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リンパ節転移について

[管理番号:1477]
性別:女性
年齢:50歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1290「グレーのまま手術することに不安

 
 
10/9に右胸の癌の部分を部分切除しました。

術後、「術中のセンチネルリンパ節生検で微小のリンパ節転移が1個見つかり、取りました」という説明を受けました。
リンパ節郭清は行われませんでした。
そのときは納得していたのですが、本などを読むと、「リンパ節生検で転移がなかった場合のみ 、リンパ節郭清を省くことがある」「センチネルリンパ節生検で1個以上の転移が見つかれば、他のリンパ節への転移の可能性もあるので、リンパ節郭清を行う」と書いてあって、リンパ節郭清を行わなかったことに対して、まだ転移したリンパ節が残っているのではないかという不安を強く感じています。
病理検査の結果をきくまで、まだ1週間以上あるので、心配です。
リンパ節への転移が1個の場合、リンパ節郭清は行わなくても大丈夫だったのでしょうか?
他のリンパ節に転移している可能性はないのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

センチネルリンパ節生検における「摂り扱」について下記に記載します。
質問者は下記の②に相当しますので、全く問題無いわけです。
まずは現時点での「センチネルリンパ節生検」と「腋窩郭清」の考え方について整理していきましょう。

①SLN(センチネルリンパ節)に転移を認めない場合には「腋窩郭清は省略」する
 これについては「疑問の余地」はありません。
 世界のスタンダードと考えていただいて結構です。
 もしもいまだに「日本の地方のどこかで(ひっそりと)明らかなN0症例に対して、センチネルリンパ節生検をせずに腋窩郭清をしている(一般)外科医が居るとしたら、非難されるべき時代」と言えます。

②SLNに微小転移(2mm以下)を認めた場合
 これについても「腋窩郭清は省略する」でほぼ意思統一されている。と考えて結構です。
 IBCSG 23-01(臨床試験)で934症例での「微小転移症例の非郭清と郭清群との比較」で「生存率も再発率も差がない」ことが証明されています。
 これを受けて「乳癌診療ガイドライン」でも「腋窩郭清の省略が勧められる」乳
癌ガイドライン推奨グレードBとなっています。
 ♯Bとはなっていますが、内容的にはAと思います。

③SLNに肉眼的転移(>2mm)を認めた場合
 ここが、正に「議論の多い」ところです。
 ・SLN転移陽性患者の約半数は非SLN転移を有していない
 ・ACOSOG Z0011(臨床試験)では、以下の条件
 「腫瘍径5cm以下で画像上リンパ節転移を疑わない」「SLN転移2個以下」
「温存手術(術後照射を行う)」「術後薬物療法あり」を満たす場合には「郭清の有無で生存率も再発率も差がない」との結果
 ・2014のASCOガイドラインでは「照射を行う温存手術」であれば「2個までの転移」であれば、腋窩郭清を省略すべき
 これらの中で「適切な基準に基づいて腋窩郭清省略を考慮しても良い」乳癌ガイドライン推奨グレードC1となっています。
 この「適切な基準」というのが各施設で様々なのが現状です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

いつも不安な気持ちに丁寧にお答えいただきありがとうございます。

手術後の病理検査で、大きさは7ミリ、ホルモンのみ感受性のあるタイプだということで、予定通り術後の放射線治療(温存部分と腋下リンパ節)とホルモン療法をすることになりました。

術中のセンチネルリンパ生検で1個に微小にな転移があったのですが、
主治医がおっしゃるには、比較的大人しいタイプの7ミリの癌が、リンパに転移するのは珍しいことのようです。
田澤先生から見られてもそのようなことは珍しいことなのでしょうか?
それともうひとつ、前回させて頂いた質問と重複するのですが、主治医にとったリンパ節個数を尋ねたところ、「とったセンチネルリンパ節は2個で、それにくっついてきたリンパ節が各々2個の計4個。。

その内1個に転移があり、あとは転移がなかった」ということでした。
そのような少数で、あと郭清しなかったリンパ節に転移がないと言えるのか疑問が残りました。
まだリンパ節に転位したものが残っていないのか不安です。
主治医の先生の判断で正しいのでしょうか?

