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高齢者の母親の手術について

[管理番号:2571]
性別:女性
年齢:81歳
81歳の高齢の母のことです。
本人は両胸にしこりがあるのを3年位前からわかっていたらしいのですが、かかりつけ内科を受診したついでに、、、ということで、この2月にその内科で初めて胸のことも相談し診てもらい、しこりの大きさから10年くらいかけてできたものだろうと言われたそうです。
その後はその病院で、CTなどのいくつか検査をしましたが「がん」と最終断定するのには針検査をした結果を見てからということですが、ほぼ間違いないとのことです。
本日その検査に行っているところです。
私は仕事の都合で行けなかったのですが、80歳の父が付き添っています。
CT画像では、両胸外側に最大3.6cmのしこり、乳首下にもしこり(大きさと片方か両方かは不明)があり、右はリンパにも転移、左のリンパはまだわからないとのことでした。
あと、腫瘍マーカーも高いと言われました。
検査項目の細かい数字はまだ知らされておらず、わかりません。
この場合は、やはり両胸全摘手術の後、抗がん剤治療となりますでしょうか。
心配なのは、今、診てもらっている先生は消化器外科医(外科部長)でマンモグラフィ読映資格医ですが、乳腺専門医ではありません。
乳がん検診が主な診療のようです。
かかりつけのその病院には乳腺科がありませんでした。
新たに乳腺科のある病院に、セカンドオピニオンというよりはもう転院してほうがいいのではないかと思っているのですが、先生はどう思われますでしょうか。
それとも、しこりの大きさから考えると、その病院で早急に手術したほうが良いのでしょうか。
本人は、混乱のせいか病気の詳細を知ろうせず、今後どう治療したいとかも「どうしたらいいのかわからない」と言うばかりです。
私も突然聞かされ、気持ちの整理がつかないままいろいろ調べ、このサイトに辿りつきました。
身近に相談する人もあまりいないので、ご相談したくメールしました。
勉強不足で、まとまりのない長文ですみません。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「81歳の高齢の母のことです。」
⇒ここに「高齢」という表現をされていますが、「乳癌の世界では、それ程高齢」とは言えません。
 (参考までに)
手術 
90歳代後半からは躊躇します(ご家族が望まれないケースが多い)
81歳では、全く問題ありません。
抗ガン剤 
80歳以降では「再発予防としての」抗がん剤の使用には躊躇しま
す。
 ただ、(手術不能例や遠隔転移」ではメニューに気を付けながら抗ガン剤治療は行います。
 90代以降では「抗ガン剤は一切やらない」
ホルモン療法 
年齢に無関係 90代後半でも飲めれば飲んでもらいます。
  
「本人は両胸にしこりがあるのを3年位前からわかっていた」「しこりの大きさから10年くらいかけてできたものだろう」
⇒手術可能な状態なのかが、「とても」気になります。
 ○手術可能なのかのポイントは「皮膚所見」です。
  
 ○乳癌は「乳腺内にいくら大きくても(乳腺は)全部取れます」
 しかし、「皮膚に後半に拡がっている」と「手術不能」である可能性があります。
 ♯手術不能である場合には「かなり厳しく」なります。
 
「CT画像では、両胸外側に最大3.6cmのしこり、乳首下にもしこり(大きさと片方か両方かは不明)があり、右はリンパにも転移、左のリンパはまだわからないとのことでした。」
⇒「腫瘍径、3.6cm」自体は大した問題ではありません。
 また、「腋窩リンパ節転移」も通常手術で取りきれます。
 問題は「皮膚所見」です。
 広範に「皮膚結節や赤み」が無い事を願います。
 
「やはり両胸全摘手術の後、抗がん剤治療となりますでしょうか。」
⇒「両胸全摘」できればいいのですが(皮膚所見によります)
 術後は(抗癌剤ではなく)ホルモン療法がベストです。
 ただ、「手術で病巣を取りきれなかった場合」や「ホルモン療法が効かないタイ
プ」であれば(極力負担の無いレジメンで)抗癌剤を使わざるを得ません。
 
「新たに乳腺科のある病院に、セカンドオピニオンというよりはもう転院してほうがいいのではないかと思っているのですが、先生はどう思われますでしょうか。」
⇒転院すべきです。
 手術一つとっても、違いがあるのです。
 術後の治療もそうですが…
 
「それとも、しこりの大きさから考えると、その病院で早急に手術したほうが良いのでしょうか。」
⇒「何年越しの、しこり」ですから、今更「焦っても」仕方がありません。
 腰を落ち着けていきましょう。
 
本人は、混乱のせいか病気の詳細を知ろうせず、今後どう治療したいとかも「どうしたらいいのかわからない」と言うばかりです。
 
○極めて重要な事は「手術可能な状況かどうか?」です。
 皮膚所見が重要となります。 
 
 手術は「最も楽な治療」と言えます。
  この点を理解していないと「とんでもない選択」をしてしまいます。
  
 抗ガン剤は副作用があるので「手術」⇒「ホルモン療法」がベストなのです。