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PET/CTで淡く描出される鎖骨上リンパ節

[管理番号:11471]
性別:女性
年齢:67
病名:
症状:
投稿日:2023年12月05日

お世話になります。

67歳女性、左乳房内側下部のしこりを健診で指摘され、生検の結果浸潤性乳管癌と診断されました。
histrogical grade: Ⅲ
Estrogen receptor:7
Progesteron receptor:7
HER2:2+
MIB-1 index:50%
でした。
造影MRIで腫瘍径は17mm程度で、エコーで腋窩、鎖骨周囲のリンパ節は指摘されませんでした。
今後乳房部分切除の手術を予定しているのですが、術前PET/CT検査で、原発巣以外に鎖骨上リンパ節が1つ淡く描出されており(SUV max2.1)、これは転移の可能性があるのでしょうか?
また今後の治療方針にはどのように影響してくるのでしょうか?
よろしくお願い申し上げます。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

術前PET/CT検査で、原発巣以外に鎖骨上リンパ節が1つ淡く描出されており(SUV
max2.1)、これは転移の可能性があるのでしょうか?

⇒超音波で判断すべきです。

また今後の治療方針にはどのように影響してくるのでしょうか?
⇒(もしも超音波で転移の可能性があるのであれば、細胞診をしたうえで)手術時に一緒に切除してしまえばいいし、(もしも超音波で転移の可能性が低いのならば)それは経過観察として予定通りの手術だけ行えばいいのです。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/12/18
***

質問者様から 【質問2】

左鎖骨上窩リンパ節転移
性別:女性
年齢:67
病名:
症状:
投稿日:2024年02月02日

前回術前PET-CTで左鎖骨上窩リンパ節が淡く造影されていると相談させていただきました。
エコーでは転移を疑う所見なく左乳房温存手術を施行しました。
術中センチネルリンパ節生検は0/1で陰性、術後病理結果は
Invasive ductal carcinoma, solid type, Ly0, V0
浸潤径 17??8mm
腫瘍径 38mm
surgical margin negative
histological grade II
HER2 score 2+
→FISHでgroup4
(術前の針生検結果でも同様だったためHER2陰性という診断)

術後はHER2がgroup4だったことから再検査を行なっていたりで術後2ヶ月は無治療でした。
HER2陰性の結果をうけ、オンコタイプDXを提出して化学療法については検討することになり、まずは温存乳房に対して放射線治療を行うこととなっていました。またホルモン剤も内服開始しました。

しかし、術前のPET結果が気になっており、先日ふと左鎖骨上を触ってみたところこりっとした腫瘤を触れました。緊急で穿刺細胞診を施行したところadenocarcinomaという結果でした。リンパ節は2cm弱まで大きくなっています。
鎖骨上のリンパ節が触れるようになった現在も腋窩リンパ節、内胸リンパ節には腫大したものはありません。
主治医の先生は、腋窩をスキップして鎖骨上リンパ節に転移することは非常に稀で術後病理結果からも乳がんの転移であるとは考えにくい。
他の癌の可能性もあるが、PETではその他の癌を示唆する所見がなく非常に悩ましいということでした。まずはリンパ節生検し、他の臓器の精査を行っていくことになっています。

ご質問したいことは、
・乳がんが腋窩リンパ節や内胸リンパ節に転移することなくスキップして鎖骨上窩リンパ節に転移することがあるのか。その場合転移再発にあたるのか。
・その場合の予測される予後はどの程度か。
・2ヶ月で2cm弱まで大きくなるということは相当スピードが速いのか、それは乳がんのリンパ節転移でも説明がつくものなのか。
・乳がんの転移だったとして、今後の治療方針はどのようなものが適切か。
・田澤先生は鎖骨上リンパ節郭清を推奨されておりますが、リンパ節腫大が一個のみであれば生検で取り除くことは効果が同等なのか。

早期乳がんとして、今後の大方の治療方針も決まりかけていた中でこのような結果となり非常に動揺しております。
乳がんの鎖骨上リンパ節転移であれば遠隔転移と同等のため、積極的治療をしないことも選択肢の一つと言われています。

お忙しい中恐縮ですがどうぞよろしくお願い申し上げます。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

・乳がんが腋窩リンパ節や内胸リンパ節に転移することなくスキップして鎖骨上窩リンパ節に転移することがあるのか。その場合転移再発にあたるのか。
⇒実際にあります。
私のように、全国から同様のケースが集まってくるから(私にとっては)それほど珍しくはありませんが実際にあるのです。

・その場合の予測される予後はどの程度か。
⇒鎖骨上リンパ節転移は、局所がコントロールされれば無論根治も考えます。(最近挙げた今週のコラムを参照のこと)

・2ヶ月で2cm弱まで大きくなるということは相当スピードが速いのか、それは乳がんのリンパ節転移でも説明がつくものなのか。
⇒上記の通り

・乳がんの転移だったとして、今後の治療方針はどのようなものが適切か。
⇒局所治療+全身治療で考えます。

1.局所治療:鎖骨上郭清+(病理結果で節外浸潤があれば)照射
2.全身治療:(術後補助療法もまだなので)抗癌剤⇒(その後)CDK4/6阻害剤

・田澤先生は鎖骨上リンパ節郭清を推奨されておりますが、リンパ節腫大が一個のみであれば生検で取り除くことは効果が同等なのか。
⇒どの程度の手術なのか?はその術者に聞いてください。

乳がんの鎖骨上リンパ節転移であれば遠隔転移と同等のため、積極的治療をしないことも選択肢の一つと言われています。
⇒全くナンセンス!
自分のことは、(担当医に惑わされずに)きちんと自分で考えましょう。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/2/12
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