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抗がん剤(化学療法)治療の決断が出来ません。

[管理番号:2747]
性別:女性
年齢:51歳
はじめまして。
昨年9月に乳がんと診断され、両側に一つづつ見つかりました。
10月に温存手術をいたしました。
術後2週間後から「ノルバデックス20」の服用開始
術後1ケ月後から25回の放射線治療開始
放射線治療が終了するまでに、化学療法をするか、しないかを決断してきて下さい。
と主治医から言われていましたが、決断が出来ずに術後半年がたってしまいました。
迷っているときにこのサイトに出会いました。
抗がん剤治療を受けない方向でと決断しても大丈夫でしょうか?
LuminalBの判定と右胸の乳管内伸展あり、脂肪浸潤あり、が気になっています。
この3月からホルモン強化ということで、ホルモン注射(リューブリン3か月に一回・二年間)を始めたところです。
この先、ホルモン注射(リューブリン)も継続した方が良いのかどうかも合わせてお尋ねさせて下さい。
よろしくお願いします。
私の病理結果は下記の通りです。
         (右胸)     (左胸)
         浸潤癌(硬癌)   浸潤癌(硬癌)    
核グレード      2        1
リンパ節転移     なし       なし     
脂肪浸潤       あり       なし 
リンパ管浸潤     なし       なし      
血管浸潤       なし       なし
乳管内伸展      あり       なし 
断片総合判定     陰性       陰性
ER/PgR     +        +
HER2       +1       0
Ki-67      20.4     29.5
Luminal    B        B
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
腫瘍径の記載が無いので「具体的な数値は出せない」ですが、ホルモン療法単独でいいでしょう。
左右ともluminalBとなっていますが、どちらも所謂「グレーゾーン」です。
右はKi67=20.4ですが、これは「ほぼルミナールA]と言ってもいいと思いますし、左はKi67=29.5ですが、「核グレードが1」であり、「ルミナールBとする根拠」に乏しいと思います。
 
「化学療法をするか、しないかを決断してきて下さい。」
「抗がん剤治療を受けない方向でと決断しても大丈夫でしょうか?」
⇒私の患者さんだったら…
 ホルモン療法単独とします。
 どうしても迷うならば「Oncotype DX」をしてみるという手もあります。
 
「LuminalBの判定と右胸の乳管内伸展あり、脂肪浸潤あり、が気になっています。」
⇒全く無駄な心配です。
 「乳管内進展」は通常にある所見であり、「断端陰性」であれば問題にする必要は全くありません。
 「脂肪浸潤」は、普通です。殆どの浸潤癌は「脂肪浸潤(f)」ですよ。
 ○どちらも「全く問題とはならない」所見です。
 
「この3月からホルモン強化ということで、ホルモン注射(リューブリン3か月に一回・二年間)を始めたところです。」
「この先、ホルモン注射(リューブリン)も継続した方が良いのかどうかも合わせてお尋ねさせて下さい。」
⇒不要の可能性が高いです。
 LH-RHagonistの適応には2つの要素があります。
 ①年齢
 ②ステージ
 まず「年齢」的には、適応外です。
 ASCOの新しいガイドライン(2016)では「ステージⅡ以上では使うべき」となっています。
 ○質問者の場合には「リンパ節転移なし」なので「腫瘍径>2cm」でなければ適応外となります。