[管理番号:12024]
性別:女性
年齢:38
病名:右乳癌術後胸壁再発
症状:胸のしこり(触れるほど) ズキン、チクチクとした胸の痛み
投稿日:2024年09月17日
こんにちは、
3年前に乳癌全摘手術→抗がん剤(TC)を行い、ホルモン治療は自分の選択でしませんでした。
先月胸のしこりから再発が分かり、全ての検査行ったところ、
胸壁再発、鎖骨リンパ節、内胸リンパ節、縦隔リンパ説、心臓の近くの血管に転移があり、手術や放射線は出来ないと言われてしまいました。
現在は、○○センターにて、リュープリン注射とアナストロゾール、ベージニオの服用で、長期延命を目指す治療と言われています。
私の友人で、最初はホルモン治療のみでしたがどんどん転移が進み、亡くなった友達がいます。
私もまだ子供が小さい為、完治を目指した治療がしたいです。
私の今の状態で、今の治療が最適なのでしょうか?
本当に手術、完治は難しいのでしょうか?
乳がんの名医の先生の意見をお聞きしたいです。
もし手術が可能であれば、すぐにでも転移したいと思っています。
宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「手術費や放射線は出来ない」「リュープリン注射とアナストロゾール、ベージニオの服用で、長期延命を目指す治療」
⇒私が「今週のコラム 463回目」でまさに言いたかったことと重なります。
(以下、抜粋)
患者さんは「遠隔転移があるから手術をしない」と言われたことにも増して
『どうせ治らないのだから、手術はしても無駄』
そう(ニュアンス的に)言われたように感じたのです。
↑
何気に、ここが問題の一つだと思います。
♯こんな風に言われたら、絶望を感じる気持ちも十分に理解できます。
胸壁再発、鎖骨リンパ節、内胸リンパ節、縦隔リンパ説、心臓の近くの血管に転移があり、手術や放射線は出来ない
⇒本当にそうなのか?
(無論)胸壁再発は「どの程度の範囲なのか?」記載がないので(診察しないことには)手術可能なのかは不明です。(鎖骨上?下?も同様)
但し、(おそらく主治医は)「手術できるか?どうか?」など最初から想定していないと思います。
私が診察したうえで(可能ならば)「胸壁+鎖骨(上?下?)リンパ節」は手術①、術後に「胸骨傍リンパ節(内胸)及び縦隔リンパ節」は術後照射②が最強の局所療法といえるでしょう。
その上で、(初回術後でTCしかしていないのだから)anthracycline(EC or AC)x4
③⇒CDK4/6 inhibitor(palbociclib or abemaciclib)+letrozole+LH-RHagonist④
つまり(主治医が提示している治療は)私から見れば重要である上記①~③を省略して④をしているわけです。
♯ガイドラインでは再発一次内分泌療法として「一見正しい」とは言えます。(誰もその意味では反論できません)
しかしそれが患者さんにとってのベストな治療なのか?
局所治療を「あっさりと諦める」その姿勢が乳腺「外科医」として、それでベストだと胸を張って言えるのか?
上記①~③を経て④に到達する場合と、最初から(長期延命を目指すだけの)④を行う治療
まさに、「負けざる者たち」となれるのか?の分かれ目のように感じています。
本当に手術、完治は難しいのでしょうか?
⇒無論(上記コラムの中でも述べたように)根治を保証することはできません。
ただ、(自分にとって)何がベストなのか?
「負けざる者たち」ターニングポイントは身近にあるのです。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/9/25
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