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術前化学療法やリンパ節転移ありでの手術について

[管理番号:12882]
性別:女性
年齢:36
病名:乳がん
症状:化学療法は、EC療法4クールのあと、WPTXを予定しています。
充実腺管がん
ホルモン感受性あり
グレード2
HER2スコア1+
Ki-67 36
リンパ節転移あり(本数は不明)
ステージ2Bと診断されました
投稿日:2025年07月13日

妻が乳がんと診断されました。妻の代理です。
術前化学療法をすすめられて、何も知識がないまま化学療法を受ける3日前です。
この数週間でいろいろ調べて先生にたどり着きました。すでにポート手術が終わっていて、地方なので距離も遠く、江戸川まで診てもらうにいく決断ができずにいます。

化学療法は、EC療法4クールのあと、WPTXを予定しています。

充実腺管がん
ホルモン感受性あり
グレード2
HER2スコア1+
Ki-67 36
リンパ節転移あり(本数は不明)
ステージ2Bと診断されました

今の先生、親身に聞いてもらっているのですが、術前でほんとによかったのか、また手術をこちらの病院でやっていいのか非常に不安です。病院は大阪で5本の指に入るくらい手術件数も多い病院ですが、先生がおっしゃってたように医師も多くそこが不安用意です。また術前抗がん剤でほんとによかったのか。心配しています。

というのは、妻は指先を使う仕事しているので、リンパ節を取ったあとの後遺症や抗がん剤の後遺症なども気にしていて、できれば名医のかたにやってもらうほうがいいのではないかと考えています。

質問なんですが、今からそちらで化学療法をおこなえるのか、おこなっていいものなのか、手術だけ江戸川病院ですることは可能なのか?術後はそちらへ通わないといけないのか。お教えください。なにぶん関西なので、距離的に遠く、悩んでいます。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

メール内容は非常に良く理解できました。
まず、術前抗がん剤の濫用については思うところありますが、それについては
今週のコラム 499回目 術前抗がん剤の闇と影 を一度ご熟読ください。(メール内容からは既に読んでいるかもしれませんね)

詳細は上記コラムに譲り、コンパクトにコメントすると、
(適応承認された臨床試験の対照群に問題がややありますが)トリプルネガティブやHER2陽性であれば、「患者さん側が本当に理解されたうえで術前抗がん剤を希望する場合」には、術前抗がん剤を行うことには問題無いとは思います。
ただ、これらのサブタイプだとしても「患者さんの希望を無視した術前抗がん剤ありきのゴリ押し」は絶対にあってはいけないことです。

◎質問者(の配偶者)は「そもそも」ルミナールタイプなので、術前抗がん剤を勧める理由が全くありません。
 あるとすれば、「現在大きくて温存手術の対象とはならないが、小さくして温存したい」という理由が唯一の正当な理由となります。★

そもそもルミナールタイプでは「抗癌剤が(術前にしろ、術後にしろ)再発率を下げる(つまり有効であるのか)かどうか」は不明であり、それを調べる唯一の手段が「術後に行われる」OncotypeDXなのです。

結論としてルミナールタイプで上記★で無い限り、手術先行で術後にOncotypeDXして抗癌剤が必要なのかどうか?を調べる。 これが最も正しい。

今回ルミナールタイプなのに「術前抗がん剤ありき」としている理由はおそらく「リンパ節転移があるから」という全く意味不明な理由です。
それは術前抗がん剤をする理由にはなりません。術者が楽をするために行う抗癌剤など、全く呆れるばかりです。

質問なんですが、今からそちらで化学療法をおこなえるのか、おこなっていいものなのか、手術だけ江戸川病院ですることは可能なのか?術後はそちらへ通わないといけないのか。お教えください。なにぶん関西なので、距離的に遠く、悩んでいます。
⇒すべてにお答えします。

今からそちらで化学療法をおこなえるのか、おこなっていいものなのか
⇒無論可能です。
ただ、抗癌剤はできますが、冒頭にコメントしたように「術前に抗癌剤をする意義があるとすれば、唯一 抗癌剤で小さくして温存を希望している場合」となります。 
それ以外に「術前抗がん剤をする」理由はありません。
何故なら、そもそも抗癌剤を(術前にしろ術後にしろ)しなくてはいけないのか?不明だからです。(それを確認するのが、術後に行うOncotypeDXです)

手術だけ江戸川病院ですることは可能なのか?
⇒それは可能です。

どういう術式をご希望なのかは不明ですが、リンパ節郭清が必要であれば尚更その選択がいいと思います。

術後の治療については可能性として、
1.ホルモン療法(これは必須と言えます)
2.放射線治療(温存手術の場合の温存乳房照射もしくは全摘後でもリンパ節転移4個以上だと適応となります)
3.抗癌剤(手術先行であれば、OncotypeDXをして必要があれば適応となります)

上記がありますが、その際(患者さん側が)病院を探してもいいし(そうでなければ)地域連携室を介して「病院間で探す」ことも可能です。

術後はそちらへ通わないといけないのか
⇒全ての治療を地元で行う患者さんもいらっしゃいますが、その場合は「術後病理の結果のみ」受診されるのが普通です。(ご希望であれば、それさえもメールで説明したうえで病理結果を添付することも可能です)

良く理解され、そして重要なのは優先順位が様々だとは思いますが、「患者様(質問者の配偶者)にとってベストなこと」それこそを最優先すべきです。

「江戸川病院での手術」はこちら。

「手術相談」メールはこちら。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/7/29
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