Site Overlay

術後半年のリンパ節転移

[管理番号:12576]
性別:女性
年齢:58歳
病名:
症状:
投稿日:2025年03月19日

田澤先生お世話になります。
2024年8月に左乳房全摘出手術を受けました。

病理検査結果は浸潤性乳管癌(充実型)
浸潤型18×18 センチネルリンパ節陰性0/1
ER8 PGR6 ki67 20% ly0 v0 グレード3でした。

大学病院での手術でしたので連携病院で経過観察となり
術後はフェマーラを飲んでいます。
2025年2月に術後初めてのエコー検査でリンパ節の腫れを指摘されました。
腫れているリンパ節は2個で7㎜×2㎜ 4㎜(短径不明)
形は楕円形です。
皮質が厚くなり二層性を消失しているので針生検となり結果待ちです。

術後これほど早くにリンパ節に転移再発するのでしょうか?
心当たりは手術後、傷跡にアトファインテープを貼っていたのですが
かぶれて皮膚が赤くなり小さな水ぶくれが出来ていました。
エコー当日も皮膚はこのような状況でした。

転移再発としたらセンチネルリンパをスキップした転移リンパ節があったということでしょうか。センチネルリンパ生検はアイソトープと色素の併用です。
 
大学病院の主治医は転移があったとしても小さいので郭清すれば大丈夫だと言っております。
但し全身の検査は必要。術前は全身の遠隔転移の検査はしていません。
術後の腫瘍マーカーは正常です。

術後これほど早くに転移の可能性を指摘されるとは思ってもいなかったのでショックを受けました。
このような状況はまれなことなのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

皮質が厚くなり二層性を消失しているので針生検となり結果待ちです。
術後これほど早くにリンパ節に転移再発するのでしょうか?

⇒結果は未だなわけだから、あくまでも「本当に転移だったとしたら」という仮定の上ですが…
 その場合には単純に(術中取るべきだった本物の)「センチネルリンパ節の取り残し」ということになります。

転移再発としたらセンチネルリンパをスキップした転移リンパ節があったということでしょうか。
⇒無論、その可能性はあります。

大学病院の主治医は転移があったとしても小さいので郭清すれば大丈夫だと言っております。
⇒その場合には(あくまでも仮ですが)そう思います。

このような状況はまれなことなのでしょうか。
⇒勿論その通りです。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/4/7
***

  

質問者様から 【質問2】

術後半年のリンパ節転移
性別:女性
年齢:58
病名:
症状:
投稿日:2025年04月07日

田澤先生、先日は質問に答えてくださりありがとうございます。

炎症性肥大であってほしいと願っていましたが7ミリのリンパ節は細胞診で転移だと判明しました。
4ミリのリンパ節については調べていないそうです。
去年6月の術前のエコーでは当該リンパ節は薄く二層性がありました。今回転移が判明したリンパ節はそらまめのような形をしていましたが皮質が厚くなっていました。
偏在肥厚はありません。主治医によると経過観察していてもおかしくない状態だったそうです。

①転移リンパ節のサブタイプは変化することがあるのですか?
 主治医によるとホルモン療法をしているのに再発しているのは薬が効いていない可能性がある。転移したリンパ節のサブタイプ
 がトリプルネガティブやハーツー陽性になっていれば薬剤の変更をすると言っています。サブタイプに変化がない場合はホルモン薬の種類を変えるべきと言っていました。
②悪性度が高くグレード3、ki67が20%と高めだったので抗がん剤治療をしておくべきだったのでしょしょうか。
③細胞診の結果でいきなりリンパ郭清手術になるのでしょうか。針生検などはしないのでしょうか。また7ミリのリンパ節は微小転移の可能性はないのででしょうか。また転移が3個までに収まる可能性はありますか?
④先週pet-ctの検査をしました。今は結果待ちですが遠隔転移をしている可能性はあるのでしょうか?
 実は術前の腫瘍マーカーが高く、ceaが3.2 ca15-3が31.2 術後はceaが3.6 ca15-3が21.8でした。
 初期の乳がんで腫瘍マーカーが高くなることはないと書いてあることが多く、術前にすでに遠隔転移をしていたのではないかと
 かなり心配しています。術前に画像上ではリンパ節転移はないと判断されていたので遠隔転移の検査はしていませんでした。
 
