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豊胸後の乳腺腫瘤について

[管理番号:5018]
性別:女性
年齢:29歳
はじめまして。
自業自得な話なのですが、豊胸後の乳腺腫瘤についての相談です。
もともとAAカップもないくらいの真っ平らな胸がコンプレックスで、2016年2月末に美容クリックにて「アクアフィリング」というフィラーを乳腺下に入れました。
左右87,5ccずつ、合計175ccを注入しました。
「アクアフィリング」は、「98%の水分と2%のポリアミドで構成されていて、3~5年かけてゆっくりと体内に吸収、最終的には尿として排出される。
もし注入後に取り出したくなった場合でも、
生理食塩水を加えることで容易に体外に排出することができる。」というものです。
(FDAは未承認)
また、「親和性が高く、しこりにならない」というのも特徴です(だそうです)。
しかし、注入してから2週間が経った頃、胸が局所的にきゅーっと痛み、あとで触れてみると3箇所ほどしこりのように硬くなってしまいました。
1箇所につき、3~4センチ、大きいところでは左乳房の半分くらいが硬くなっています。
このような状態になったことがショックだったのと、他は痩せているのに注入した部分だけゴムボールのように膨らんでいることに違和感を感じ、
結局2016年8月に別のクリニックでアクアフィリングの溶解除去を行いました。
(生理食塩水を注入して溶解し、注射器で吸引)
その際、「硬くなっている部分はすでに組織に染み込んでいる感じがするから、この部分は溶けないと思う」と言われました。
案の定、硬い部分は注射器では引けず、今も硬く残ってしまっています。
症状を知りたくてその医師に確認したところ、「乳腺腫瘤だね」との答えでした。
この「乳腺腫瘤」という言葉がずっと気になっています。
自分なりに調べてみたところ、ヒアルロン酸や脂肪注入でできたしこりは癌化することはない、ということを知り、きっとアクアフィリングも同じだろうと思っていました。
しかし、今年3月中旬に日本美容外科学会がホームページ上で、「アクアフィリング使用への注意喚起」を掲載したのです。
それによると、「…これまでの乳房に対する様々な注入物によって引き起こされた合併症の懸念から、同学会の見解としてこれらの懸念が解消されるまで、本製品の使用に反対する。
….
理事会において、「少なくとも現時点においてアクアフィリングならびにアクアリフトを用いた豊胸術を推奨することはできない。
現在この治療法を行っている医療機関においては、これらの現状を十分理解し、かつ長期的な経過観察を行っていくと同時に、その結果を公表していく必要がある。」という見解に至った…」
という内容です。
なぜこのような見解に至ったのか詳しい説明はされていませんが、どうやら成分である2%のポリアミドの中に、一部重合しきれないモノマーが存在し(アクリルアミド)、それに発癌性があると言われているからのようです。
アクリルアミドは分類2Aの「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類されています。
学会で注意喚起がされるというのは、それ相当の重みがあるものなのでしょうか。
この記事をみて不安になっています。
「乳腺腫瘤」と言われた以上、乳腺専門の病院で検査をしたいと考えています。
状態としては緊急性は低いかと思いますし、元キャスターが亡くなられたこともあり、医療機関は大変な状況になっているかと思います。
そんな中このような内容で申し訳ございません。
前置きがとてもとても長くなりましたが、市川にて田澤先生に診ていただきたいのですが、可能でしょうか。
また、「身長が高く、痩せ形、ほくろが多い人は若年性乳癌になりやすいという統計がある」とネット上で見かけました。
たくさんの患者さんを診察されている中で、そのような傾向にあると感じますか。
最初の2つは聞いたことはありますが、ほくろが多いというのは初耳で、私の場合すべて当てはまっているので少し気になりました。
(165センチ、BMI18、少しではなくかなりほくろが多い)
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
『症状を知りたくてその医師に確認したところ、「乳腺腫瘤だね」との答えでした。』
⇒表現するとすれば、ただの「肉芽腫」です。
 有名なのはsiliconoma(シリコノーマ:シリコン肉芽腫)であり、異物であるシリコンに対して組織反応として肉芽(しこり)を形成するものです。
 これは腫瘍ではなく、ただの「反応性の塊」なのです。
 担当医は「乳腺にあるシコリ」という意味で(表現するなら)「乳腺腫瘤」という表現をしていますが、(語彙的に誤りではありませんが)「腫瘍と勘違いされかねない表現」と言えます。
 ☆乳腺腫瘤という表現は(乳腺に存在する)「腫瘍と(単なる反応性の塊である)肉芽腫」の両方を含んでいるのです。
『この「乳腺腫瘤」という言葉がずっと気になっています。』
⇒お解りいただけましたか?
 質問者は「腫瘤」と言う表現に「腫瘍」を連想させているようですが、実際は「(反応性の塊である)肉芽腫」にすぎないのです。
 ♯美容学会は安全性の面で注意喚起をしているようですが、「発がん性が証明されているわけではない」のです。
「乳腺腫瘤」と言われた以上、乳腺専門の病院で検査をしたいと考えています。」
⇒不要です。
 勘違いに気付いてくれましたか?
 担当医は(腫瘍という意味で行ったわけでは無く)あくまでも「乳腺に存在する肉芽腫」を「乳腺腫瘤」と表現しただけです。
 ○乳腺外科を受診したとしても…
  「肉芽腫を知らない医師」に診察されると、「これはガンかも知れない」などと言われ「余計な心配をさせられるだけ」ですし、そうでなければ「何で来たの?肉芽腫だよ?気にしないで!」と冷たく言われる可能性もあります。
「前置きがとてもとても長くなりましたが、市川にて田澤先生に診ていただきたいのですが、可能でしょうか。」
⇒肉芽腫自体は気にしても仕方がありませんが…
 もしも「気になるからどうしても取りたい」と考えたら、手術の相談となります。
「身長が高く、痩せ形、ほくろが多い人は若年性乳癌になりやすいという統計がある」
「そのような傾向にあると感じますか。」

