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ルミナールBで化学療法をしない選択

[管理番号:1925]
性別:女性
年齢:46歳
初めまして。乳ガンと診断されてから毎日拝見し、勉強させていただいています。
この2ヶ月、不安な日々をこのサイトでどれだけ勇気づけられたかわかりません。
10月9日に右乳ガンと診断され、11月11日に温存手術を受けました。
センチネルリンパ生検で転移なしでした。
針生検結果では、13ミリの浸潤がん(硬がん)、グレード3と聞いておりました。閉経前です。
先日、術後の病理結果が出ました。
病理組織診断
1. Carcinoma of the right breast, Carea, Bp, Invasive ductal carcinoma, solid-tubular
carcinoma,12×11㎜, comedo necrosi(-), f(-),s
(-),ly0,v0, ductal spread(slight), nuclear grade:1, free cut margin.
2. BIOLOGY ER 99% PgR 99%、HER2 1+, MIB-1 30%.
病理組織学的所見
最大間質浸潤径12×11㎜大のInvasive ductal carcinomaで、腫瘍は主に充実状胞巣を形成しています。Solid-tubular carcinoma
としました。Nuclear grade:1, nuclear atypia:2 mitotic count : 1. 脈管侵襲ははっきりしたものを指摘することはできません。乳管内進展は軽度で、切除断端は陰性です。
Luminal type Bに分類されます。
主治医は、「ki67(mib=30%)だけが悩ましいけど、腫瘍は小さめだし、グレードも低いし、リンパ転移、脈管侵襲もないし、ホルモン感受性が高くてホルモン治療がよくきくタイプだから。」と、放射線とノルバデックス5年間(あとで10年になるかも)、3ヶ月に1回の注射でよいと言われました。
抗がん剤は心配なら4クールしてもいいけど…と
質問1
抗がん剤はやらなくてすむなら、やりたくありませんが、ルミナールBでは基本的に抗がん剤適応があるようなので、やらないことでの不安も感じます。
この病理結果で化学療法しないことを、田澤先生はどう考えられますか。
質問2
私の結果でホルモン療法のみと化学療法を追加した場合の再発率、生存率はわかりますか。
質問3
針生検のときにグレード3と言われてたのに、術後は1に変わったのも気になります。
術後の病理結果が正しいと考えていいのですよね。
大変お忙しいなか、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
確かに「ルミナールB」は「ホルモン療法+化学療法」という考え方となります。
しかし質問者の場合には、担当医のいうように「腫瘍は小さめだし、グレードも低いし、リンパ転移、脈管侵襲もないし」という好条件が揃っています。

回答

「この病理結果で化学療法しないことを、田澤先生はどう考えられますか」
⇒adjuvant onlineで調べると化学療法による「上乗せ効果は僅か4%」となります。
 「効果と副作用のバランス」からは、「ホルモン療法単剤」でいいでしょう。
 
「私の結果でホルモン療法のみと化学療法を追加した場合の再発率、生存率はわかりますか」

  ホルモン療法のみ ホルモン療法+化学療法
10年再発率 11% 7%
10年生存率 95% 96%

 
「針生検のときにグレード3と言われてたのに、術後は1に変わったのも気になります。
術後の病理結果が正しいと考えていいのですよね」
⇒その通りです。
 「標本全体」での評価が正しいです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生、ありがとうございました。
主人とも、田澤先生が一番信頼できるから、先生の回答を待って決めることにしていました。
先生のご回答でモヤモヤした気持ちを払拭できました。前向きに治療に向かいたいと思います。
それにしても、こんなに早い回答をいただけるとは思っていませんでした。
豊富な経験をもとに、きちんと根拠を示してくださる回答の正確さと、柔軟性、真摯な対応。先生は本当のプロフェッショナルだと思っています。
また何かありましたら甘えさせて下さい。
最後に、先日の質問で病理結果のf(+)を(-)と誤記してしまっていましたが、ご回答に変わりはありませんよね。
 

田澤先生から 【回答2】

前回の回答で安心していただき良かったです。
やはり「数字で示す」ことは時には大事だと思います。
「病理結果のf(+)を(-)と誤記してしまっていましたが、ご回答に変わりはありませんよね。」
⇒その通りです。
 f(+)は「腫瘍の脂肪織浸潤」を示しますが、それは通常の状態です。g(+)「乳腺内に留まる」ものはかなりの少数派です。