
質問者様から 【質問3】
お忙しいところ何度もすみませんが宜しくお願い致します。
本日針生検をしてきました。
生検の結果は20日なのですが、今日の生検の際にほぼ100%で乳がんだといわれました。
頭が真っ白になってしまい、田澤先生に言われた「腋窩リンパ節が腫れているのか」を聞くのを忘れてしまいました。
生検してくれた先生は「リンパにはそんなにとんでいないと思う」と言っていました。
この「リンパにはそんなにとんでいないと思う」とはどういうことなのでしょうか?
田澤先生の江戸川病院で診察するのが一番なのですが、距離が少し遠いのなど難しいのが現状です。
ご病気の方皆さん同じだとは思いますが、私もシングルマザーで死ぬわけにはいきません。
私は死んでしまう確率が高いのでしょうか?
診察してもらっているわけでもなく情報も少ないので何も答えられないとは思いますが、わかる範囲で宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「にほぼ100%で乳がんだといわれました」
⇒これは(残念ですが)間違いなさそうです。
回答
『「リンパにはそんなにとんでいないと思う」とはどういうことなのでしょうか?』
⇒腫瘍の状況から判断しているのだと思います。
もしかして「乳腺のしこり」を見るときに「腋窩リンパ節も超音波で確認していた」のかも」しれません。
「私は死んでしまう確率が高いのでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
乳癌は基本的に予後がいいのです。
あとはサブタイプに応じた治療を行うことです。
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
質問者様から 【質問4 乳がん検査】
何度も質問して申し訳ありませんがどうぞよろしくお願いいたします。
乳がんという事を受け入れて頑張りたいと思います。
「リンパにはそんなに飛び散っていないと思う」とは転移があるという事なのでしょうか?
20日の日は1人で来ないで誰かと一緒に来るようにともいわれましたがとても悪い事を告知されるのでしょうか?
結果によっては他の検査もするかもしれないとも言われました。
本で読んだのですがえくぼ症状が出ている場合はステージⅢB期とありました。
これはかなり進行しているという事なのでしょうか?
また、針生検をする前日少し乳房が少し痛みました。針生検が終わって現在は更に痛みもありますし、しこりも大きくなった感じがしますがこれは癌が進行しているという事なのでしょうか?
早く気がつけなかった自分が嫌で嫌で仕方ありません。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
回答
『「リンパにはそんなに飛び散っていないと思う」とは転移があるという事なのでしょうか?』
⇒不明です。
このコメントを解釈するに
「そんなに」という表現が「沢山ではないが、少しは転移がある」といっているのか、「転移している確率が殆どない」という意味なのか難しいところです。
○やはり、次回「きちんと超音波してもらい、担当医に直接聞いてみましょう」
「20日の日は1人で来ないで誰かと一緒に来るようにともいわれましたがとても悪い事を告知されるのでしょうか?」
⇒これは「乳癌である」という病名告知をするから、その際には「ご家族も一緒に」という意味です。
その他の意味は無いと思います。
「本で読んだのですがえくぼ症状が出ている場合はステージⅢB期とありました。」
⇒これは「明らかな誤り」です。
「えくぼ症状」は単に、皮膚のクーパー靭帯を癌がひきこんでいる所見です。
ステージ1でも十分起こりえます。(ステージとは無関係な所見です)
ステージⅢBは「皮膚に直接浸潤して腫瘍が露出したり、皮膚が赤くなったりしている」状態であり、「えくぼ症状とは無関係」です。
♯「活字になっている」からと言って、むやみに信じてはいけません。
「針生検が終わって現在は更に痛みもありますし、しこりも大きくなった感じがしますがこれは癌が進行しているという事なのでしょうか?」
⇒違います。
針生検が原因で「周囲が硬くなっているだけ」です。
心配ありません。
質問者様から 【質問5 乳がん検査】
いつも丁寧に回答頂き本当にありがとうございます。
現在は家から少し離れた総合病院で受診しています。
乳がんの手術は年間40件位の病院です。
実は家の近くに大学病院があり、そちらの方が乳がんの手術回数などがかなり多いので生検の結果が出たら大学病院の方へ転院を考えています。
現在の担当医が「このまま当院で治療するか他の病院に移りますか?」と言われた時に家の近くの大学病院にするかもしれない(親が病気で何度も通っていたので)と一応伝えました。
ですが、前にも書いたように江戸川病院で診てもらえるならそれがベストがと考えています。
そこでお伺いしたいのですが、乳がんの手術、その後の化学療法など含め、病院に通う頻度を教えていただく事は出来ますでしょうか?
