[管理番号:12572]
性別:女性
年齢:72歳
病名:右乳がん
症状:トリプルネガティブ乳がん
投稿日:2025年03月22日
こんにちは。
田澤先生の評判を拝見して、ぜひご意見を伺いたくメールさせていただきました。
先日、
右乳房2.2mm
トリプルネガティブ乳がん
MRIとCT、血液検査の細かな結果から
肺、肝臓、骨転移はなし。
リンパ節の腫れもないようなので今のところ転移はないと考える。
ステージⅡ
という診断をもらいました。
その上で、今後の治療方針で、ガイドライン的にどちらか選べるところにいると言われました。
①切除→術後抗がん剤か
②術前免疫療法+化学療法→手術→免疫療法
免疫療法はキイトルーダを使うとのこと。
・キイトルーダ、パクリタキセル+カンボプラチン(4サイクル)
・キイトルーダ、ドキソルビシン、シクロフォスファミド(4サイクル)
計8サイクルをしたのち手術→キイトルーダ(9サイクル)
高齢ということもあり、②の治療の選択は悩ましいができなくもないと。
トリプルネガティブ乳がんということもあり、再発など予後のことが心配でなりません。体力的にはある方だと思いますが、キイトルーダを使う治療法だと年齢的にこの治療法を選ぶ価値があるのかととても悩みます。免疫療法は内臓系の副作用が併発される可能性があると聞きました。化学療法に免疫療法を一緒にやった場合の副作用が年齢的にどうなのか。リスクが高すぎるのか?先生なら、予後(転移再発)の不安を考慮した上で、どのような治療法をお考えになりますか?
拙い文章で大変恐縮ですが、何か少しでもご教授頂けたら幸いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
高齢ということもあり、②の治療の選択は悩ましいができなくもないと。
⇒この一言があって、本当に安堵しました。
どこかの大学病院などでは、(おそらく)上記のようなコメントすることなく「トリプルネガティブは免疫チェックポイント阻害剤を用いた術前化学療法一択」それしかしません。
みたいな医師もいるだろうからです。
私から見ると、まさに「常軌を逸している」としか思えません。
「そもそも」論として70歳以上には「術後の補助療法としての抗癌剤」さえも、ある程度「いろいろ」考慮されるべきであり、ゴリ押しされるべきものではないのです。
♯術後の補助療法はあくまでも再発「予防」のためなのでゴリ押しすること自体全くナンセンス、無論専門医として「ガイドライン的には推奨されます」という言い方はしなくてはなりませんが「情報を共有する」ことと「ゴリ押しすること」は全く異なるのです。
トリプルネガティブ乳がんということもあり、再発など予後のことが心配でなりません。体力的にはある方だと思いますが、キイトルーダを使う治療法だと年齢的にこの治療法を選ぶ価値があるのかととても悩みます。免疫療法は内臓系の副作用が併発される可能性があると聞きました。化学療法に免疫療法を一緒にやった場合の副作用が年齢的にどうなのか。リスクが高すぎるのか?先生なら、予後(転移再発)の不安を考慮した上で、どのような治療法をお考えになりますか?
⇒無論、「免疫チェックポイント阻害剤を含む術前抗がん剤」は全く勧めません。
やはり考え方としては「治療」と「予防」というように区別すべきなのです。
手術はあくまでも「治療」(そこに現に癌があるわけだから予防でないことは明確)、それに対して(術前にしろ、術後にしろ)抗癌剤は「あくまでも予防」なのです。
例えばですが、術前に抗癌剤をやったことで(頻度は無論低いですが)体調を壊したり、肺炎などの有害事象となり「肝心の治療(手術)」が出来なくなってしまったとしたら… まさに「本末転倒」となります。
優先順位は治療⇒予防 これを柱とすべき
つまり手術先行、その上で「自分にとって(予防としての)抗癌剤を果たしてすべきか?」再度自問することをお勧めします。
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(回答が公開されてから2週間後)
2025/4/7
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