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術前と術後の検査結果の乖離と抗がん剤治療について

[管理番号:1648]
性別:女性
年齢:36歳
はじめまして。
10月上旬に左乳房全摘手術を終え、先日術後の病理検査結果を聞いてきました。
術前の検査では非浸潤癌(TisNoMo)とのこと、浸潤部分があったとしても微小浸潤なのでステージ0か1と聞いており、同時再建(子どもの強い希望により)を受けましたが、術後の病理検査の結果がかなり悪く動揺しています。
術前の針生検(3本:深切り作製)の結果は下記の通りでした。
充実型~乳頭型のDCIS
石灰化(+)
核異型度:Grade2(NA2+MI2)
HER2:Score2(参考値)
ki-67陽性率:53.7%
術後の病理検査の結果は下記の通りでした。
組織型 乳頭腺管癌
腫瘍浸潤径(t)25mm 非浸潤部は60mm
リンパ節転移(n) なし
脈管侵襲(ly,v) なし
組織学的悪性度 高Grade3
ホルモンレセプター(ER) 強い(3b)
HER2タンパク 陽性
Ki67 高い(50%)
主治医からは、ホルモン療法5年とFEC3週ごと4回とハーセプチン1年とホルモン療法5年を進められました。ハーセプチン単体ではできないと言われました。
3人のまだ小さい子どもがおり、頭では、すべて受けたほうがいいことは分かっているのですが、こんなにも術前と術後の病理検査の結果が違っていることに戸惑いがあり、抗がん剤への抵抗感がぬぐいきれません。先生の見解をお聞かせいただき、自分の背中を押したいと思います。よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
正直な感想としては「術前針生検で非浸潤癌」だったのに「微小浸潤」どころか「25mmの浸潤部分」というのは「針生検する部位の選択に問題あり」となります。

回答

「ホルモン療法5年とFEC3週ごと4回とハーセプチン1年とホルモン療法5年を進められました」
⇒現在の標準的な考え方とは異なるようです。
 抗HER2療法の基本は①「ハーセプチン」+「アンスラサイクリン+タキサン」です。 
♯FECのEがアンスラサイクリンです。
 low riskへの「バリエーション」としては「アンスラサイクリン」を抜いたレジメンが多く提案されています。
②ハーセプチン+「weekly PTX]
③ハーセプチン+「ドセタキセル+カルボプラチン」
④ハーセプチン+「ドセタキセル+エンドキサン」
つまり、①~④が通常の選択肢と思います。
○質問者の場合は
年齢が若いから「ガッチリ」したいとなれば①
リンパ節転移が無いからとなれば②~④
が通常選択されます。
 
「こんなにも術前と術後の病理検査の結果が違っていることに戸惑いがあり、抗がん剤への抵抗感がぬぐいきれません」
⇒お気持ちは良く解ります。
 ただ、「抗HER2療法」は「最もやるべき、やるだけの価値の有る」治療です。
 現実に目をそむけずに、行うべきです。
 どうしても「アンスラサイクリンによる吐き気」に抵抗があるのであれば、②~④のレジメンを選択してもらってください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お久しぶりです。
以前、質問させていただいた者です。
遅ればせながら、その節はありがとうございました。
<参考:術後の病理結果>
組織型 乳頭腺管癌
腫瘍浸潤径(t)25mm 非浸潤部は60mm
リンパ節転移(n) なし
脈管侵襲(ly,v) なし
組織学的悪性度 高Grade3
ホルモンレセプター(ER) 強い(3b)
HER2タンパク 陽性
Ki67 高い(50%)
先生のお考えと自分の考えを整理し、その後、がっちりと、FEC+
ウィークリーパクリ・ハーセプチンを完走しました(以前の質問に誤りがありました:主治医から勧められたものは、FEC→ハーセプチン→ホルモン療法です。
が、自分の希望でウィークリーパクリを追加しました。)。
今後は、総合病院からクリニックに場所を移し、ハーセプチンの残りとホルモン療法になります。
そこで、またアドバイスをお願いします。
私は、FECの4回目の直前まで生理がありましたが、ウィークリーパクリを完了した今、生理は再開していません。
(5年前に、産婦人科医より、血液検査の結果、残っている卵子の数が少ないと言われました。)
総合病院の主治医からは、がっちりとの希望ならば、年齢も考慮し、ゾラデックスorリュープリンを5年、タモキシフェンを10年と言われました。
いろいろと考えた末に、先日、総合病院にてゾラの1か月製剤を打ちました。
ノルバデックスも服薬を始めました。
しかし、抗がん剤が終了したため、地域医療連携で病院・主治医がかわり、新しい主治医から、生理が再開していないなら、ゾラorリュープリンはしなくてもよいのでは?と言われ、再び迷い始めてしまいました。
するにしても、ゾラ1か月ではなく、リュープリンの6か月製剤なら経済的にも楽だということも…。
自分の中で、40歳までを治療の一区切りとし、そこまでは経済的なこ
はひとまず考えず、できることはすべてやって、まだ小さい子どもとの人生、後悔のないようにしたいという気持ちで今まで突き進んできています。
タモキシフェンも、エビデンスが確実な先発にとの思いで決めました。
乳がんの治療は選択肢が多くて迷います。
①私には、ゾラorリュープリンは過剰投与なのでしょうか?
②過剰でない場合、ゾラ(1、3か月)、リュープリン(1、3、6か月)は、何を基準に選択すればよいのでしょうか?
③タモキシフェン(先発or後発)は、何を基準に選択すればよいのでしょうか?
差し支えなければ、先生のお考えを教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
化学療法閉経後のホルモン療法の考え方ですね。
37歳という年齢からは「月経再開の可能性」が高そうです。
一番重要なことは、『化学療法閉経から月経再開した場合には(そのままと比較して)LH-RHagonistを用いた方が予後が良い』というものです。
○つまり実際のやり方としては、
 ①経過をみて「月経再開後に」LH-RHagonistを開始
 ②(月経再開まで待たずに)最初からLH-RHagonistを併用
このどちらを選択すべきかは、「ご本人の意思(積極性)」と「年齢」を参考にしています。
 つまり質問者のように(30代であり、)月経再開の可能性が高い場合には②を勧めます。
「①私には、ゾラorリュープリンは過剰投与なのでしょうか?」
⇒上記コメント通りです。
 過剰投与など「とんでもない」考え方です。
 最初から「併用」でいいと思います。
 
「②過剰でない場合、ゾラ(1、3か月)、リュープリン(1、3、6か月)は、何を基準に選択すればよいのでしょうか?」
⇒最初は(副作用を考えて)1カ月製剤を選択します。
 それでOKならば「長期製剤(3カ月など)」に変更します。
 「ゾラデックス」か「リュープリン」かはエビデンスがあるのは「ゾラデックス」ですが、「注射が痛いのはリュープリン」です。好みでいいでしょう。
 
「③タモキシフェン(先発or後発)は、何を基準に選択すればよいのでしょうか?」
⇒実際はどちらでもいいとは思っていますが(患者さん本人から希望されない限り)「先発」を勧めてはいます。



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