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外科的生検の予定です

[管理番号:12691]
性別:女性
年齢:52歳
病名:
症状:
投稿日:2025年05月14日

いつも先生の回答を読ませていただき勉強させていただいております。
外科的生検の手術を受けることになりまして不安を抱えておりますので質問させてください。

毎年マンモグラフィの検診を受けておりましたが、この2月に受診したところ密集した石灰化が見つかり、そちらのクリニックから大きな病院へ紹介されました。
その病院ではマンモグラフィとMRIとエコーを行いましたが、先生からは癌かもしれないので細胞を取りたいが、石灰化が胸壁に近いことと乳房が薄いのでマンモトーム生検では難しいので、入院し全身麻酔の上外科的生検にしましょうと言われ4月にマンモトーム生検ではなくその手法を使って胸に印のクリップを入れている状態です。

私は再発が怖いので全摘がいいのですが、先生は検査が治療になるということで癌の場合はそのまま放射線治療等進められると外科的生検を進められており手術の日も6月と日程を組んでおられました。
私は、いつも田澤先生が全摘が根治とおっしゃられているので再発のことを考えると全摘がいいのではと思いますがなかなか検査が進まないなか進行も怖くこれ以上日程を遅らせたくないので外科的生検は受けるつもりですが
その場合もし癌だったとしたら放射線治療などを行う予定だと思いますが、先生にお伺いしたいのですが

①外科的生検後、全摘などの手術は可能ですか?
その場合は放射線治療はしてからになりますか?
外科的生検後にもし放射線治療せずに全摘となるとその場合癌が進行しないか心配ですが何ヶ月くらいあけてからの全摘とかになりますか?

②その場合田澤先生の病院でお願いしたら早く手術できますでしょうか?

③あと、非浸潤だとしても部分切除なら転移などの可能性はやはり全摘よりはあがりますか?
長々と申し訳ありませんが、ご回答いただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

まず大前提として石灰化に対するST-MMTの難関症例としては、その医師が言うよう
に、
①胸壁に近い
⇒引っ張り出すのが難しい
②薄い
⇒針の吸引孔を石灰化の位置に誘導できない

ただ私の経験上、「条件的に、ST-MMTは無理」と他院で言われた患者さんを、しばしばST-MMTしていますが「本物の」難関症例は実は少ないという事実
やはり「数は力」
マンモグラフィーを見た瞬間に「これは、それほど難関ではないのでは?」と感じることもしばしばです。

何が言いたいのかと言うと、「本当にST-MMTできないのか?」まず私はその点が気になるのです。

今回は質問者が「外科的生検ありき」で質問を進めているので、ここからはそれについて回答しましょう。

①外科的生検後、全摘などの手術は可能ですか?
⇒勿論です。
(外科的生検で)癌の診断となれば、(たとえそれが、ちっぽけなものであっても)乳癌として全摘は適応となります。

その場合は放射線治療はしてからになりますか?
⇒それは、「全く」ナンセンスですよ!

全摘するのに「放射線をしておく」理由が100%ありません。
術後の放射線は、(かける場所に、残存しているかもしれない)癌細胞を死滅させるために行うものであり、全摘するのであれば「そもそも」放射線をかけるべき場所がありません。

外科的生検後にもし放射線治療せずに全摘となるとその場合癌が進行しないか心配ですが何ヶ月くらいあけてからの全摘とかになりますか?
⇒「何か月も空ける」必要は「そもそも」ありません。

外科的生検は通常は「局所麻酔」で行うものですが…
全身麻酔だとしても「翌週」でも全く問題ありません。

②その場合田澤先生の病院でお願いしたら早く手術できますでしょうか?
⇒(外科的生検後の)全摘であれば、(非浸潤癌であれば病変全体での評価となるのでセンチネルリンパ節生検さえも不要、つまり)乳腺全摘のみとなります。
その場合は1時間もかからないので、いくらでも「隙間に」入れることができます。

③あと、非浸潤だとしても部分切除なら転移などの可能性はやはり全摘よりはあがりますか?
⇒非浸潤癌の場合は「転移するには」そもそも「局所再発して、それが更に浸潤癌に育つ」必要があります。

其の意味で部分切除は(その後、放射線を照射しても)局所再発のリスクは5%程度ある」ので、「局所再発して、それが浸潤癌になるまで発見されない」場合に「転移のリスク」が生じます。
非浸潤癌での全摘は無論「根治」なのだから、全摘には「転移のリスクはなし」
  ↑
上記違いにより、かなりの低頻度なので「統計的有意差」はつきませんが、僅かながらそこに「差」はあります。

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(回答が公開されてから2週間後)
2025/5/29
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