[管理番号:4777]
性別:女性
年齢:40歳
初めまして。
昨日、都内の大学病院で非浸潤性乳管癌と診断され、全摘を進められました。
また、全摘後、放射線、抗がん剤、ホルモン治療はなしと言われました。
超音波ガイド化マンモトーム生検の組織を深切りした結果の診断です。
深切りする前は悪性の可能性は低いと言われていたので、自分ではまだ信じられず。
他に治療方法は無いのか、全摘しなくても済む方法はないのか・・・
すぐその場で手術しますと結論を出せず、一週間考えて来てくださいと言われました。
最終的には自分で決めなければならないのだと思いますが、後々、後悔したくないので、セカンドオピニオンも検討しています。
田澤先生のコラムを、Q&Aを読ませていただいていて、今までの検査方法、検査結果に疑問も生じています。
●超音波検査を担当医がおこなっていない。
田澤先生も「技師が撮影した画像を見るだけではなく、ドクター自身が直接エコーをするべき」とおっしゃっていますが、実際に担当医は直接エコーをしてくださいませんでした。
エコーの画像を説明してくださった時に、「撮りかたによって、見え方は若干変わってくるから・・・」とおっしゃっていたので、ならば、なぜ、自分でエコーをしないのか?と疑問に思いました。
「ならば、先生ご自身でエコーを撮ってください」とお願いした方が良かったのでしょうか。
●乳頭分泌について『36回目 もしも本当に「乳管内病変が存在」すれば、「浮きの方から沈んでくれる」ので心配ありません。』と記されていたことについて。
★大事なことは「片側、単孔性」です。
癌は「一つの乳管内に発生」その乳管内で増大するのです。
『もしも本当に乳管内病変があれば』心配しなくても自然と「大量に(絞らなくても、下着につくぐらい)出るようになる」のです。
私の場合も「片側、単孔性」です。
同じところから分泌があります。
最初に乳頭分泌があったのは昨年末の人間ドック受診の際でした。
マンモグラフィーの検査終了後、左胸から分泌がありました。
その後、絞れば出るという状態が続いています。
何もせず、下着についたことは一度だけです。
マンモトーム生検後、2ヶ月が経った頃でしょうか、左胸が満員電車の手すりに押し付けられて帰宅した日です。
この時は下着に茶色いシミが出来ました。
その夜絞ってみた所、どす黒い分泌物がありました。
その後、不安で絞ってみてはいませんでしたが、3ヶ月目の検査があった昨日の夜(癌と最終診断がされた日です)、久しぶりに絞ってみた所、透明な分泌物がありました。
乳頭分泌物がある場合は乳管造影をおこなった方が良いと思うのですが(田澤先生は強く推奨されていますね)、今の病院ではおこなっておりません。
既に、乳癌と診断されていても、乳管造影はおこなった方が良いでしょうか。
それとも診断がついていれば、検査をおこなう必要なないでしょうか。
また、おこなう場合は田澤先生のもとで検査をおこなっていただくことは出来ますでしょうか。
「乳癌という診断が実は良性だった」と変わることはないと思うのですが、自分では納得できていませんし、僅かな可能性が残っているのであれば、手術を決断する前に出来る検査をおこないたいと思っています。
●触診で、「乳癌が確認できる方の左胸は触った感じが凸凹しています。
これが乳癌です。」と教えていただきました。
ここで、疑問が。
触診して乳癌と判断できるということはかなり大きくなっているということでしょうか。
そのため、全摘となっているのでしょうか。
3ヶ月前に診ていただいた時には担当医は何も言っていませんでした。
3ヶ月で触って分かるようになるということは、進行が速いのか。
それとも、3ヶ月前にも手には触れていたけれど、判断がつかないので伝えてもらえなかったのか。
●治療は全摘+再建、その際放射線、抗がん剤、ホルモン治療はしなくて良い。
本当に必要ないのでしょうか。
それとも、摘出したものを検査し、その後治療方法が決まってくるのでしょうか。
上記の4点が気になっている点です。
田澤先生でしたらどのようにお考えになられるでしょうか。
本来ならばセカンドオピニオンとして伺うのが一番なのだと思いますが、もし、乳管造影検査をおこなったほうが良いのであれば、検査として伺いたく思います。
長文となりますが、診断が下されるまでの流れを書かせていただきます。
昨年12月(下旬)日、人間ドックを受診(都内のレディースクリニック)
検査内容:マンモグラフィーと超音波検査
症状:マンモグラフィー検査終了後、左乳頭からの分泌物が確認される→乳頭分泌の症状が初めてだったので不安になるが、年末年始なこともあり、何もできず、とりあえずクリニックが開くまで待つ。
年明け1月(中旬)日、人間ドックを受けたクリニックの乳腺科を受診
検査内容:触診、超音波検査、分泌物の採取
医師のコメント:「明らかに人間ドックの時と画像が違う」「癌なのか、そうではないのか、ここでは分からないので大きな病院で検査を受けるように」と大学病院を紹介していただく。
この時の分泌物の細胞診の結果です。
(検査結果が届いたのは1月(下旬)日)
・遊走細胞 好中球 a few
・赤血球 a few
・泡沫細胞 a few
・異型細胞は認められません
1月(中旬)日:都内の大学病院 乳腺科を受診(現在通っている病院)
検査内容:超音波検査、分泌物の採取
医師のコメント:「エコーの画像だけでは癌なのかどうか判断が付かないので、実際に組織を取って検査をしましょう。」「どこから組織を取るか、MRI検査をして決めます。」
1月(下旬)日:都内の大学病院
検査内容:造影剤MRI検査
2月(上旬)日:都内の大学病院
診察:MRI検査結果の報告あり
医師のコメント:「癌の赤ちゃんがある」「この場で超音波ガイド化マンモトーム生検をしましょう」
検査内容:超音波ガイド化マンモトーム生検MRIの画像を見せていただいたところ、左胸だけ白くモヤモヤとした影が映っていました。
2月(下旬)日:都内の大学病院
診察
医師のコメント:「マンモトーム生検の結果がでました。
今のところ良性だけど、悪性にかわる可能性もある」「すぐに何か出来るわけではないので、3ヶ月様子をみましょう」「現段階で良性か悪性かの決着をつけるには外科的生検しかないが、それは勧めない」「3ヶ月後の検査で怪しい場合はもう一度マンモトーム生検をしましょう」
超音波ガイド化マンモトーム生検の結果は以下の通りです。
【病理組織診断】
[Preliminary report]
Lt.brest, VAB
Adequate, indeterminate
Low papillary proliferative lesion.
