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術後ホルモン治療と、その副作用について

[管理番号:942]
性別:女性
年齢:37歳
こんにちは。T1M0N0、ステージ1、ルミナルAの乳がん患者です。
腫瘍14mm、温存手術後、30回放射線治療終了しました。
ER(+)、PGR(+)、margin(+)、HER2.1+、グレード2、ki67.5%です。
本日よりノルバデックス服用開始しました。主治医は、ホルモン剤は内服のみでも良いかとも思うが、注射も二年するか迷うところであるとの事。とりあえず内服のみでスタートして、副作用によって注射もするか検討してみることになりました。
35歳以下では、内服に注射上乗せで効果があると証明されていると聞きました。私は37歳微妙な年齢であり、病理結果からも、やはり注射上乗せはしておいた方が良いのでしょうか?
その場合、生理が止まると聞きました。それによって更に更年期症状も悪化してしまうものですか?
悪いものは取ったのだから、あとは前向きに頑張るのみと思いながらも、ひとたび考え出すと、不安でいっぱいです。病理結果は、グレード、HAR2、margin+、についてが怖くて仕方ありません。これらは、ルミナルAである以上、特に怖がる必要はないのでしょうか?
そして、今は何よりも、ノルバデックスの副作用が心配で仕方ありません。副作用は個人差あるのは承知してますが、ホットフラッシュだけでなく鬱症状もあると聞くだけで不安が襲ってきます。副作用の頻度はそんなに高いのでしょうか?また、30代後半では更に副作用は強く出やすいのでしょうか??
たくさんの質問申し訳ありません。気にしすぎても仕方ないですが、ネットで見ると酷い副作用に苦しむ方が多く、経験豊富な先生からみて、実際はどの程度なのかお聞きして、安心できたらと思い投稿させて頂きました。よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT1, pN0, pStage1, luminalAですね。
「主治医は、ホルモン剤は内服のみでも良いかとも思うが、注射も二年するか迷うところであるとの事」
⇒そう思います。
 SOFT試験では「35歳以下」となっていますが、実臨床の場では「30歳代には用いている」ことも多いです。
 やはり、「副作用次第」でしょう。
 
「37歳微妙な年齢であり、病理結果からも、やはり注射上乗せはしておいた方が良いのでしょうか?」
⇒病理結果からは「むしろ」しなくてもいいと思います。
 
「その場合、生理が止まると聞きました。それによって更に更年期症状も悪化してしまうものですか?」
⇒一般には「症状」が強くでます。
 ただ、もともと「タモキシフェンで平気」な人は「LH-RHagonist追加」でも平気な場合が多いです。
 つまり「タモキシフェン」で「症状が強く」出た場合は、敢えて「LH-RHagonistは辞める」べきだと思います。
 
「病理結果は、グレード、HAR2、margin+、についてが怖くて仕方ありません。これらは、ルミナルAである以上、特に怖がる必要はないのでしょうか?」
⇒全く問題ありません。
 グレード2は「標準的」ですし、HER2 1+は全く無意味(純粋な陰性)です。
 
 ♯margin+と言っても「追加切除を選択しない」位だから「限られた小範囲」なのでしょう。
 その点は「実際に病理結果を見て判断した主治医を信頼」してください。
 
「副作用の頻度はそんなに高いのでしょうか?」
⇒程度によって異なります。
 「軽いホットフラッシュ」は大体の方にはあるようですが、「日常生活に支障がある程度」となると、それ程多くはありません。
 ましてや、「副作用が酷くて治療が継続できない=中止する」方は相当少ないです。
 
