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パクリタキセルと肝障害

[管理番号:2723]
性別:女性
年齢:52歳
初めましてよろしくお願い致します。
2015年9月(上旬)日に乳がん検診で左胸の癌が発見され、1.8センチの初期段階のステージ1で早期発見で温存手術のち放射線治療で大丈夫だろうとの先生のお言葉でした。
11月(上旬)日に手術した所、リンパ節転移ありで廓清手術し、詳しい結果は
経過: 左Bp+SLNB(1/4)→AXLND
病理結果:Invasive ductal carcinoma
pT14mm n5/15 ly+SM- 核G1
 免染:ER+ 80-90% PgR+ 40-50% HER2:1+  Ki-67:未着
専門用語でわかりませんが、リンパ節転移とリンパ管への癌への侵襲があり、
顔つきは大人しいタイプで他への転移は見つからないがタンポポの綿毛のように、
他に着床する前に叩きましょうとの事で抗がん剤と放射線治療、タスオミン10年間との治療方法が決まりました。
担当医の先生も正直リンパ節まで転移していたこと予想外だったようです。
手術までの2カ月で進んだ可能性はあったのかと疑問は持ちましたが、
過去を戻すことが出来ませんので治療に専念しています。
現在の治療は12月(中旬)日よりFEC100を3週4クールを終了し、3月(上旬)日よりパクリタキセルを毎週12回始めました。
アルコールでのアレルギーの心配はありませんでしたが、2回目の採血の結果が
AST146  ALT246 と高く肝臓への負担が大きくこの日は点滴が出来ず
ウルソデオキシコール酸錠とネオファーゲンc配合錠を一日三回2錠ずつを処方され服用しています。
次の3/23  AST46  ALT95 と少し
落ち着きましたが75%の薬の投与でした。
3/30  AST60  ALT117
 とまた数値が高く60%の投与です。
投与量が少ないことで癌をやっつけることが出来ないのではと先生にお聞きした所、量は少なくても肝臓の様子を見ながら続けて行くことが大事で12回以上はできないとの事でした。
5年前に胆のう摘出していることが肝機能低下につながるのでしょうか?
このまま完全な状態で治療が出来ない事に再発の不安を抱いています。
他の人との治療法や健康状態は比べてもしょうがないと思いながらも不安です。
再発の可能性はどの位なのか教えて下さい。
今、私の肝臓を正常にするにはどのようにすれば良いでしょうか?
(昨年末、父を肝臓がんで亡くしていることもあり不安が助長されているのかもしれません)回答のほどよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
抗がん剤投与による「肝機能障害」
副作用のように「我慢する/しない」という「自分の意志」を超えたものなので、くやしい気持ちは理解できます。
「5年前に胆のう摘出していることが肝機能低下につながるのでしょうか?」
⇒無関係です。
 胆嚢はあくまでも「消化液(胆汁)」をためておくだけのものです。
 
「このまま完全な状態で治療が出来ない事に再発の不安を抱いています。」
⇒アンスラサイクリンは完遂できているのだから、それ程問題はありません。
 
「再発の可能性はどの位なのか教えて下さい。」
⇒このままタキサンまで完遂すれば、15%となります。(因みにタキサンの上乗せは僅か3%です)
 ○つまり、アンスラサイクリン単独で終了すると18%となります。
 
「今、私の肝臓を正常にするにはどのようにすれば良いでしょうか?」
⇒「抗がん剤を辞める」ことで、正常に戻ります。
 つまり、抗がん剤を継続するなら「だましだまし(減量したり、延期したりしながら)」しかありません。
 
「昨年末、父を肝臓がんで亡くしていることもあり不安が助長」
⇒「肝臓がん」と「肝機能(肝臓の予備力)」とは全く関係ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生 管理番号2723です
先日はお忙しい中、ご回答ありがとうございました。
数々の疑問が解決されホットしております。
そこでまた新たな質問の回答をお願いいたします。
その後、肝臓の薬を飲みつつ、だましだましの60%から75%のパクリタキセル点滴をし5回目となりました。
不明でしたKi-67が21%と判明し、LumialAだがLN5転移ありリスク高いためadjuvant導入とカルテには書いてありました。
質問①再発の心配をしてしまいましたが5個のリンパ転移があって、この治療法で完治は望めますか?
②肝機能に不安があり先生に聞いたところパクリタキセル以外ないとの事ですが今後再発した場合は次の打つ手はあるのでしょうか?
③新しい髪の毛が生えてきました、パクリタキセルの量が少ない事と関係あるのでしょうか?
④22歳の妊婦の娘がいます。
体質的にとても似ていて、低体温(35℃前半)免疫力低下が癌になりやすいと聞きました(普段風邪はひかないのですが)。
今後、私のようにならないか心配です。
これから娘に気をつける
ことはどのようなことでしょうか?
ご回答の程よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「質問①再発の心配をしてしまいましたが5個のリンパ転移があって、この治療法で完治は望めますか?」
⇒当然です。
 そのための「術後補助療法」です。
 完治(根治)の可能性の方が明らかに高いです。
 
「②肝機能に不安があり先生に聞いたところパクリタキセル以外ないとの事ですが
今後再発した場合は次の打つ手はあるのでしょうか?」
⇒再発したら「あらゆる抗ガン剤の適応」となります。
 「術前術後補助療法で適応のある抗ガン剤は限られています」が、再発治療には「かなりの種類の抗ガン剤の適応」が出てきます。
 
「③新しい髪の毛が生えてきました、パクリタキセルの量が少ない事と関係あるのでしょうか?」
⇒関係あると思います。
 
「④22歳の妊婦の娘がいます。体質的にとても似ていて、低体温(35℃前半)
免疫力低下が癌になりやすいと聞きました(普段風邪はひかないのですが)。」
⇒考え過ぎです。
 
「これから娘に気をつけることはどのようなことでしょうか?」
⇒普通に…
 30歳を過ぎたら「年に1回の検診」を受けましょう。