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術前抗がん剤中鎖骨上リンパ節転移

[管理番号:1349]
性別:女性
年齢:44歳
3月末に右胸にシコリを見つけ近くの乳腺の病院へ行き4月に乳癌発覚。
シコリ3センチ、トルティブネガティブ
リンパ節転移、ki67 80 Ⅱ
術前化学療法を勧めらFEC4クール(シコリ縮小)その後ドテタキセルを2回やった後に
熱が出て右脇から右脇付け根と痛み腕を上げるのも痛い位でその後鎖骨下リンパが腫れ
その後鎖骨上リンパ節にグリグリの腫れが出て。
外来の日に細胞検査したところリンパ節転移とのこと。そのほか左側脇にもシコリ発見。
今後CT検査して別の抗がん剤をするとの事。
術前化学療法中シコリの大きさ変化なかったのに転移する事はあるのでしょうか?
手術せず抗がん剤で大丈夫なのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「抗がん剤」は必ず効果があるとは限りません。
以前にも「術前抗がん剤中に腫瘍が急速増大して、急遽手術へ変更した」という
QandAがありました。♯「管理番号990:AC療法が効きませんでした」を参照してください。
(トリプルネガティブだからとか、HER2タイプだからとか、薬の効果がわかるからと
かという理由をつけて)やたらと「術前抗がん剤を勧める」医師が多いですが、
術前抗がん剤治療とは『癌を(手術せずに)体内においたまま、(効かない可能性の
ある)抗癌剤を行うリスクのある治療法である』ことを認識してもらいたいと思います。

回答

「術前化学療法中シコリの大きさ変化なかったのに転移する事はあるのでしょうか?」
⇒あります。
 術前抗がん剤は「進行してしまうリスクのある」治療法なのです。
 
「手術せず抗がん剤で大丈夫なのでしょうか?」
⇒「手術すべき」だと思います。
 「別の抗がん剤とやら」が「効果が無かった場合」ますます進行して「手術不能と
なるリスク」があります。
 「傷口が浅い内」に(確実な治療法である)「手術をすべき」なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生お返事ありがとうございます。
術前化学療法はかなりリスクのある治療だったのですね。
先生の回答をもらいCT検査の結果を聞くのか更に怖くなりました。
CT検査で他臓器転移なく手術した場合右胸、リンパ節、左側リンパ節手術になると
思うのですがここまでくるとかなり状況は厳しいのでしょうか?
手術して抗がん剤、放射線治療すればまだ治る見込みはあるのでしょうか?
また鎖骨上リンパ節、左側脇にも転移がらある場合他臓器にも転移してる確率はかな
り高いのでしょうか?そうなると手術もできず予後はかなり厳しいのでしょうか?
毎日不安でたまりません。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「CT検査で他臓器転移なく手術した場合右胸、リンパ節、左側リンパ節手術になる
と思うのですがここまでくるとかなり状況は厳しいのでしょうか?」
⇒(無責任に楽観的なことだけ言うつもりはありませんが)
 領域リンパ節転移であれば、「十分に根治を狙える」状況です。
 治療のバランスを考えれば「術後に、鎖骨上を含めた領域リンパ節照射」を行うこ
とです。
 その後の「全身療法」は「パクリタキセル」を選択します。(同じタキサンでも、
ドセタキセルとは異なります)
 
「手術して抗がん剤、放射線治療すればまだ治る見込みはあるのでしょうか?」
⇒勿論あります。
 領域リンパ節転移は「根治が狙う」べき状況です。
 
「また鎖骨上リンパ節、左側脇にも転移がらある場合他臓器にも転移してる確率はか
なり高いのでしょうか?」
⇒あくまでも「リンパ節転移」です。
 「血行性転移」の可能性は「高くない」と思います。
 
「そうなる(臓器転移)と手術もできず予後はかなり厳しいのでしょうか?」
⇒臓器転移の部位にもよります。
 骨転移ならば、「長期予後」も狙えます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生お忙しい中お返事ありがとうございます。
術前化学療法中に鎖骨上リンパ転移でもうすでに他臓器にいってるのではないかと毎
日落ち込んでいたのでCTの結果次第ですが手術さえできればと前向きになる事ができました。
転移した左脇なのですが発覚した頃から腫れもあり痛みは時々だったのですがここ数
日痛みが増してきているきがします。しこりも少し大きくなっているような気がします。
そのせいか2日前から肩から背中辺りも時々痛みを感じます。
転移した部分が進行しているのでしょうか?
背中が痛いというのは骨転移でしょうか?
外来が来週の為主治医にも聞けず先生に質問させてもらいました。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「鎖骨上リンパ節転移」と「血行性転移(臓器転移)」を結び付ける必要はありません。
「転移した左脇なのですが発覚した頃から腫れもあり痛みは時々だったのですがここ
数日痛みが増してきているきがします。しこりも少し大きくなっている」
⇒早く手術をするべきです。
 「手術をせずに」別の抗がん剤に変更して「もしも、効かなかった場合」には、
(脅かすようで恐縮ですが)「本当に手術不能」となっていまいます。
 手術さえできれば、「まだ根治の可能性は残る」のですが、「手術不能」となって
しまえば困難となるのです。
 
「そのせいか2日前から肩から背中辺りも時々痛みを感じます。転移した部分が進行
しているのでしょうか?」
⇒リンパ節転移との関係ですか?
 関係ありません。
 
「背中が痛いというのは骨転移でしょうか?」
⇒心配される気持ちも解りますが…
 骨転移は「有る程度時間が経たないと」症状はでません。
 そう言う意味で、「幾らなんでも、症状が出る程度の骨転移など有る筈がない」と
いうのが、私の経験上の結論です。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

毎回迅速な回答ありがとうございます
まだCT検査の結果出ていないので手術ができるという前提で質問させて下さい。
手術の事について教えて下さい
鎖骨上は術後放射線治療、手術は私の場合右乳房全摘、両脇腋窩リンパ郭清になると
思うのですが左脇はシコリもありかなり腫れている為郭清する範囲もⅡ~Ⅲ位になる
のでしょうか?
その場合術後リンパ浮腫や腕の運動障害とかのリスクは高くなるのでしょうか?
あと現在効いていない抗がん剤後外来まで鎖骨上の腫れや脇のシコリ、腫れ、痛みが
ある状態で進行が急速に進んでしまう事はあるのでしょうか?先生からの回答でも早
急に手術すべきとあったのでとても心配です
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
是非、手術をしていただきたいと思います。

回答

「左脇はシコリもありかなり腫れている為郭清する範囲もⅡ~Ⅲ位になるのでしょうか?」
⇒「リンパ節転移が、どの範囲なのかによります。
 「レベルⅠまでならレベルⅠまで、ⅡまでならレベルⅡまで」となるでしょう。
 
「その場合術後リンパ浮腫や腕の運動障害とかのリスクは高くなるのでしょうか?」
⇒手術技術にもよりますが…
 腕の運動障害はありません。
 両側郭清ならば「当然、浮腫に注意(リンパ管の損傷を最低限とする)した手技」
を行うべきです。
 
「あと現在効いていない抗がん剤後外来まで鎖骨上の腫れや脇のシコリ、腫れ、痛み
がある状態で進行が急速に進んでしまう事はあるのでしょうか?」
⇒リスクがあります。
 担当医は「どうせ手術しないから」みたいに「のんびり構えている」可能性があります。
 ご自分の意思を「担当医に明らかとする」べきです。