「30代後半では更に副作用は強く出やすいのでしょうか」
⇒そんな事はありません。
 私が見ているぶんには、むしろ「更年期に近い」年代の方が強い印象があります。
 
「ネットで見ると酷い副作用に苦しむ方が多く」
⇒それは、「そのような人」が「意見を公開することが多い」からだと思います。
 ○実際は大丈夫だと思います。
 かえって、「副作用が無ければ無いで」「副作用がないのは効いて無いから?」的な不安を感じる人もいらっしゃいます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中、丁寧な回答を下さりありがとうございました。
若いほど副作用は強いのかと思い不安でいっぱいでしたが、先生にお返事頂き、少し気持ちが軽くなりました。
まだ飲み始めて一週間弱ですが、今のところ、少し胸元から顔にかけてほてるような感じがたまにしますが、夏の暑さのせいなのか気にし過ぎなのか、正直分かりません。こんな早くには出ないものなのでしょうか?
そして、今後副作用が殆ど無かった場合に、注射も併用するか検討する事になるのですが、副作用の様子を見る期間はどれ位を考えたら良いのでしょうか?
また、副作用が殆ど無ければ注射もしておいた方が良いと思われますか?
併用した場合と、しなかった場合、予後にどれ位の差が出るのでしょうか?
毎回複数の質問でお手数おかけいたしますが、教えて下さい。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 pT1, pN0, pStage1, luminalAでタモキシフェンを開始したところですね。

回答

「こんな早くには出ないものなのでしょうか?」
⇒副作用が出る場合には「そろそろ出ている頃」だと思います。
 これから出るとしても、「それ程強くはでない」と思います。
 
「注射も併用するか検討する事になるのですが、副作用の様子を見る期間はどれ位を考えたら良いのでしょうか?」
⇒1カ月です。
 おそらく「担当医も」同様の期間を想定していると思います。
 
「副作用が殆ど無ければ注射もしておいた方が良いと思われますか?」
⇒前回でも回答したように
 私は「不要」と思っています。
 
「併用した場合と、しなかった場合、予後にどれ位の差が出るのでしょうか?」
⇒SOFT試験では、35歳以下の5年後のFreedom from Breast Cancerは以下のような結果でした。
 TAM単独群 78.0%
 TAM+LH-RH併用群 82.5%
 但し、この試験では(35歳以下の)対象者の94%が化学療法をするような高リスク症例でしたので、「このような差がでている」と言われています。
 当然、質問者のような「そもそも化学療法が不要」という場合には「ここまでの差は当然無い」ので、せいぜい「あっても2~3%程度」だと推測します。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先生、お返事ありがとうございました。
今のところも、時々不安感には襲われますが(これは術後から何回か起こっている)、特に強いホットフラッシュは感じられていません。副作用はできるだけ気にしないように、日々生活したいと思います。
前回、予後の差についても教えて頂きました。私の病理結果から(腫瘍は14㎜ということでしたが)再発の心配は低いと思っておいても大丈夫でしょうか?
また、一般的に言われる乳がんリスクの要因は、私には当てはまりません。出産も授乳もしました。該当するものがあれば今後それを控えるなどの対処もあると思うのですが、今後どのように過ごして療養していくのが良いと思われますか?
乳がんが、十年経っても安心できないと聞くと、一生この不安を抱えて生きていく事がツラいです。再発や転移、僅かでもそれらを防ぐために、日々の生活でできる事があるのであれば、教えて頂きたいです。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 pT1c(14mm), pN0, pStage1, luminalAですね

回答

「再発の心配は低いと思っておいても大丈夫でしょうか?」
⇒低リスクです。
 心配ありません。
 
「今後どのように過ごして療養していくのが良いと思われますか?」
⇒何も「日常生活での注意点」などありません。
 ホルモン療法だけ継続して「あとは全く普通」にして生活してください。
 ★心身ともに健康なことが「免疫機能を高める」事は間違いありません。
 
「一生この不安を抱えて生きていく事がツラいです。再発や転移、僅かでもそれらを防ぐために、日々の生活でできる事があるのであれば、教えて頂きたいです」
⇒「放射線治療が終了したばかり」だった筈ですねよ。
 「人は忘れる生き物」です。
 「タモキシフェンの内服」を忘れては困りますが…
 かならず、「時間と共に」不安はどんどん解消していきます。
 「術後数カ月」では「不安があるのは当たり前」のことです。無理に「不安を抑え込む必要」はありません。
 いつの間にか「乳癌のことを考えていない自分」に気付くでしょう。
 
 

 

質問者様から 【感想4】

何度も複数の質問にご丁寧に回答頂き、ありがとうございます。
『時間と共に』…そうですね、焦らず前に進んでいけたらと思います。
今までの私は、メンタル面が一番辛かったので、先生のコメントのおかげで随分楽になりました。このサイトに出会わなければ、きっと今ごろ1人で益々落ち込んでいたと思います。勇気を出して送信してみて本当に良かったです。ありがとうございました。