⇒全く無意味
 ○高身長は(成長の速さから)「初潮年齢が早くなる=エストロゲンに長期間曝される」ということから「乳がんのリスク因子」としては間違いないようです。
 ○痩せ形に関して
  以前から「閉経後では肥満が乳癌リスクを高める」ことは良く知られており、それと反するように「閉経前では痩せ形の方がリスクが高い」とされていましたが…
  日本での臨床研究では「閉経前でも肥満が乳癌リスクを高める」ことが明らかとなり、ガイドラインも改定されています。
 ○ほくろは…
  昔から「いろいろなことと関連づけられて、まことしやかに○○になりやすい」などとされていましたが…
  どう考えても「無関係」です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

豊胸後の乳腺腫瘤について
性別:女性
年齢:29歳
先日はご回答をいただきありがとうございました。
その後安心していたのですが、8月に入り左胸の乳頭から2センチ程下のところに1センチ位のしこりがあることに気がつきました。
アクアフィリングの硬さやしこり感とは違うもので、今までその部分にはなかった新たなしこりと自覚しています。
昨年8月にアクアフィリングの除去をしていますが、残ってしまっているため他クリニック(美容クリニック)に相談していたところで、来月9月(上旬)日に再度除去を行う予定でした。
しかし、8月初めにこのしこりを見つけたため、
除去を予定しているクリニックで昨日エコーをしていただきました。
(そのクリニックはエコーを
導入しており、診ていただいた先生は元乳腺外科医です)
エコーをみてのコメントは「(しこりがわかりにくい様子ではあったものの)これだね、、確かにこのしこりは乳腺内にあるね。
フィラーは乳腺下に入れるものだからフィラーによるしこりだとは考えにくい。
6,7ミリ。
形もちょっと微妙だね、
気になるのは血流があること。
ただ、何かの炎症を起こしている場合でも血流反応はあるからね。
ここではこれ以上は調べられないからこれは病院で細胞診などをして確定してもらった方がいい。
残っているアクアフィリングの除去は診断が出てからにした方がよい」とのことでした。
触診では「たぶんフィラーによるしこりだろう」
とのコメントでしたが、エコーを診てから厳しい顔つきをされたのでとても不安です。
また、アクアフィリングが残っているせいかエコーはみづらいようでした。
アクアフィリングを入れたのは2016年2月です。
除去はしたものの現状残っているため、この1年半の間に癌が6,7ミリになったのでしょうか。
不安でいっぱいです。
ぜひ田澤先生に細胞診等をお願いしたいのですが、私のように豊胸をしていてみづらくなっている胸でも診ていただくことは可能でしょうか。
((関東)在住です。)
確定診断を希望する場合、マンモトーム生検になるでしょうか。
このような胸でも100%の診断、白黒をはっきりさせることは可能でしょうか。
また検査していただける場合、どれくらい先になるでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「6,7ミリ。形もちょっと微妙だね、気になるのは血流がある」
「確定診断を希望する場合、マンモトーム生検になるでしょうか。」

⇒画像診断で確定しない場合には、それで確定となります。
「このような胸でも100%の診断、白黒をはっきりさせることは可能でしょうか。」
⇒当然です。
 超音波で見えるものをマンモトームできないなどということは全くありません。
 ♯時々、このQandAで「薄い胸なので、針生検をすると気胸(肺に針が刺さって孔が開く)となるリスクがあるので…」みたいな医師のコメントがありますが、とんでもないことです。(そんなことありえません)
「また検査していただける場合、どれくらい先になるでしょうか。」
⇒3カ月位でしょう。(予約状況から)
 
 

 

