[管理番号:1163]
性別:女性
年齢:42歳
こんにちは。お忙しい中申し訳ありませんが、オンコタイプDXについて質問させて頂
いてよろしいでしょうか。
オンコタイプDXは、癌の性質のみを測るものですが、オンコタイプDXでの結果は腫瘍
径などが違っても同じなのでしょうか?
例えば
オンコタイプDXでのスコア20、腫瘍径7ミリ 脈管侵襲なしの患者と
オンコタイプDXでのスコア20、腫瘍径27ミリ 脈管侵襲ありの患者では予後は同じですか?
もし違うなら、オンコタイプDX検査の位置付けはどうなのでしょうか?
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
オンコタイプDXでの臨床情報は「リンパ節転移の程度(個数)」と「ER, PgR」であ
り、「腫瘍径」については無関係となっております。
回答
「オンコタイプDXでの結果は腫瘍径などが違っても同じなのでしょうか?」
⇒同じとなるとは思います。
「オンコタイプDXでのスコア20、腫瘍径7ミリ 脈管侵襲なしの患者とオンコタイプDX
でのスコア20、腫瘍径27ミリ 脈管侵襲ありの患者では予後は同じですか?」
⇒予後は異なります。
「もし違うなら、オンコタイプDX検査の位置付けはどうなのでしょうか?」
⇒予後をこれ単体で判定するべきではありません。
あくまでも「予後予測因子の一つ」としての位置付けと考えるべきです。
○オンコタイプDXは(術後化学療法の効果予測因子として)「化学療法をすべき
か」の選択に用いるべきだと思います。(Ki67よりは、より精度の高いものとして)
質問者様から 【質問2】
先日は、オンコタイプDXについて回答頂き、ありがとうございました。
化学療法するべきか悩んでおります。先生のご意見をお聞かせ頂けますか?
腫瘍径7ミリ、f、脈管侵襲なし、センチネル陰性、ホルモン共に強陽性、HER2陰性、ki67低値でルミナルAと言われましたが、グレード2が気になりオンコタイプDXをしたところスコア21の中間リスクでした。
この結果だとルミナルBでしょうか?
主治医の先生は高リスクでない限り、7ミリの腫瘍に化学療法は勧めないと言っておりますが、先生も同意見ですか?
主治医の先生はゾラデックス5年にタモキシフェン10年で十分との意見でした。
ホルモン治療を10年頑張れば、完治出来ますか?
迷って迷って、どうしたら良いのか分からない状態です。宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
まず一言コメントしますが、「グレード2」というのは「普通の所見」です。
それを持って「抗がん剤をするべきか悩む」というのは私は賛成できません。
グレード1は「少数派」にすぎません。
pT1b(7mm), pN0, luminal A
極めて低リスクです。
私であれば(迷うことなく)タモキシフェン単剤です。
ゾラデックスを「上乗せする理由」がみつかりません。(35歳以下でもないし、ハイリスクでもありません)
回答
「この結果だとルミナルBでしょうか?」
⇒luminal Aです。
Luminal Aの定義に「オンコタイプDXは無関係」です。
オンコタイプDXはあくまでも、「予後予測因子の一つ」でしかありません(推奨度Bです)
以下の事も考えられます。
「luminal Aであり、オンコタイプDXのRSがハイリスク」
「luminal Bであり、オンコタイプDXのRSがローリスク」
これらの場合に、どちらを優先させるかは「総合的に判断すべき」ものです。
「主治医の先生は高リスクでない限り、7ミリの腫瘍に化学療法は勧めないと言っておりますが、先生も同意見ですか?」
⇒同意見です。
化学療法による「上乗せ効果」は殆ど無いと思います。
「主治医の先生はゾラデックス5年にタモキシフェン10年で十分との意見でした」
⇒これは「質問者が(グレード2であることに?)不安を表明しているから」とか「42歳という(比較的若年という)年齢から」の選択でしょうか?
通常であれば、タモキシフェン単独が選択されると思います。
「ホルモン治療を10年頑張れば、完治出来ますか?」
⇒90%以上で根治すると思います。
「迷って迷って、どうしたら良いのか分からない状態です」
⇒「グレード2」が迷う原因だとしたら、それは「何かインターネットの情報」での影響なのでしょうか?
「余計な情報に振り回される必要がない」状況だと思います。
十分に早期であり、「ターゲット療法としてのホルモン療法感受性がはっきりしている」のに「化学療法の必要性は全くありません」
最後に何を信じるかは質問者の自由です。