また、今後の治療についてですが、リンパ節転移があっても抗がん剤治療の必要はないのでしょうか?
主治医に尋ねるのを忘れたのですが、転移したリンパ節の部分も乳房
の部分と同じ、ホルモンに反応する同じタイプの癌ということでしょうか?
ご回答よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

pT1b(7mm), pN1miですね。
前回「センチネルリンパ節の取り扱」についてはコメントしましたね。

回答

「比較的大人しいタイプの7ミリの癌が、リンパに転移するのは珍しいことのようです。田澤先生から見られてもそのようなことは珍しいことなのでしょうか?」
⇒そうです。
 私も、そのようなケースでは「センチネルリンパ節は陰性だろう」と想定しながら手術をします。
 そして「術中迅速診断で陽性」と言われたとしたら、「本当?聞き間違いではないよね?」となるでしょう。
 ★ただ、「質問者は微小転移」な訳ですから、「郭清省略は当然」です。
 
「まだリンパ節に転位したものが残っていないのか不安です。主治医の先生の判断で正しいのでしょうか?」
⇒心配ありません。
「センチネルリンパ節に微小転移が有った場合には腋窩郭清は省略できる」という内容ですが、これは「臨床試験で証明」され、「世界的に認知」された内容です。
 江戸川病院でも「微小転移では腋窩郭清を省略する」という方針で一貫しています。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、いつもご回答いただきありがとうございます。

手術後の病理検査の結果を主治医にお願いしてペーパーでもらいまし
た。以下の通りです。
Rt-breast cancer , 7×5mm , pT1b, invasive ductal carcinoma , scirrhous carcinoma, f,sci, INF β,
ly0 , v0
pN1[#senitinel(1/2),#level(0/2)],EIC(-), stage Ⅰb (Nuclear atypia .
Mitotic count 1 , Gland formation

3)
ER10%以上 高度、PgR10%以上 高度、HER2 1+、Ki-67
12.8%
Surgical margin(-)
がんの大きさが小さい割には早くにリンパに転移したことについて不安を感じているのですが、この病理の結果で早期転移の要素は、「硬がん」、「Gland formation 3」という点になるのでしょうか?

Gland formation 3というのはグレード3でやはりかなり悪性なのでしょうか?それとも他にも早期転移の要素はありますでしょうか?
また、HER2 が「1+」ですが、この場合でもルミナールAというタイプで抗がん剤治療は必要なしという主治医の判断でよいのでしょうか?
1月から放射線治療を開始する予定ですが、温存乳房とともに腋下リンパ節にも照射をした方がいいでしょうか?私自身は再転移のリスクを少しでも下げるために有効であるならば、リンパ節にも照射したいと考えています。よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
pT1b, pN1, pStage2A, luminal A
「がんの大きさが小さい割には早くにリンパに転移したことについて不安を感じているのですが、この病理の結果で早期転移の要素は、「硬がん」、「Gland formation3」という点になるのでしょうか? Gland formation 3というのはグレード3でやはりかなり悪性なのでしょうか?それとも他にも早期転移の要素はありますでしょうか?」
 
⇒「悪性度は無関係」です。
 「腫瘍径が小さい」ので無視してください。
 私が想像するに「腫瘍の部位」ではないかと思います。
 質問者の腫瘍は「腋窩に近い部位(上外側:所謂C領域)」にありませんか?
 
「HER2 が「1+」ですが、この場合でもルミナールAというタイプで抗がん剤治療は必要なしという主治医の判断でよいのでしょうか?」
⇒「HER2 1+は、文句なしのHER2陰性」です。
 当然「ルミナールA」で「ホルモン療法単独」となります。
 担当医の治療方針を完全に支持します。
 
「温存乳房とともに腋下リンパ節にも照射をした方がいいでしょうか?」
⇒「腋窩を照射野に含めることに伴う後遺症」を考慮すると、「腋窩照射は勧められません」
 レベル1も転移無しだから「乳房だけ」でいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生いつもご回答いただきありがとうございます。
 
また秘書室を通して診察の予約も入れていただき、田澤先生に石灰化の部分を診察して頂ける日をカウントダウンしている日々です。
現在は、術後の放射線治療とホルモン療法を行っています。
ホルモン療法については、タモキシフェンの内服と月に1回のリュープリン注射を行っています。
その事についてなのですが、今まで何の疑問も持たなかったのですが、ここで他の方々への回答で勉強させてもらって、わたしは本当にリュープリン注射の適応かと疑問を持つようになりました。
 
先生のおっしゃるように、効果が認められているスタンダードの「化学療法適応」、「35歳未満」、そのどちらにも該当していないと思えます。
敢えていうと、7ミリの癌だったにもかかわらず、リンパ節に転移していたことくらいでしょうか。
リュープリン注射を術後、もう4回受けましたが、それほど酷く副作用があるわけではないですが、やはり生理は止まり(まだ閉経しておらず、それまでは定期的にきちんとありました)
 
