[管理番号:1866]
性別:女性
年齢:44歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
田澤先生おはようございます。
NO.1658「左胸に約2センチのしこりがあります。」で質問をさせて頂き、先月末に田澤先生に乳腺エコーと(同日に)マンモトーム生検をして頂きました。
当日は、周りの知人達から聞いていて恐ろしい(痛みを伴う)と思っていた針生検は、痛みもほとんど無く、先生の技術が心から有り難かったです。
先日は本当にありがとうございました。
一昨日針生検の結果が出て、検査結果の用紙をみながら現在の状況の説明を受けましたが、その場では温存手術にするか全摘にするかを決めかねてしまったので…手術前にもう一度来院してMRI撮影を撮ってみて(温存でも安心出来るか詳しく調べて)決めますか?と先生に言って頂きましたが…
帰宅して検査結果の用紙をみてますと、grade3という結果がやはり気になってしまい…
これは温存の場合も全摘の場合も術後の抗ガン剤を使用する確率は同じくらいになりますか?
あと、再発の確率などもどのくらい違いがあるのでしょうか?
診察時に直接聞けばよかったのですがまたしても何を聞いていいのか咄嗟に解らず、二度手間で本当にすみません。
やはり手術をして病理検査をしてからじゃないと今の自分の状況(今後の状況)がどの程度のものかは、先日頂いた結果より詳しくはわからないものでしょうか?
(もし差し支えなければ自分の現時点の検査結果等もこの場で記載していただくと、同じような状況の方へにも先生からのアドバイスになると思うのでよろしくお願いします。)
あと、(自営で飲食店をやっているもので、)手術を受けてから通常に仕事が出来るまではどのくらいかかるものか、もし現時点でおおよその期間がわかれば助かります。
あと、抗ガン剤を使用しなければならなくなった場合、副作用が少ないものの使用は可能でしょうか?
抗ガン剤が仕事への影響がどのくらいあるのかもよければ教えて下さい。
お時間あるときで構いませんのでよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
了解しました。
「自分のケースを他の人達の参考になるように」との御配慮は素晴らしい事です。
「grade3という結果がやはり気になってしまい…これは温存の場合も全摘の場合も術後の抗ガン剤を使用する確率は同じくらいになりますか?」
⇒「温存でも切除でも」全身療法(抗癌剤など)は全く同一です。
乳癌治療は「局所療法(手術±放射線)」と「全身療法(ホルモン療法や抗がん剤)」で成り立っていますが、「局所療法と全身療法は全く別個」なのです。
つまり「温存+放射線」を選択しても、「全切除」を選択しても「全身療法として何が必要か?には全く影響を与えません」
「再発の確率などもどのくらい違いがあるのでしょうか?」
⇒これも「局所再発」と「全身(転移)再発」に分けて考える必要があります。
○局所再発(温存乳房内もしくは切除後の皮下など)は「乳房切除ではほぼゼロとなりますが、乳房温存術では(放射線をかけても)ゼロにはなりません」
⇒温存術では「乳腺を残している」以上、「乳房内にまた出る(局所再発)」確率(放射線照射で1/3となりますが)は「10年で数パーセントとなる」のです。
○全身(転移)再発は「温存術でも全摘でも全く同等」です。
「もし差し支えなければ自分の現時点の検査結果等もこの場で記載していただくと、同じような状況の方へにも先生からのアドバイスになると思う」
⇒質問者は(術前、画像上の)ステージはcT1c, cN0, cStage1 サブタイプはルミナールタイプで核グレードが3です。
「核グレード」は「術前針生検と術後病理組織で若干の違い」がでてくる可能性があります。
○手術を「温存にするにしろ、全切除にするにしろ」ホルモン療法は必須となります。
抗がん剤の適応については、「術後の病変全体でのKi67(細胞分裂期にある細胞の割合」によって「ルミナールA(Ki67低値)」か「ルミナールB(Ki67高値)」となります。
ルミナールAなら「ホルモン療法単独」、ルミナールBなら「ホルモン療法+化学療法」となります。
★この点が「術後にしか解らない」部分です。
「手術を受けてから通常に仕事が出来るまではどのくらいかかるものか、もし現時点でおおよその期間がわかれば助かります」
⇒部分切除にしても全切除にしても、「仕事は退院翌日から復帰可能」です。
実際に「若い年代」では「すぐに仕事復帰」しています。
「抗ガン剤を使用しなければならなくなった場合、副作用が少ないものの使用は可能でしょうか?」
⇒可能です。
ルミナールBでの抗がん剤はTC療法(比較的、楽)が適応となります。
「抗ガン剤が仕事への影響がどのくらいあるのかもよければ教えて下さい」
⇒TC療法であれば「仕事に影響が出る期間は点滴してから4,5日」です。(点滴は全部で4回です)
副作用の程度が「仕事ができないくらいなのか?」は「個人差があります」が「1回の点滴で4~5日みておけば大丈夫」と思います。