お忙しいところ申し訳ありません。回答していただければ幸いです。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

リンパ節転移との診断、誠に残念です。
ただし、以下のように切り替えましょう。
『もしも、(あるあるですが)腋窩細胞診が「検体不良」となり、じゃー経過観察しようか。』となっていたら…(このようなケース「悲劇」が巷で如何に多いか? 大学病院で細胞診したらそうなった可能性は十分すぎる位ありそうです)
それに比べれば、すぐに診断されて幸いとして、気持ちを切り替えましょう。

①転移リンパ節のサブタイプは変化することがあるのですか?
 主治医によるとホルモン療法をしているのに再発しているのは薬が効いていない可能性がある。転移したリンパ節のサブタイプ
 がトリプルネガティブやハーツー陽性になっていれば薬剤の変更をすると言っています。サブタイプに変化がない場合はホルモン薬の種類を変えるべきと言っていました。

⇒術後半年では「ほぼ」変わらないと思います。(術後5年以上だと、5年間の治療が効かなかったサブタイプのものが選択されて、結果としてサブタイプが変わることがありますが…)

②悪性度が高くグレード3、ki67が20%と高めだったので抗がん剤治療をしておくべきだったのでしょしょうか。
⇒「取り残し」と「化学療法」は無関係です。
 化学療法を含めた全身薬物療法は、(取り残しのためではなく)「全身の遠隔転移再発を防ぐため」なのです。

③細胞診の結果でいきなりリンパ郭清手術になるのでしょうか。針生検などはしないのでしょうか。また7ミリのリンパ節は微小
 転移の可能性はないのででしょうか。また転移が3個までに収まる可能性はありますか?

⇒郭清手術をするべきです。(ここで「悪い連鎖」を作るリスクだけは避けましょう)

④先週pet-ctの検査をしました。今は結果待ちですが遠隔転移をしている可能性はあるのでしょうか?
⇒ありません。

 実は術前の腫瘍マーカーが高く、ceaが3.2 ca15-3が31.2 術後はceaが3.6 ca15-3が21.8でした。
 初期の乳がんで腫瘍マーカーが高くなることはないと書いてあることが多く、術前にすでに遠隔転移をしていたのではないかと
 かなり心配しています。

⇒それは100%違います。 あくまでも「個人差」であり、そのマーカーは全く
(現時点では)意味をなしません。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/4/21
***

  

質問者様から 【質問3】

術後半年のリンパ節転移
性別:女性
年齢:58
病名:
症状:
投稿日:2025年04月22日

田澤先生、私の質問に丁寧な回答をしていただきありがとうございました。

遠隔転移の可能性を心配しておりましたが、田澤先生から遠隔転移の可能性はないとの
回答に勇気づけられました。
pet/ct検査の結果、遠隔転移がないと判明しました。
左の脇のリンパにpetで反応がありましたが反応性と区別がつかないとの報告でした。

今週末にリンパ節郭清手術を予定しています。レベル2までの郭清をすることになっています。
術後にリンパ浮腫を起こすことも心配しています。

主治医は万全を期すために放射線治療もすると言っていますが、鎖骨にまで照射するとリンパ浮腫の
リスクはあがるのでしょうか?
また初期治療でリンパ節転移が3個までの場合、全摘手術の場合は放射線治療をしないことが多いと
聞きます。今回のような取り残しが大きくなってくるような場合はリスクが高いと判断されて放射線治療になるのですか?