【病理組織学的所見】
[第1報]
ヒダリ乳腺(CD領域)VAB;
1腺菅ですが、軽度拡張した腺管内において上皮が低乳頭状に増生する所見を認めます。
細胞異型は乏しく、深切りを追加し検討します。
5月(中旬)日:都内の大学病院
検査内容:超音波検査、触診
医師のコメント:「最終病理の結果が出ました。
非浸潤乳管癌です。
全摘して再建を勧めます。」3ヶ月前とは明らかにエコーの画像は違うの
ですか?という質問に対しては「大きく違うわけではないが、違っている。」とのことでした。
また、手術室の空きを調べ「7月(上旬)日に手術でどうでしょう」と言われました。
その場で即決できず、セカンドオピニオンも検討したいと伝え、5月(下旬)日に再度病院に行くことになっています。
【病理組織診断】
Final report
Lt.breast,VAB
Adequate, malignant
Nonivasive ductal carcinoma
ER(+)(>90%), PgR(+)(30%), HER2:Score2, Ki67
(5-10%)
【病理組織学的所見】
最終報告
biomarker;
ER(+)(AS:PS5+IS3=8), PgR(+)(AS:PS3+IS3=6),
HER2:Score2, Ki67(5-10%)
以下、前回報告内容です。
深切りを追加したところ、montonousな細胞からなる低乳頭状病変がみられNIDCと判断します。
組織型:noninvasive ductal carcinoma, low papillary type nuclear grade:1 (nuclear atypia:1, mitotic counts:1)
エコーの結果は以下の通りです。
【腫癌性病変】(+)部位C
大きさ:(縦×横×深)9×5×6㎜、縦横比0.67
形状:不整形
内部エコー:低、不均質、充実性
境界部:不明瞭、halo(-)
後方エコー:不変、側方陰影(-)
高エコースポット:(+)微細点状
血流:(+)内部2、周囲2
【所属リンパ節】
【腋窩リンパ節】(-)
コメント:Nipple方向に連続する管腔構造(+)
VAB SCAR近傍に低エコー域(+)、血流周辺(+)
カテゴリー3-4
そして、本日となります。
長文となり、申し訳ありません。
画像データもなく、文章だけでのご判断は難しいと思いますが、アドバイスを頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
○正しい方法でスムーズな診断ができないこと(診断の段階で躓くこと)、まずここに問題があります。
「「ならば、先生ご自身でエコーを撮ってください」とお願いした方が良かったのでしょうか。」
⇒残念なことに…
都内の大学病院に、「自分でエコーをする(できる)」乳腺外科医は皆無でしょ
う。(それことが診断能力の著しい低下の元凶であることを早く気づいてもらいたいものです)
「既に、乳癌と診断されていても、乳管造影はおこなった方が良いでしょうか。」
「それとも診断がついていれば、検査をおこなう必要なないでしょうか。」
⇒乳管造影の意義は
1.(画像所見で解らないような)ごく小さな病変の存在を(分泌という「微かな」手掛かりを頼りに)検出する
2.乳管内病変の拡がりを(MRIでの拡がり診断とは異なったアプローチから)評価する
質問者のケースでは、すでに「シコリが認識」されているので上記1は該当しません。
それでは2はどうかというと…
MRIで乳腺全体に拡がっているということが解っているのであれば、やはり該当しません。
「触診して乳癌と判断できるということはかなり大きくなっているということでしょうか。」
⇒乳管内病変でも、「ある程度の範囲で乳管拡張を伴えば」シコリ様に触知します。
「かなり」大きくなくても触知はします。
「そのため、全摘となっているのでしょうか。」
⇒そうではありません。
(おそらく)MRIで広範囲だからでしょう。
「3ヶ月前にも手には触れていたけれど、判断がつかないので伝えてもらえなかったのか。」
⇒こちらでしょう。
「本当に必要ないのでしょうか。それとも、摘出したものを検査し、その後治療方法が決まってくるのでしょうか。」
⇒担当医の真意は
(非浸潤癌のlow gradeである確率が高いから)「必要ないでしょう」と予測してはいるが、(万が一、浸潤癌がみつかれば)「そのサブタイプに応じた治療が追加される可能性はある」(ただ、後者の可能性は低いので、敢えて予め言及しない方が話がシンプルで良いと考えているのです)
「田澤先生でしたらどのようにお考えになられるでしょうか。」
⇒正直、診断までの経緯には全く賛成できませんが…
(結果として)「非浸潤癌が確定」して「MRIでも病変の拡がりが広い」のであれば、担当医の治療方針に誤りはないと(画像を見ている訳ではありませんが)このメールからは推測します。