また、ホットフラッシュという現象も感じています。
治療費も一回、1万円以上という高額です。
治療に効果があるのなら、どんな副作用や金銭的にも耐えうることができますが、効果が無いのであれば、単なる無駄骨に思えて、田澤先生の御見解をお伺いしたく思います。
 
診察して頂く時にお尋ねしようかと思いましたが、まだそれまでもう少し日数がありますので、不安になり質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
 
pT1b(7mm), pN1mi, luminalA
 
「ホルモン療法については、タモキシフェンの内服と月に1回のリュープリン注射」
「化学療法適応、35歳未満、そのどちらにも該当していない」
⇒全くその通りです。
 SOFT試験からは「適応から外れる」(適応外診療という訳ではありませんが…)事になります。
 「LH-RHagonistによる上乗せ」は、期待できません。
 
 ○担当医は「pN1mi(微小浸潤)」を気にしているのかもしれませんが…
 pN1miは予後に影響ないというエビデンスがあります。
 タモキシフェン単剤でしょう。

 
 

 

質問者様から 【質問5 センチネルリンパ節生検部位のマッサージについて】

性別:女性
年齢:53歳

以前の質問番号
1290及び
1477

田澤先生こんにちは。

いつも診ていただきありがとうございます。

センチネルリンパ節に一つ転移があり、郭清省略しています。

郭清省略していることにより、腋下の再発が心配で、先生に定期的に診てもらっている者です。

7月にも診察していただきました。

最近特に、右腋下から脇腹上部あたりと肩甲骨のあたり、さらに、右上腕部あたりが痛み、右腰まで痛むこともあります。

エコーでは異常なしでしたので安心はしています。

右腋下部分(センチネルリンパ節生検のあたり)をマッサージすると、痛みはあるのですが、凝ったような感じが解消されるよな心地良さがあるのですが、マッサージはしても良いのでしょうか?
それとも触らない方が良いでしょうか?
大切な質問の一枠を古株がとってしまって、新規の方に申し訳ないのですが、次回診ていただくまで間があるので、心配になって質問させていただきました。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「最近特に、右腋下から脇腹上部あたりと肩甲骨のあたり、さらに、右上腕部あたりが痛み、右腰まで痛む」
→当然ながら、ホルモンの刺激症状で1000%間違いありません。 そんな症状の病気(再発も含めて)は絶対にないのです。

 そもそも「痛みを再発と結びつける(特に腋窩リンパ節に再発しても1000%痛みなどでません)」こと自体全くナンセンス。

「エコーでは異常なしでしたので安心」
→100%その通りです。
 腋窩リンパ節は(痛みなどで気付くことは絶対になく)エコーでしかわからないの
です。

「マッサージはしても良いのでしょうか?」
→勿論。
 していけない理由は全くありません。
 ご安心を。

 
 

 

質問者様から 【質問6 副腎の病気について】

性別:女性
年齢:53歳
病名:
症状:

管理番号
1290
1477

いつもお世話になりありがとうございます。

乳癌の温存術後3年になりました。

術後頃より血圧が高くなり、年齢のためかと思っていたのですが、かかりつけの内科の開業医から、精密検査を受けるように言われ、受診したところ「アルドステロン症疑い」となりました。

副腎のホルモンの分泌が異常に起こり、血圧を上げているようです。

ただし、今のところ血圧はアムロジピンを毎朝1錠飲むだけで、コントロールは十分出来ています。

確定診断にはまだもう少し検査が必要のようです。

そういった中、先生のQ&Aで、乳癌にはまれに副腎に転移することもあると知り、アルドステロン症ではなくて、乳癌からの転移による腫瘍ではないかと不安になっています。

内科医にも乳癌の既往については話しており、CTも撮ったので尋ねてみたところ、「今のところ悪いものには見えないが、副腎は小さな臓器なので、
手術して摘出して初めて悪いものかどうかわかることもある」ということでした。

わたしの場合、乳癌からの転移ということもあるでしょうか?
もう少し詳しく調べた方がいいでしょうか?
またわたしの乳癌はルミナールAでホルモンに関係あるものでしたが、乳癌を作ったのも、副腎の分泌異常が原因になっているのでしょうか?

 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。

結論から言います。
100000%副腎転移ではありません。

根拠は以下の2点
1.乳癌の副腎転移は「もの凄--く」稀である。
2.副腎転移は単独転移はありえない。

2について…
副腎転移は、肝転移で長期間治療をしている中で起こることが「ごくごく」稀ですがありますが、他に転移もないのに「副腎転移だけが見るかる」など、決してありえません。