[管理番号:613]
性別:女性
年齢:44歳
去年の9月に嫁が乳がんの手術をしました。
術前は充実腺癌、15mm、ホルモン陽性、ハーツー陰性、リンパ節転移なしでしたがkiが高くてルミナールBで抗ガン剤をする事になっていましたが術後にkiが10ま~15%になってルミナールAで抗ガン剤はしなくて2年のリュープリンと5年のタスオミンの治療をしています。
それと核グレード2(1+1)、ly0、v0でした。ルミナールの変化が気になって、あるクリニックの掲示板に投稿したら信用できない病理検査、病院だと言われて90%以上の医師が間違った治療をしてると書いてあり不安な状態で今に至ってます。
主治医もそんなに心配するほどリスクは高くないとおっしゃってます。乱文で申し訳ありません。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
奥さんの心配をされる気持ちが伝わってきました。
私も診療をしていて「患者さん本人以上に心配されて関心を持っている」ご主人に遭遇する機会が時々ありますが、本当にいいことだと思っています。
やはり、患者さん本人にとって大変心強いことですし、診療する我々医師側にも「その熱意」が伝わってきます。
回答
「kiが下がってルミナールAになったことを信頼出来ない」
⇒そのように批判する気持ちもわからないでもありませんが、そもそも「Ki67値は病変の代表的部位を複数カウント」してその平均値をとります。
つまり、そもそも「針生検でKi67を測定しても、それはあくまでもサンプリングなので、病変の代表的部位で無い事も多く」本来信頼のできる数値ではありません
江戸川病院ではそもそも「針生検でのKi67測定」はしてません。全て「摘出標本でのKi67値」なのです。
ただし、「あるクリニックの掲示板」のいうように「摘出標本の処理が悪く、免疫染色の染色性が落ちている」可能性も無いわけではありません。
「核グレード2(1+1》」
⇒これは但し表記ではありません。
核異型度1点+核分裂1点=2点ならば核グレード1となります。(以下を参照ください)
「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
・核異型
弱い:1点
中間:2点
強い:3点
・核分裂
5個未満(10視野で):1点
5~10個(10視野で):2点
11個以上(10視野で):3点
・核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1
4点 ;核グレード2
5点、6点 :核グレード3
○pT1c(15mm), pN0, luminal, ly0, v0であれば、十分早期です。
44歳ローリスクでLH-RHagonist(リュープリン)が必要かには疑問がありますが、ホルモン療法単独でいいでしょう。
先に挙げた「検体処理が悪いためにKi67値が多少下がったと仮定」しても、その程度なら「針生検でのKi67もそれ程高く無い(例えば20-30%?)」と思います。
「信用できない病理検査、病院だと言われて90%以上の医師が間違った治療をしてると書いてあり」
⇒このような「根拠薄弱」な回答をするクリニックは信頼してはいけません。
質問者様から 【質問2】
お忙しいのにありがとうございます。
りすくはそんなに高くないんですよね?
核グレード2(1+1)の2とはスコアーが2でグレード1でいいんですか?
予後、再発とかが心配で本当に乱文で申し訳ありません
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT1c(15mm), pN0, luminal, ly0, v0 十分早期です。
回答
「核グレード2(1+1)の2とはスコアーが2でグレード1でいいんですか?」
⇒これは主治医への確認が必要です。
前回も記載したように(1+1)とは「核異型1点+核分裂1点」の事だと思うのですが…
であれば、核グレードは(質問者の理解どおり)1となります。
・核異型
弱い:1点★
中間:2点
強い:3点
・核分裂
5個未満(10視野で):1点★
5~10個(10視野で):2点
11個以上(10視野で):3点
・核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1★
4点 :核グレード2
5点、6点 :核グレード3
質問者様から 【質問3】
何度も申し訳ありません。
嫁さんは主治医を信じてるて毎日普通(元気ならぐらい)に暮らしています。
タスオミン、リープリンの副作用?ホットフラッシュがありますが、冬は暖かくていいとか苦になるような副作用も出ていなくて安心はしています。
私も嫁さんみたいに気持ちをポジティブに生活しなきゃいけませんよね。
本当にアドバイスありがとうございました。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
十分早期です。心配ありません。
『Positive thinking』とってもいい事です。
「不安」は誰しもありますが、必ず「時が解決」していきます。
5年経ち、そして10年も過ぎれば「そう言えば手術したんだよね?」みたいな昔話に変わっていきます。
質問者様から 【質問4 乳がんとお酒】
何度も申し訳ありません。
毎晩の楽しみにで2人で500mmのビールを1本飲んでいます。(1人250mm)
お酒は良くなと書いてありますが・・・これぐらいの少量でも止めた方がいいのですか?
ストレスの発散の為に少しぐらいならいいかなと思って飲んでますが
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
アルコールですね。
1日1ℓ飲んでいる私に回答する資格があるかは問題ですが…
回答
「これぐらいの少量でも止めた方がいいのですか?」
⇒250mlであればいいと思います。
日本人を対象としたエビデンスは無いのですが「世界的なエビデンス」としては「アルコールはリスク因子」とはなっています。
ただし「一杯程度であれば、リスクとはならない」という報告も数多いのです。
私は患者さんには「缶ビール1本(350ml)位は気にしないで」とお話ししています。
質問者様から 【質問5 食事について】
再度質問します。
食事についてですが牛肉、豚肉はダメだとか豆乳、乳製品はダメだとかパンはダメだとか言いますがどうなのでしょうか?
今は牛肉も豚肉も食べてます。
もちろん食べ過ぎない食べ過ぎないようにして果物も毎日とってます。
昼はお互いに学校関係の給食ですからバランスは取れています。
夜も大豆製品、カボチャ、ほうれん草、人参などは毎日いれて食材を多く取るようにしています(10~13種類) バランスよく食べていれば牛肉、豚肉’を食べてもいいですか?
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「乳がんと食事」ですね。
良く聞かれる質問です。
回答
「食事についてですが牛肉、豚肉はダメだとか豆乳、乳製品はダメだとかパンはダメだとか言いますがどうなのでしょうか?」
⇒乳癌診療ガイドラインが改訂され2015版がつい最近でました。
食事について証明されているのは
①乳製品は乳癌発生を低下させる可能性がある
②大豆、イソフラボンは乳がん発生を低下させる可能性がある
○他の情報は全て「眉つばもの」です。
「バランスよく食べていれば牛肉、豚肉’を食べてもいいですか?」
⇒そもそも、牛肉も豚肉も問題ありません。
○肥満は乳癌リスクを上昇させますので、「バランス良く食べて良く運動すること」これが重要です。