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術後抗がん剤の選択肢と妊孕性について

[管理番号:2262]
性別:女性
年齢:32歳
田澤先生、こんにちは。
昨年11月に乳がんの告知を受けてから、自分なりに乳がんについて勉強しており、こちらの乳がんプラザを見つけてからは、こちらで乳がんについてたくさんのことを学ばせていただいております。
この度、抗がん剤について選択肢を示され、どうするべきか悩んでおります。
先生のご意見をお聞かせいただければと思い質問させていただきました。
私(32歳女性)の乳がんの病理結果です。
硬がん 19ミリ
リンパ管侵襲陰性
血管侵襲陰性
核異形度3
切除断端陽性(後日追加手術をしていただき、切除した部分にがん細胞
がないことを確認していただきました。)
センチネルリンパ節転移なし
ステージ1
ホルモン感受性陽性
HER-2陰性
Ki-67 20~30%
年齢と核異形度、がんの大きさ、Ki-67を考えると、抗がん剤治療をした方が良いと言われ、抗がん剤治療を受けることは決めています。
既婚ではありますが、子供はおらず、治療後は妊娠・出産を望んでおります。
その為に抗がん剤治療前に受精卵の凍結を行いましたが、あまり結果が良いとは言えず、自身の将来的な妊孕性に不安を感じています。
抗がん剤治療についてですが、当初はTC療法を4クール3ヶ月間行う予定でしたが、担当医から、パクリタキセル12クール3ヶ月間という選択肢もあると教えられました。
勉強不足で、その場で判断ができず、当初の予定通りTC療法を実施するということになりました。
帰宅しインターネットなどで調べても、パクリタキセルは他の薬剤と併用されることが多いようで、パクリタキセルのみでの治療についてはほとんど記載がなく、田澤先生のご意見をいただければと思い質問させていただきました。
主治医からは、パクリタキセルはTC療法と比べても遜色ない結果が出ていると言われましたが、それで間違いないでしょうか。
もしも同程度の効果が得られるとしたら、卵巣抑制が起こりやすいエンドキサンを使用するTC療法ではなく、パクリタキセルであれば卵巣機能も戻ってくる可能性が少しは高まるのではないか(もちろんタキサン系の薬剤にも卵巣抑制が起こることはわかってはいるのですが)、と考えてしまうのですが、田澤先生のご意見はいかがでしょうか。
来週から抗がん剤治療が始まりますので、時間的にも余裕がありません。
TC療法を受けるつもりで心の準備をしてきたので、急に選択肢が増え、戸惑っています。
これから乳がんと闘っていくにあたり、しっかりと納得した上で後悔のない選択をして治療に臨みたいと思っています。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(19mm), pN0, luminal type, Ki67=20~30%
「年齢と核異形度、がんの大きさ、Ki-67を考えると、抗がん剤治療をした方が良い」
⇒「核異型度」はともかく、「癌の大きさ」や「Ki67の数値」は「抗がん剤を勧める根拠としては?」ですが…
 「抗がん剤治療を受けることは決めています」というのであれば、何ら問題はありません。
 
「自身の将来的な妊孕性に不安」「抗がん剤治療についてですが、当初はTC療法を4クール3ヶ月間行う予定でしたが、担当医から、パクリタキセル12クール3ヶ月間という選択肢もある」
⇒術後補助療法として「タキサン単剤がアンスラサイクリンを含むレジメンに劣らない」というデータはあります。
 
「主治医からは、パクリタキセルはTC療法と比べても遜色ない結果が出ていると言われましたが、それで間違いないでしょうか。」
⇒直接比較は無い筈ですが…
 ただ、「タキサン単剤がアンスラサイクリンに劣らない」訳なので、『TCと同程度、もしくは遜色ない』とは言えます。
 
「もしも同程度の効果が得られるとしたら、卵巣抑制が起こりやすいエンドキサンを使用するTC療法ではなく、パクリタキセルであれば卵巣機能も戻ってくる可能性が少しは高まるのではないか(もちろんタキサン系の薬剤にも卵巣抑制が起こることはわかってはいるのですが)、と考えてしまうのですが、田澤先生のご意見はいかがでしょうか。」
⇒(効果が同程度かどうかは不明ではありますが)weekly PTXは非常にいい治療(効果と副作用のバランスが採れている)であり、妊孕性を重視すれば(尚の事)「選択肢として悪くはない」と思います。