Site Overlay

今後の治療について悩んでおります

[管理番号:2707]
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生
はじめまして。
乳がんになり、いつも興味深く、こちらのサイトを拝見させていただいております。
この度、乳がんの全摘手術を行いました。
術前検査の結果は、ステージ2Aでしたが、術中にリンパ転移が1個みつかり、病理結果では、リンパ転移2個、ステージ2Bの診断をされました。
また同時再建を行い、現在エキスパンダーが入っております。
先日の術後結果が下記のように伝えられました。
大きさ:2.4cm T2/4
リンパ転移:2/20 N1/3
ホルモン受容体陽性、HER2陰性、Ki-67:12%
ホルモン治療5年以上は追加がご推奨
閉経前:タモキシフェン
閉経後:アロマターゼ阻害薬
手術後の抗癌剤を推奨
抗癌剤:AC療法、パクリタキセル
現状の再発リスク:20~35%
抗癌剤を行った場合:15~18%
その後ホルモン治療を行った場合:9~12%
現状、癌はすべて取り切っているとの説明がありましたが、再発リスクを下げる為にも、抗癌剤は行った方がよいとの説明がありました。
また抗癌剤投与に伴い、生理が止まる可能性が高い為、卵子凍結も併せて検討した方がよいとも言われました。
現在38歳未婚の為、上記も踏まえ、今後の治療法について、悩んでおります。
現状の私にとって、抗癌剤の必要性が本当にあるのか、わからなくなっております。
2月中旬に手術を行い、通常3か月以内の投与開始が望ましいと言われ、来週今後の治療方法の結論を伝えるために病院へいきます。
また関係があるかわかりませんが、父親、父方の祖母、祖父が癌で亡くなっております。
そちらの関係性が、今後の治療に影響があるのかも気になっております。
そこで、田澤先生であれば、どのようなご判断をされるかを伺いたく存じます。
お忙しいところ恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(24mm), pN1, luminalAですね。
「わざわざluminal typeを(Ki67の数値を用いて)AとBに分けている」のは(ホルモン療法に加えて)「化学療法を上乗せするかどうか」のためです。
 つまり基本は「luminalAはホルモン療法単独」であり、「luminalBはホルモン療法+抗ガン剤」となります。
 ここで問題となるのは「luminalAはホルモン療法単独が基本」ではあるが、「luminalAで抗ガン剤を上乗せした方がいい基準は何か?」ということです。
 ○担当医は(おそらく)「リンパ節転移が2個あるから、抗ガン剤を上乗せしたい」と考えていると思います。(もしかして「若いから」みたいなニュアンスもありますか?)
 私であれば「ホルモン療法単独」とします。
 根拠は2つ 
 St. Gallen 2015 voting 「ルミナールAに化学療法を上乗せする基準はリンパ節転移4個以上」が最も多かった
 SABCS 2015で発表されたDBCG77Bの結果より「腫瘍径5cm超または、腋窩リンパ節転移陽性の閉経前ルミナールAでは化学療法によるベネフィットがない」
 
「現状の私にとって、抗癌剤の必要性が本当にあるのか」「田澤先生であれば、どのようなご判断をされるか」
⇒冒頭でのコメント通り、「ホルモン療法単独」とします。
 年齢(38歳)を考えれば「タモキシフェン+LH-RHagonist併用」です。
 ♯SOFT試験では「35歳未満」となっていますが、新しい(2016)のASCOのガイドラインでは「ステージⅡ以上では(年齢の枠を超えて)LH=RHagonistの併用が望ましい」とされています。