質問者様から 【質問3】

豊胸後の乳腺腫瘤について
性別:女性
年齢:29歳
先日はご回答いただきありがとうございました。
左乳頭の下にしこりを自覚し、美容クリニックにて元乳腺外科の先生から「6,7ミリのしこりと血流あり。
確定診断を」との指摘を受けた者です。
その後精神的に不安定となったため、8月下旬に湘南記念病院 乳がんセンターを受診してきました。
(クリニックで撮ったエコーと紹介状を持参しました)
結果、「あなたの言うしこりは正常乳腺であり、悪性を疑う所見はありません。」とのことでした。
本当に大丈夫なのかご意見をお願い致します。
まず、技師さんによるマンモグラフィー(左右2枚ずつ)→技師さんによるエコー(左右10分位ずつかけ、丁寧に検査いただいた印象)→その後、先生の診察でした。
診察ではまず、「マンモですが、あなたの年齢なら通常行いません。今回は撮りましたが普通はエコーで判断することになります。」と言われ、先生自らエコーをしてくれました。
(こちらのコラムで技師任せのエコーのお話があったので、この病院もそうなのか、残念だなと思っていたところ最終的に先生自ら診てくれました)
そして、私が気にしている箇所をエコーしながら「しこりを自覚している場所ですが、技師と私の2人の目でみて異常がない。」とのことでした。
「それに、触れているしこりは6,7ミリ以上あるでしょう。
ふつう6,7ミリは自分ではわからない」とも。
ただ、持参した6,7ミリのしこりが写っているクリニックのエコーと比較しながら「とはいってもエコーというのはする人の技量というか主観?(言葉が違うかも知れません)が入るから診断も変わってくるんですね。
半年後にまたみせて下さい」とのコメントで終わりました。
このような流れだったのですが、確定してもらった方がいいと言われたのに細胞診すら不要だった
点、問題ないのでしょうか。
触知するしこりは異常なくても6,7ミリと言われたしこりは大丈夫なのか・・・。
この先生からすると問題なしだとい
うことでしょうか。
たとえ豊胸した胸をあまり診
たことのない先生でも、悪性かそうじゃないかの区別はつくものでしょうか。
というのも、○○総合病院というところの先生方が「豊胸術後乳癌の超音波検診」という論文?を書かれているのを目にしたからです。
コラーゲン注入によって発生した乳癌について記載しており、触知するしこりに対して、「MRIでのみ乳癌を疑う腫瘍が描出され,他の画像診断法では腫瘍を同定できなかった。
今回のわれわれの経験
から,豊胸術後の乳房病変に対しては,たとえ乳癌を疑っていなくても MRIを施行し腫瘍の有無を検索することは必須であるといえる」などが書かれていました。
豊胸をするとエコーでは正しい診断ができなくなる事例もあることを知り怖くなっています。
帰宅してから[管理番号1591]や[管理番号97]さんが私と同じ内容の質問(エコーに写らないしこり)をされているのを見つけました。
田澤先生は1591の回答で、「「症状があり、そこを重点的に見てもらう」際には、「それ程の差」はでません。
つまり、「ここが気になる」と言われた部位を「重点的に見ているのに、見逃す事」は想像する必要は無いのです。
」と回答されています。
私の場合(豊胸の過去がある場合)も、この回答と同じと受け止めてよいでしょうか。
悩んでいた時、ちょうど今週のコラム97回を拝読しました。
クリニックで撮ったエコー画像には、
まさに「腫瘤非形成病変」のような丸かったり歪な黒いものが写っており、心配な気持ちの方が上回っています。
乳腺症でしょうか。
病院の方では
エコー後の画像の説明などはなく(一緒に見せてもらうことはできず)、口頭で「大丈夫」と言われただけです。
でも半年後というのは、、。
一度にたくさんのことをまとまりがなく相談してしまい申し訳ございません。
一番お聞きしたいことは、不安を払拭するために患者自らMRIを希望するのはおかしいことか、もしくは(無意味な?)MRIをするくらいなら他のところで(できれば田澤先生のところで)エコーもしくは確定診断をしていただきたいと考えています。
このような状況ですが心配しすぎでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3

こんにちは。田澤です。
メール内容を見ました。
「MRIをするくらいなら他のところで(できれば田澤先生のところで)エコーもしくは確定診断」
⇒その通りです。MRIは診断には無用の長物です。
 結局(別の医師がいくら心配要らないと言ったとしても)一度、その元乳腺外科医から「6,7ミリのしこりと血流あり。確定診断を」と言われてしまったので疑心暗鬼になって不安が解消されないようです。
 例えば、私が超音波して「心配ないよ」と言っても、(きっと)頭から『6,7ミリのしこりと血流あり。確定診断を』という言葉が呪文のように「頭から離れない」ことでしょう。
 解決はただ一つであり、(解決法が有る以上)「無意味な心配で頭を悩ませる事自体、極めて不適切」と思います。
 その唯一の解決法は「私がマンモトームをすること(6,7mmなら、全てを削り去ることも可能です)」です。
 状況的に緊急性は全くないので(ご希望なら)「メディカルプラザ市川駅」で電話予約しましょう。(その際にはMMTE希望と是非、お話しください)
 3カ月位先かもしれませんが、全く問題ありません。(待っている間は心安らかに、不要な心配やMRIはしないようにしましょう)