[管理番号:6931]
性別:女性
年齢:58歳
病名:
症状:
いつも拠り所として、乳がんプラザを拝見させていただいております。
10月初旬に右房全摘し、化学療法適用に迷い、オンコタイプを実施いたしました。
田澤先生のご見解をお聞かせいただけましたら幸いです、よろしくお願いいたします。
【術後病理結果】
腫瘍の大きさ:浸潤18×12×12mm
細胞異型度Ⅲ、核異型2、核分裂3(13/10HPF)
脈管侵襲:v(-)、 ly(-)
リンパ節転移:SNL0/1、腺内0/1
ER(+95%<)、PgR(+/-;1%)、Her2/neu(0)、
Ki67;25%
【オンコの結果】(NSABP B-14、NSABP B-20)
再発スコア:25
予後予測_タモ単独療法10年遠隔再発率:16%
化学療法効果予測_タモ単独10年遠隔発生率:12%(グラフから)
化学療法効果予測_タモ+化学10年遠隔発生率:7%(グラフから)
*上記から上乗せは5パーセント
ERスコア:12.4陽性
PRスコア:4.5陰性
HER2スコア:8.8陰性
1)以下のような過去のご教示から、化学療法適用は上乗せ5%という数字をどう判断するかということ
だと思いますが、田澤先生でしたら適用をおすすめになりますでしょうか。
・再発スコア0~25までの50歳を超えるすべての女性はベネフィットはない。
(TAILOR)
**スコア25は丁度線引き値ですので、気になっています。
・スコア18~30の中間リスクには確かな利益がない。
・中間リスクでは、高リスクに近い値でも無関係で、上乗せはほとんどない。
・オンコで低、中間リスクとなれば、化学療法上乗せ効果がないのでルミナ―ルAとなる。
**「上乗せ効果がない」と判断されるのは、何パーセント以下?
2)ルミナ―ルAかBの判定「増殖能力が高い」は、オンコの結果情報からはどのように判断されるのでしょうか。
再発スコアがいくつ以上、例えば、31ないしは、26以上はルミナ―ルBとなるのでしょうか。
あるいは上乗せ効果が何パーセント以上(=抗がん剤は増殖性への発揮能力が高い)だとルミナ―ルB?
3)結局オンコでもA、B判定にグレーゾーンが存在し、化学療法の要否が明確でない場合は、5%の上乗せで判断することになりますが、その際核分裂グレード3を意識してしまうのは間違いでしょうか。
4)10年遠隔発生率で、「予後予測のタモ単独:16%」と「化学療法の効果予測タモ単独:12%」は
なぜ同一数値にならないのでしょうか?
以上、お忙しいところ恐縮でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「1)以下のような過去のご教示から、化学療法適用は上乗せ5%という数字数字をどう判断するかということだと思いますが、田澤先生でしたら適用をおすすめになりますでしょうか」
→勧めません。
「あるいは上乗せ効果が何パーセント以上(=抗がん剤は増殖性への発揮能力発揮能力が高い)だとルミナ―ルB?」
→そもそもが遺伝子検査と言えども「intrinsic subtype」と「OncotypeDX」ではアプローチが違うので、厳密に重なるわけではありません。「トップページ」の『乳がんの分類』をご参照ください。
あくまでもルミナールタイプを「抗がん剤が効く群」と「抗がん剤が効かない群」に分けるために、それぞれ異なったアプローチなのです。
★『intrinsic subtypeでのルミナールB(これが真の意味のルミナールBです)
とOncotypeDXでのhigh risk群は、かなりの確率で重なる』とは思いますが完全には一致していないと思います。
「その際核分裂グレード3を意識してしまうのは間違いでしょうか。」
→それは質問者の自由ですが、(私には)全く無意味に思えます。
「4)10年遠隔発生率で、「予後予測のタモ単独:16%」と「化学療法の効果予測タモ単独:12%」は なぜ同一数値にならないのでしょうか? 」
→臨床試験の結果だから、当然(両試験間で)「患者背景が異なるから」です。(ピタリ一致していたら、それこそ「嘘くさい」と思いませんか?)
質問者様から 【結果2 オンコの判定結果】
性別:女性
年齢:58歳
病名:
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]
明解なご説明を誠にありがとうございました。
おかげさまで氷解し、迷いなくホルモン治療に専念ができます。今年7月のがん宣告からここまでこれましたのも田澤先生のお導き、乳がんプラザがあってのことと感謝の気持ちで一杯です。乳がんプラザ運営の意義をあらためて実感いたしました。
<Q&A結果>