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温存可能な場合の全摘手術検討について

[管理番号:8263]
性別:女性
年齢:50歳
病名:浸潤性アポクリン癌
症状:9㎜大のしこり
投稿日:2020年1月31日

初めてご質問させて頂きます。

宜しくお願い致します。

2019年12月中旬 検診にて
左乳房乳輪部(E領域)に最大径(9㎜大)の腫瘤陰影(乳房腫瘤)を認めます。
今回のエコー所見(形状や硬さ、周囲のエコー所見など)だけでは、良悪性の鑑別が困難です。
マンモグラフィ異常なし。
→要受診

2019年12月下旬 乳腺科受診
検診同様、マンモグラフィでは腫瘤確認出来ず。
エコー下にて針生検。

2020年1月上旬
浸潤性アポクリン癌、トリプルネガティブ、ki67:11%おとなしいタイプの癌であるとの説明を受けました。

その後、CT、MRI検査を受け、乳頭との距離2cmは有る、広がりが無い事を確認し、私の希望である温存も可能ということになりました。

姉が両側性乳がん(右側:非浸潤癌、左側:ルミナルA)で有る為、全摘した方が良いのかを主治医に確認したところ、「お勧めはそちらですが、手術まで時間が有るので、
遺伝性の確認をしてから検討しても良いのでは?」と提案されました。
ただ、遺伝子検査は私一人で済む問題では無い為、遺伝子検査を受けられません。

温存するか?再発のリスクを低減させる為に全摘+同時再建するか?悩んでおります。
全摘+同時再建する場合は、人工物を入れる事に抵抗が有る為、自家組織再建を考えています。
温存可能なのに、再発を恐れ過ぎて、乳房以外にも大きなダメージを
与えて良いのか?その後の抗がん剤治療は大丈夫なのか?と不安です。

姉が両側性乳がんの場合、全摘に踏み切った方が良いのか?
先生のお考えをご回答頂けましたら幸いです。
宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「姉が両側性乳がんの場合、全摘に踏み切った方が良いのか?」
→その理由だけで全摘する必要はありません。

 (もしも)遺伝性乳癌だったとしても(確認できませんが)、その影響は両側なのだから、今回の片側だけ全摘すればすべて解決ではないのです。
 ★遺伝性乳癌を恐れて、片側だけ全摘を選択するのは(敢えて言えば)中途半端な選択とも言えます。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

温存可能な場合の全摘手術検討について
性別:女性
年齢:50歳
病名:浸潤性アポクリン癌
症状:9㎜大のしこり
投稿日:2020年2月7日

田澤先生、前回はご回答頂きありがとうございました。

先生の仰る通り、遺伝性の可能性を恐れ、
片側だけを全摘するのは中途半端な選択であると気付かされました。
トリプルネガティブである事がショックで、片側の存在に考えが及びませんでした。

2016年:左乳房、乳腺嚢胞との指摘
2017年:左・右乳房、乳腺嚢胞との指摘
2018年:未検診
2019年12月:左乳房9㎜大の腫瘤指摘、右乳房は正常範囲
2020年1月:左乳房 潤性アポクリン癌、ト
リプルネガティブ(ki67:11%)との診断

2017年より両側乳房に乳腺嚢胞の指摘を
受けていましたが、判定は心配なしとのことでした。
左乳房の乳腺嚢胞が癌化したの
か?いずれ右側乳房も癌になるのか?と不安です。
(2019年マンモグラフィは両側異
常なしなのに、エコー判定は異常なしでは
無い為、正常範囲ということは何か有る?)

改めて質問させて下さい
①・トリプルネガティブの浸潤性アポクリン癌である(ki67:11%)
・遺伝性の可能性(確定ではない)
・右側乳房に乳腺嚢胞(現在の存在不明)

以上3点を考慮した場合、田澤先生は全摘を勧めますか?

②もし全摘+同時再建(自家組織)した場合、抗がん剤治療に支障は有りませんか?

③トリプルネガティブの抗がん剤は、それ
以外のタイプの方と違うものになります
か?(トリプルネガティブは大変と耳に
し、他のタイプより副作用か強い薬を使
用するのか?とかなり不安です。)

3月中旬に手術を予定していますが、次回受診前で主治医に確認出来ず、迷い、不安が募るばかりです。
ガイドライン等を見ても判断がつきません。

お忙しいところ申し訳ございませんが、再びご回答頂けましたら幸いです。

宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「①・トリプルネガティブの浸潤性アポクリン癌である(ki67:11%)
・遺伝性の可能性(確定ではない)
・右側乳房に乳腺嚢胞(現在の存在不明)
以上3点を考慮した場合、田澤先生は全摘を勧めますか?」

→温存です。(前回と回答が変わる理由がありません)

「②もし全摘+同時再建(自家組織)した場
合、抗がん剤治療に支障は有りませんか?」

→?
 (その点に)支障が無いから主治医は同時再建を勧めているのでは??