今後の治療ですが、主治医は悪性度が高くグレード3であることを気にしていて分子標的薬を使うこともあるかもしれないと
言っています。。
リンパ節転移が判明した今、グレード3、ki67が20%というのはホルモン療法だけでは不十分ということなんでしょうか。

お忙しいところ申し訳ありません。回答していただければ幸いです。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

今週末にリンパ節郭清手術を予定しています。レベル2までの郭清をすることになっています。
⇒「レベル3までの郭清ができない」者に、本当の意味でのレベル2郭清はできません。
♯本来のレベル2郭清とは「小胸筋内縁までの郭清」をいうのですが、(実際には)
レベルⅢ郭清の視野を作られないと(その内縁までは)郭清出来ないのです。

郭清手技が疎かである「保険?」として腋窩照射を追加するという考えは誤りです。
腋窩照射はあくまでも「手術はきちんと」行った上で、「節外浸潤など(手術ではコンプリートできない)際に行うべきもの」と本来は思います。

術後にリンパ浮腫を起こすことも心配しています。
主治医は万全を期すために放射線治療もすると言っていますが、鎖骨にまで照射するとリンパ浮腫の
リスクはあがるのでしょうか?
また初期治療でリンパ節転移が3個までの場合、全摘手術の場合は放射線治療をしないことが多いと
聞きます。今回のような取り残しが大きくなってくるような場合はリスクが高いと判断されて放射線治療になるのですか?

⇒冒頭のコメントで解りましたか?

手術はきちんと行った上で「節外浸潤」があったら腋窩照射を追加しましょう。
決して「手術が不十分だから」と言う理由での腋窩照射は行うべきではないのです。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/5/7
***

  

質問者様から 【質問4】

術後半年のリンパ節転移
性別:女性
年齢:58
病名:
症状:
投稿日:2025年05月09日

田澤先生、お世話になります。
度々の質問、申し訳ございません。

先月、腋窩リンパ節の郭清手術をしました。
病理検査結果は今月末に出る予定です。
入院中に気になることがありました。
喘息の持病を持っているので入院中は服用している薬の処方がありましたが乳がんの再発予防に飲んでいたレトロゾールの処方がありませんでした。
主治医に確認したところ、レトロゾールは再発予防効果がなかったので処方しなかったと言われました。
病理検査結果を見て、サブタイプが変わっていなければタモキシフェンまたはフルベストラントに変更すると言われました。

質問①
去年の術前のエコーでは二層性があり、転移だと思われなかったリンパ節が半年で長径7ミリ、短径2ミリに癌細胞が成長するのはレトロゾールが効いていないのでしょうか?(転移巣の大きさはまだ分かっていません。)
正直、閉経後では子宮体がんのリスクが上がるタモキシフェンへの変更や臀部への筋肉注射で痛みを伴うフルベストラントへの変更は嫌だなと思っています。
田澤先生もホルモン薬の変更を考えられますか?また抗がん剤の追加も考慮されますか?

質問②
主治医に確認したところ、郭清したリンパ節にゴロゴロと腫れているリンパ節はなかったとのことでした。
先生の経験上、転移しているリンパ節が4個以上あると思われますか?
転移しているリンパ節が3個以内であれば放射線治療を省略することは可能ですか?

お忙しいところ申し訳ございません。
回答していただければ幸いです。

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

質問①
去年の術前のエコーでは二層性があり、転移だと思われなかったリンパ節が半年で長径7ミリ、短径2ミリに癌細胞が
成長するのはレトロゾールが効いていないのでしょうか?(転移巣の大きさはまだ分かっていません。)
正直、閉経後では子宮体がんのリスクが上がるタモキシフェンへの変更や臀部への筋肉注射で痛みを伴うフルベストラントへの変更は嫌だなと思っています。
田澤先生もホルモン薬の変更を考えられますか?また抗がん剤の追加も考慮されますか?

⇒そもそも術後補助療法は遠隔転移再発の予防で行うべきものであり、(取り残しなどの)局所再発を予防するためではありません。
其の意味ではホルモン療法を変更する理由はありません。

質問②
主治医に確認したところ、郭清したリンパ節にゴロゴロと腫れているリンパ節はなかったとのことでした。
先生の経験上、転移しているリンパ節が4個以上あると思われますか?

⇒予想しても仕方がないことです。(私は占い師ではありません)
結果は出る訳ですから、それを受け入れることです。

転移しているリンパ節が3個以内であれば放射線治療を省略することは可能ですか?
⇒「節外浸潤がない」とか、「きちんと完璧に郭清している」という条件も充たせば省略可能と思います。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/5/27
***