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86才、治療法の選択

[管理番号:3989]
性別:女性
年齢:86才
乳がんと11月(上旬)日に診断を受けた86歳の母の治療についてのご相談です。
右胸 1,5センチ 浸潤性
病理組織診断書では
Grade1(3-1-1)ER.陽性>95% PR部分陽性5% HER2陰性score0
Ki-67 30%(150/500)などとあります。
担当医の説明では
○抗がん剤が効かないタイプで治療はホルモン療法か外科手術。
○Ki-67は15%くらいが普通なので30%は進行が早め。
○ホルモン療法が効く可能性は半々。
もし効かない場合 それから手術に変更すると手遅れになる可能性もあるので手術を勧める。
手術の場合は ホルモン療法はその後しない方向。
転移はまずしていないように思うが 後でCTで調べる。
とのことでした。
当初「悪いところは取りたいから手術」と話していた母でしたが 今になって手術するかどうか迷い始めました。
現在 母はアルツハイマー、高齢者水頭症、側わん症などが重なって歩行に支障がでています。
また 日常会話は出来ますが声を出しにくく 歌を歌うのはほとんど聞き取れない声になりますので、
胸の手術をした場合、なにかしらのリスクが高いのかと心配したりしております。
(今春は肺炎になりましたが 過去に結核も罹っております)
内臓は丈夫で 自分で週に4回に増やしたデイサービスを楽しみに過ごしております。
田澤先生のご回答を読ませていただくと高齢者であってもまずは外科手術をお勧めになっているようですが また別にki67が30%未満ならホルモン療法単独というコラムもお見かけました。
(でもこれは ホルモン療法単独か プラス化学療法をするかの境界線について であって 外科手術についての境界線ではないようですね)
手術か ホルモン療法か 田澤先生のご意見を是非 お聞かせいただきたく存じます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
腫瘍径1.5cm
これであれば、(私なら)間違いなく手術を勧めます。
年齢からして(エコーで腋窩リンパ節に明らかに転移所見がなければ)当然、センチネルリンパ節生検も省略です。
そうすると「腫瘍径15mmの温存」であれば、「手術時間は30分以内」全く負担などありません。
江戸川でも、この年末にも95歳の患者さんを手術する予定ですが、全く同様です。
○患者さんやご家族の希望で(やむなく)手術せず、ホルモン療法を行っている患者さんが数名いらっしゃいますが…
 ホルモン療法は永遠には効きません。
 3カ月毎に受診して「腫瘍径を測定」、「大きくなったから、薬を変えましょう」
みたいなことを『数年も行うよりは、30分の手術で1回で終わらせた方がいいと思いませんか?』
「胸の手術をした場合、なにかしらのリスクが高いのかと心配」
⇒普通に生活している人であれば、大丈夫だと思います。(心機能について循環器科で評価してもらうと確実です)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

11月16日は早速にご回答を頂き本当にありがとうございました。
おかげで本人も「安心して手術が受けられる」と 昨日が治療法の返事の日でしたので手術希望を伝えてきました。
そして早速 その日にできる検査から始めております。
『・・心機能について循環器科で評価してもらうと確実です』の田澤先生のアドバイスに従い 次回の検査に加えていただきました。
ありがとうございます。
ですが 新たに迷うことがあり 田澤先生のご意見を伺いたく思っております。
『再質問は 原則一週間空けて』と記されているのでもしご無理なら回答は望みません。
○手術は「腫瘍径15mmの温存」なのですが 乳房温存療法をするかどうか。
「乳房切除」に近い治療が(表現は違っていたかと)「温存治療プラス放射線治療」と説明がありました。
担当医は週一、今の市民病院に診察日を持ち 他日は隣県の国立大学病院で診察されています。
「この市民病院では放射線治療設備がないためそれはできない。
この病院で、か、他の病院を選択するか?」と聞かれ「温存治療のみ」を選んだのですがよかったのでしょうか?
また、センチネルリンパ節生検の話もされ(エコーで腋窩リンパ節に転移はないのですね?と確認はしましたが)副作用の説明も受け これも「この病院では治療できませんが どうしますか?」と聞かれましたがお断りしました。
もし 主治医のいる大学病院での治療に変えると 現在の病院にいろいろ迷惑もかかってしまうのですが私の即断が間違っていたなら 手術は病院を変えようと思っております。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
その「頭の硬い大学病院の医師」の言う事は(ここでは)無視して
○86歳であれば…
 ①10年後の乳房内再発予防のために「温存術後の放射線」など行いません。
 ②エコーで(腋窩リンパ節に明らかな転移所見が無ければ)腋窩に手を付ける必要はありません(センチネルリンパ節生検は不要です)
 お解りでしょうか?
 私が勧めるのは「乳房温存のみ(術後照射もセンチネルリンパ節生検も省略)」です。
 この選択でも(手術なしで)「ホルモン療法をとっかえ、ひっかえ行うよりも1000倍くらい有効」です。