「③トリプルネガティブの抗がん剤は、それ
以外のタイプの方と違うものになります
か?(トリプルネガティブは大変と耳に
し、他のタイプより副作用か強い薬を使
用するのか?とかなり不安です。」

→普通に…
 Anthracycline + taxaneです。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

術後抗がん剤治療について
性別:女性
年齢:50歳
病名:左乳癌
症状:
投稿日:2020年4月6日

お世話になります。

田澤先生の患者でない私の質問にもご回答頂き、心より感謝致します。

物事はシンプルに…
シンプルに考えた結果、3月中旬に温存手
術を受け、病理診断結果が出ました。

ER :0%
PgR :0%
HER2:1+
ki67:10%
浸潤径:8㎜
リンパ節転移なし
断端陰性
脈管浸潤なし
グレード:1,2
トリプルネガティブ
アポクリン癌

病理診断結果は出ましたが、抗がん剤治療については未定です。

上記結果により、無治療の提案を頂ける可能性が有ります。

以前のQ&Aに
・大人しいアポクリン癌に抗がん剤は
効きません。

・「トリプルネガティブのアポクリン癌」
でも「ki67が一桁」の場合には「無治 療を提案」しています。
(ガイドライン もお話したうえで)
と、有りました。

質問①:ki67が一桁でない(10%)は抗が
ん剤治療は、やるべき治療です
か?

質問②:無治療を選択した場合、経過観察
は、3カ月毎にエコーをして頂けば
大丈夫でしょうか?

質問③:再発を心配するなら抗がん剤治療
を受ける…効果のないアポクリン癌
には過剰治療となりますか?

質問④:放射線治療中に気持ちが変わり
放射線治療後に抗がん剤治療を
受けても支障はありませんか?

質問⑤:ki67 10%の場合、上乗せ効果は
0に等しいですか?

抗がん剤治療は、出来れば受けたくない治療ではありますが、無治療の選択は複雑な気持ちになります。

ホルモン療法も効かない、抗HER2薬も効かない、その上抗がん剤も…私に効く薬は無いのか?トリプルネガティブにも分子標的治療薬が開発されることを願います。

お忙しい中ご回答頂ければ幸いです。

宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

早期乳癌、大変よかったですね。

「質問①:ki67が一桁でない(10%)は抗が
ん剤治療は、やるべき治療ですか?」

⇒「線引き」は難しい。
 最終的にはご本人次第でしょう。(強くは勧めない)

「質問②:無治療を選択した場合、経過観察
は、3カ月毎にエコーをして頂けば
大丈夫でしょうか?」

⇒3か月にする理由がありません。
 「半年」で十分です。

「質問③:再発を心配するなら抗がん剤治療
を受ける…効果のないアポクリン癌
には過剰治療となりますか?」

⇒本当に効果がないのか?(誰にも分らないことです)

 ガイドラインにある以上「過剰治療」という位置づけにはなりません。

「質問④:放射線治療中に気持ちが変わり
放射線治療後に抗がん剤治療を
受けても支障はありませんか?」

⇒勿論、そのようなパターンはいくらでもあります。(例えばOncotypeDXを待っている間に放射線⇒結局抗がん剤 など)

「質問⑤:ki67 10%の場合、上乗せ効果は
0に等しいですか?」

⇒Ki67で抗がん剤による上乗せを判断することはできません。(無論、数値もありません)

 あくまでも「効果が無さそう」という感覚的なレベルです。

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

術後抗がん剤治療について
性別:女性
年齢:50歳
病名:左乳癌
症状:
投稿日:2020年4月28日

田澤先生こんにちは。

前回もご回答頂きありがとうございました。

温かい一言(早期乳癌、大変よかったですね。)が添えられていたこと、大変嬉しく思いました。
ありがとうございます。

前回ご回答頂いた数日後、主治医より抗がん剤無治療の提案を頂きました。
(難しい判断をして頂いたのだと思います)
リンパ節転移なし、低リスクであるからとのことでした。

放射線治療を先行し、治療しながら検討する事に致しました。

主治医も田澤先生同様、(強くは勧めない)という感じでした。

質問:抗がん剤治療するのであればTC療法単独を3カ月で良いと言われました。
抗がん剤治療するのであれば、中途半端な治療でしょうか?リンパ節転移のない大人しいアポクリン癌(ki67:10%)には十分な治療となりますか?

お忙しいところ申し訳ございませんが
ご回答頂けましたら幸いです。

宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

「質問:抗がん剤治療するのであればTC療法単独を3カ月で良いと言われました。
抗がん剤治療するのであれば、中途半端な治療でしょうか?リンパ節転移のない大人しいアポクリン癌(ki67:10%)には十分な治療となりますか?」

⇒十分だと思います。