乳がんの種類などもわからない状態でこのような難儀な質問をして申し訳ありませんが、もし回答できるようでしたらお願いいたします。
また、田澤先生の他の方への回答に大学病院はベターではないというような記載がありました。
もし、現在の総合病院と大学病院の二択だとしたらどちらの方が良いでしょうか?
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
『病院選び』については、非常に回答が難しいところです。
実際は『医師選び』が重要なのですが、これが更に難しい。
個々の医師の技術については、私は(当然ながら)自分の周囲についてしか知らないのです。(最終的には、自分自身でその医師の経験などから判断し、その医師個人が信頼できるか?だと思います)
回答
「家から少し離れた総合病院」「年間40件位」
⇒(医師個人の技術については、勿論解りかねますが…)
さすがに、少ないと思います。
自分が「地域の乳癌をリードする」という気持ちでやっていればもう少し多くなる筈です。
○医師一人当たり100件以上が理想です。(因みに私は、この半年で100件を超えています)
「乳がんの手術、その後の化学療法など含め、病院に通う頻度を教えていただく事は出来ますでしょうか?」
⇒
手術前 | 術前検査として1日 |
手術 | 温存なら2泊3日、切除なら3泊4日 |
退院後 | 1週間目で1回創部確認、2週間目で1回病理結果確認 計2回通院 |
化学療法 |
メニューによります。 TC療法 3週間に1回を4回(間に1回白血球を上げる注射に来てもらいます) 計8回通院 EC⇒DTX療法 3週間に1回を8回(間に1回採血に来てもらいます) 計16回通院 |
「現在の総合病院と大学病院の二択だとしたらどちらの方が良いでしょうか?」
⇒正直、私は勧めることができません。
大学病院は「医師の修練の場」です。
「医師の訓練・教育に協力しよう」という気ならば、もちろん止めるつもりはありません。
また、「大学病院で治療をした」ということが「質問者に満足感を与える」のであれば、それでもいいでしょう。
もしも、治療に最善を尽くしたいというのであれば、江戸川病院に来てください。(文面からすると、質問者は結構遠方のようですが、関西あたりからもよく受診されています)
質問者様から 【質問6】
毎回の丁寧なご回答に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。
諸々の事情があるので難しいかもしれませんが、何とか調整して江戸川病院で診てもらえるように頑張りたいと思います。
20日まで辛抱して待っていようと思ってはいるのですが、あれもこれもと色々気になってしまいましたのでまた質問させていただきます。
よろしくお願いいたします。
最近肩こりがあるのですが、これはリンパに転移があるからなのでしょうか?(これも本で読んでしましました)。
また、1年くらい前に脚の付け根のリンパが腫れている様な事があったのですがこれも乳がんと関係あるのでしょうか?
私の場合えくぼサインやしこりが大きい(自分で触った感じです)など、早期の乳がんの可能性は低いのでしょうか?
また少ない情報の中での質問で申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
乳癌と診断されると「色々な事が、乳がんと関連して」考えてしまうようになる気持ちは十分理解できます。
そういう際にこそ、私の膨大な経験が役に立てると思います。
例えば「経験が少ないと」患者さんから何か聞かれた際に「もしかして、そういう事もあるかもしれない」と疑心暗鬼になり「きちんと否定できない」場合があり、それが患者さんを不安にさせるという面があるのです。
回答
「最近肩こりがあるのですが、これはリンパに転移があるからなのでしょうか?」
⇒関係ありません。
リンパ節は「余程大きくならないかぎり、症状は起こさない」ですし、その際でも「直接の痛み」位です。
「1年くらい前に脚の付け根のリンパが腫れている様な事があったのですがこれも乳がんと関係あるのでしょうか?」
⇒乳癌では「鼠頸部リンパ節は腫れません」
全く無関係です。
「えくぼサインやしこりが大きい(自分で触った感じです)など、早期の乳がんの可能性は低いのでしょうか?」
⇒私が質問者のメールから知っている情報から判断する限り
早期乳癌の可能性は十分にあります。
それは以下の2点から読み取りました。
『エコー技師の方に「大きくもないけれど小さくもないね」といわれた』
『生検してくれた先生は「リンパにはそんなにとんでいないと思う」といっていた』
○「えくぼサイン」は「進行度とは無関係」です。