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ルミナルA

[管理番号:2414]
性別:女性
年齢:36歳
癌の状態はルミナルAで、腋窩にしこりがありましたが、細胞採取からもリンパ転移なし、遠隔転移なし。
の診断まできました。
腋窩転移がなければ、抗ガン剤はやらなくて良いと先生にも最初言われてたのですが、新たに撮ったレントゲン?で見た所、ギリギリ皮膚浸潤しているか、していないか、の状態。
もししていたら、症状が一気にステージ3bになるので、やはり抗ガン剤治療をしたほうがよい。
と言われました。
ただし、抗ガン剤治療をしても予後は10%位しか変わらない。
とは言われました。
主治医的には、この先50歳とかで、体重増加などでの癌が再発しやすい状態になった時に再発リスクを考えるよりは、今、やることをやった方が良い。
と言ってました。
主治医からは、抗ガン剤するか、それとも見た目気にしなくて良いなら、抗ガン剤無しに切るか。
と選択肢を与えられました。
しこりは3.5cnほどあるし、皮膚浸潤の恐れのあるとこも切るので結構乳房が変形する。
とも言われました。
先生ならば、どのように診断致しますか?
また、皮膚浸潤ですと、転移なくてもステージが上がりますが、どんな心配がありますか。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
残念ながら、文面を見ていると「本当に乳腺外科医?」と疑わしい診療と感じます。
「新たに撮ったレントゲン?で見た所、ギリギリ皮膚浸潤しているか、していない
か、の状態」
⇒全く「無意味」
 画像診断で「皮膚浸潤を疑う」ことと「皮膚を破って潰瘍形成」していることでは「全く意味が異なり」ます。
 今回の質問者のケースを「皮膚を破って潰瘍形成=T4乳癌」と同等に考えることは「完全な誤り」です。
 
「症状が一気にステージ3bになるので、やはり抗ガン剤治療をしたほうがよい。」
⇒全く賛成できません。
 担当医は「局所療法」と「全身療法」を区別しなくてはなりません。
 ○皮膚浸潤が(もしもあったとしても)それはあくまでも「局所因子」です。
 局所治療は「手術±放射線」です。
 つまり、「皮膚浸潤が疑われるから、手術できちんと大きめに切除し、その後放射線治療もした方がいい」と言うのであれば了解できますが、(局所療法の替りに)
「全身療法である抗がん剤に言及」することは誤りです。
 
「主治医からは、抗ガン剤するか、それとも見た目気にしなくて良いなら、抗ガン剤
無しに切るか。」
⇒この診療は「明らかな誤り」です。
 先にコメントした通り、「抗がん剤(全身療法)」か「切るか(局所療法)」とい
う考え方は誤りです。
 ○局所療法と全身療法は分け無くてはなりません。
 
 この場合には「きちんとした手術」をした上で(必要なら放射線照射も併用し)、その上で「サブタイプに合った全身療法=ルミナールAであればホルモン療法」をすべきなのです。
 
「先生ならば、どのように診断致しますか?」
⇒担当医のように「局所療法と全身療法を混同」しているから解り難いのです。
 「局所はきっちりと手術」をして、しかるのちに「サブタイプ通りの全身療法=ホルモン療法」とします。
 
「皮膚浸潤ですと、転移なくてもステージが上がりますが、どんな心配がありますか。」
⇒余計な心配です。
 皮膚浸潤は「明らな皮膚潰瘍を形成し、広範囲」とならない限り、「きちんと局所療法」を行えば、通常と全く同様です。
 ○実臨床を知らない乳腺外科医があまりにも多い事に悲しくなります。