[管理番号:7008]
性別:女性
年齢:52歳
病名:右乳房 浸潤性 硬癌
症状:腫瘍の大きさは2cm強
はじめまして。
9月に乳がんの告知を受けてから先生のQ&Aを拝読しております。
全て読めたわけではないのですが、乳がんの告知を受けて同じように悩み、
治療に頑張っている仲間の存在を心強く思うとともに、先生の的確で理解しやすい回答に勇気づけられています。
私は術後3週間が経過しましたが、治療を決められず悩んでいます。
ホルモン療法は決定事項ですが、まだ初めてはおりません。
先生のご意見をお伺いいたしたくお願いいたします。
11月中旬 右乳房全摘手術をしました。
以下に所見を記します。
腫瘍径:20.0×17.0×12.0
組織分類:浸潤性乳管癌 硬癌
腺管形成スコア:3 核異型スコア:2 核分裂スコア:1(1/
10HPF)
核グレード:1 組織学的グレード:2
ER:TS7 90.0% Score3b
PgR:TS8 90.0% Score3b
HER2:score 0
波及度:g,f リンパ管侵襲:Ly1 静脈侵襲:V0
リンパ節転移:1/1(SNB 1/1)
※手術直後の両親への手術の説明では、センチネルリンパ節に「微小転移があったがリンパ節の廓清をしなかった」旨のお話があったようです。
しかし、病理検査の結果では2mmを超えるセンチネルリンパ節転移であったとのことでした。
したがって実際のリンパ節転移の個数は不明と解釈しています。
pT1c pN1 M0 Stage2a
Ki67は術後の測定はなく、針生検の検体のものですが、10%(手術を行った病院にて計測)、20%(針生検を行った病院にて計測)と、2通りの数字が出ています。
そこでお聞きしたいのは
①微小転移1個だと聞いていたので抗がん剤はやらない方向で考えていたのですが、リンパ節転移の個数がはっきりせず、迷っています。
◆先生は常々4個以上ないと抗がん剤は奨めないとのお考えでいらっしゃいますが、私の場合には、抗がん剤をしておくべきとお考えになりますか?
◆抗がん剤による治療を行う場合は、TCのみでよいと思われますか?
②リンパ節の追加廓清をお願いし、リンパ節の転移個数を明確にし、化学療法の必要性を考えるべきでしょうか。
③オンコタイプDXは私のような症例にでも有効でしょうか。
受けた方がよいとお考えになりますか?
④残っているかもしれないリンパ節転移癌を想定し、私の場合、放射線の腋窩照射は有効なのでしょうか。
お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
リンパ節転移は、あくまでも「局所」です。
何か足すとしたら「再手術か放射線」となるわけです。
「全身」療法である「抗がん剤」とは無関係とシンプルに考えましょう。
「◆先生は常々4個以上ないと抗がん剤は奨めないとのお考えでいらっしゃいますが、私の場合には、抗がん剤をしておくべきとお考えになりますか?」
→無関係
「◆抗がん剤による治療を行う場合は、TCのみでよいと思われますか?」
→ルミナールだから、そうなります。
「②リンパ節の追加廓清をお願いし、リンパ節の転移個数を明確にし、化学療法の必要性を考えるべきでしょうか。」
→化学療法とは無関係
純粋に「局所制御」として「リンパ節の追加郭清すべきか?」という問題です。
『今週のコラム 144回目 肉眼的転移では 追加郭清>郭清省略なのです』をご参照のこと
「③オンコタイプDXは私のような症例にでも有効でしょうか。受けた方がよいとお考えになりますか?」
→(リンパ節とは無関係に)抗がん剤の適応を見るためには推奨されます。
「④残っているかもしれないリンパ節転移癌を想定し、私の場合、放射線の腋窩照射は有効なのでしょうか。」
→上記コラム(144)をご参照ください。