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病期1 ルミナルA グレード3の抗がん剤使用について

[管理番号:2315]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生
いつも先生のご回答を参考にさせていただいております。
ありがとうございます。
昨年11/○○に乳房温存術を行い、病理の追加結果を年末年始を挟んで待ちながら放射線治療を開始し11回目の照射が済んだ所です。
病理の結果で今後の治療に抗がん剤をプラスするか迷っていますので、先生のご意見をお聞かせいただけると助かります。
病期1A
センチネルリンパ節生検 陰性
腋窩リンパ節郭清 なし
病理学的腫瘍径 1.5cm
浸潤がん 硬がん
高度ホルモン反応性 ER 8 PgR 7
組織学的異型度 グレード3 核異型度3/3 核分裂度2/3
Ki-67 5~10%
脈管浸潤 殆どなし
HER2スコア 2+ FISH法 陰性
ステージ1のルミナルAで、ホルモン治療の適用との事ですが、グレード3が気にかかっています。
主治医は、心配だったら念のため抗がん剤治療をしてからホルモン治療をしても良いとの事です。
その場合、TCを3ヶ月で、1回やってみて副作用が余りにも辛いようなら止めても良いとの事でした。
次回受診時はホルモン治療を始める予定です、それまで迷って抗がん剤治療に変更しても良いとの事です。
抗がん剤治療を始めるなら、放射線治療が終了してからとなるようです。
1.先生でしたら、抗がん剤治療をプラスしますでしょうか。
2.抗がん剤治療をプラスした場合の再発率とホルモン剤治療のみの再発率を教えていただけますでしょうか。
3.最初の健康診断で嚢胞疑い(おそらく9㎜くらい)だったものが、2年半後に1.5cmの腫瘍になっていました。
これは進行度の速いタイプでしょうか。
4.主治医がおっしゃるように抗がん剤治療を1回やってみて止めても良いという事は、本来は必要ないものであると考えて良いのでしょうか。
まとまりませんが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(15mm), pN0, luminal type, NG3
「1.先生でしたら、抗がん剤治療をプラスしますでしょうか」
⇒luminal Aなので、しません。
 
「2.抗がん剤治療をプラスした場合の再発率とホルモン剤治療のみの再発率を教えていただけますでしょうか。」
⇒ ホルモン療法のみ19%
ホルモン療法+抗がん剤 13%
 
「3.最初の健康診断で嚢胞疑い(おそらく9㎜くらい)だったものが、2年半後に1.5cmの腫瘍になっていました。これは進行度の速いタイプでしょうか。」
⇒遅い方だと思います。  
 9mm⇒15mmであれば通常「1年」くらいでしょう。
 
「4.主治医がおっしゃるように抗がん剤治療を1回やってみて止めても良いという事は、本来は必要ないものであると考えて良いのでしょうか。」
⇒「大変だったら、辞めてもいいよ」というような程度ということです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
以前、質問をさせて頂いた者です。
回答をいただきありがとうございました。
お礼方々結果をご報告したかったのですが、
実はまだ同じ件で悩んでいます。
どうぞ先生のご意見をお聞かせください。
前回、ホルモン療法に抗がん剤治療をプラスした場合、
再発率が6%下がると教えていただきました。
この6%をどう捉えるかでまだ決断ができないでいます。
先生の過去の回答を拝見致しますと、
6%の上乗せ効果は重く受け止めていらっしゃったように記憶しています。
(違っていたら申し訳ありません)
私のように、病期1ルミナルAグレード3の場合、
治療のガイドラインに基づくと、
ホルモン療法のみが適用になるものと思いますが、
そこにグレード3を考慮した場合でも同じく「ホルモン療法のみでよい」明確な理由をお聞きすることはできますでしょうか。
ホルモン受容が高く、増殖脳も低いです。
ですが、Adjuvant!Onlineでは、グレード3とグレード2では
再発率がかなり違ってくるのではないかと想像してしまいます。
主治医はホルモン療法のみで良いとお考えです。
緩和ケア資格をお持ちの看護師さんにも私のデータをお伝えして
相談にのっていただいた所、やはり同じご意見でした。
ホルモン療法もきちんと効果のある治療法であり、
今回私の場合、ホルモン療法のみで大丈夫そうです。
でも10年経ってみないと抗がん剤治療を受けた方が良かったのかどうかは分からない。
抗がん剤が全ての人に効果があるなら皆さんにお勧めするのですがそうとも言い切れない。
メリット?デメリットのバランスと数%の効果をどう捉えるかは患者さん次第です、と。
後で、抗がん剤治療を受けておけば良かったと後悔しないために治療を受けるという考え方も勿論あります、と。
長くなってしまい申し訳有りません。
実は私としては抗がん剤は使わず、ホルモン療法のみ続けて、
免疫力を高める食事や生活習慣、精神衛生面を気を付けていけば良いと
考えているのですが、主人を説得する事ができません。
主人はグレーゾーンに入ってしまったら、
絶対に抗がん剤治療を受けるべきだと思っていたのです。
抗がん剤を使わなくても良い明確な理由をお聞きすることはできますでしょうか。
何度も申し訳ございません。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「そこにグレード3を考慮した場合でも同じく「ホルモン療法のみでよい」明確な理由をお聞きすることはできますでしょうか。」
⇒「核グレード」を考慮しないからです。
 
「抗がん剤を使わなくても良い明確な理由をお聞きすることはできますでしょうか。」
⇒これは「効果と副作用のバランス」です。
 「同じ副作用」でも「1%の効果」しか得ない方と「10%の効果」が得られる方がいらっしゃるとしたら「後者の方の方により抗がん剤を勧める」でしょう。
  それでは「3%の効果」ではどうでしょうか?「5%の効果」ではどうでしょうか?
  これでは「際限無くなり」ます。
  どこかで「線引き」が必要となります。
  しかも、その「線引き」は「解り易く」なくては実際の診療の場では使えません。
 その「線引き」の一つが「luminal A」と「luminal B」です。 
 ♯luminal A(しかもリンパ節転移なし)であれば「抗がん剤は必要ない」という考え方は、その「線引き」の中の一つのなのです。
 
 

 

質問者様から 【感想3】

お礼とご報告をさせてください。
4週間もの間、抗がん剤をやるべきか悩み続け、ようやく決断すること
ができ、ホルモン療法単独で治療することにしました。
3ヶ月に1回のゾラデックス筋注を2年とタモキシフェンの内服を10年の
予定で開始しました。
田澤先生のご意見を、特に、管理番号765と1042も参考にさせていただきました。
サブタイプとグレードについて、とても分かりやすい説明がありましたので理解することができ、決断することができました。
本当にありがとうございました。
悩める乳がん患者の質問に対し、不安にならないよう最大限の配慮がなされた言葉で、明確に事実を伝えてくださる田澤先生に、心から尊敬の念を抱いております。
数ある情報の中で田澤先生のQ&Aに辿り着けたご縁にも感謝している次第です。
これからも沢山の悩める乳がん患者が田澤先生から正しい知識を得て救われる事を願って止みません。
どうか田澤先生もご自愛くださいますように。
これからも益々のご発展ご活躍を心よりお祈り申し上げます。
ありがとうございました。
今後もこちらのQ&Aを参考に、正しい知識を得ていこうと思っています。
コラムの余談も楽しみにしております。