Site Overlay

LH-RHアゴニスト製剤の併用について

[管理番号:1588]
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生、はじめまして。
いつも大変参考にさせて頂き、また、大変勇気を頂いております。
経過と病理診断は以下の通りです。
2015.3   左乳癌の診断
2015.4   温存手術
2015.5   タモキシフェン、ゾラデックス開始
2015.6~7 リニアック25回+ブースト5回
発覚時の年齢 37
腫瘍の浸潤最大径 9mm
浸潤癌(硬癌)
リンパ管侵襲あり
静脈侵襲なし
センチネル陰性(0/3)
Nuclear grad2 (atypia 3, mitotic count 1) ER J-score 3b, Allred score 5+2=7 PR J-score 3b, Allred score 5+2=7
Her2 score0
Ki67 10%程度
断端陽性(髪の毛より細い乳管内の非浸潤が3ヶ所との説明)
ステージ1
初期乳癌であり、早くに見つかったことに感謝し淡々と治療を
進めて行こうと思っていた矢先、SOFT試験の情報を得ました。
5月の段階では年齢を考慮してのタモ+ゾラだと理解していました。
田澤先生であれば、低リスクでありゾラデックスは不要とする
お考えではないでしょうか。
しかし、主治医に勧められている以上、私個人の判断で
中止する勇気がありません。
30歳代でもあるし、子供も小さく少しでも再発の可能性を
低くしたい、続けた方がいいのでは?と感じてしまいます。
先日主治医に相談したところ、SOFT試験を認識されておらず、
一緒にPCでSOFT試験に関する文献を見ながら話したのですが、
あなたのケースにはほとんど関係がない、と一蹴されてしまいました。
また、断端陽性であったこと、浸潤癌であることからゾラデックスは
継続すべきだ、と言われました。
これまで信頼してきた主治医でしたが、この先日のやりとりで
噛み合わなくなってしまいました。
そこで、田澤先生のご意見をお聞かせください。
やはりゾラデックスは必要ないでしょうか。
安心感が欲しいだけで根拠がないことは過去のQ&Aにより
理解していますが、実際の臨床現場では30歳代は打っていることも
多いとの記述もあり、続けた方が良いのではと悩んでしまいます。
今のところ、タモ+ゾラでの大きな副作用はありませんが、
腰痛、膝痛がひどい日もあり骨に影響していることを体感します。
安心感を得ることと副作用を天秤にかけるとき、どのような
考え方をすれば良いですか。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b=9mm, pN0, luminalA
再発低リスクです。
何も悩む必要は無いでしょう。

回答

「田澤先生であれば、低リスクでありゾラデックスは不要とするお考えではないで
しょうか。」
⇒その通りです。
 しかし実際の場では「30代であれば、行われている」のが実状です。
 
「やはりゾラデックスは必要ないでしょうか」
⇒必要ないと思います。
 
 
「腰痛、膝痛がひどい日もあり骨に影響していることを体感します」
⇒気になるならば「骨密度」を測定しましょう。
 
 年齢的には「十分高い」と思いますが…
 ただ「ゾラデックスの長期投与」では下がってくる可能性があるので、気になった
際にはチェックしてください。
 
「安心感を得ることと副作用を天秤にかけるとき、どのような考え方をすれば良いですか」
⇒「自覚症状」と「検査所見」に分けて考えるべきです。
 「自覚症状」も問題無く、「検査結果:肝機能障害や骨密度」などに悪影響がなけ
れば「安心感を得る」ことも立派な治療(メンタル的な面も含めて)とも言えます。