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浸潤性癌と非浸潤性癌について

[管理番号:2253]
性別:女性
年齢:54歳
はじめまして。
乳癌の手術(温存)を受けた者です。
病理結果は、
23mm嚢胞性乳癌
ステージ2A(リンパ節への転移なし)
ホルモン陰性、HER2 3プラス
悪性度3、ki67 5%でした。
取った部分を診たところ顕微鏡レベルの非浸潤性癌が沢山あったということでした。
(CTや超音波検査の際にはわかりませんでした。)
今後は放射線治療と抗がん剤治療を行っていく予定です。
ここで質問なのですが、
①手術で取った部分に非浸潤性癌が沢山あった点から、乳房全体に非浸潤性癌がある可能性も高いのでしょうか。
主治医の先生は、万が一あっても、それは放射線でなくなるレベルとのことでしたが、乳房を全摘しなくても大丈夫なのでしょうか。
②また、今後放射線治療の後に抗がん剤治療をすることになりましたが、手術から放射線治療までが7週間、抗がん剤治療までが12週間程度空いてしまうことになるのですが、こちらは遅くないのでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご回答よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(23mm), pN0, HER2タイプですね。
「悪性度3」と「Ki67=5%」の間には乖離があるようです。
「①手術で取った部分に非浸潤性癌が沢山あった点から、乳房全体に非浸潤性癌がある可能性も高いのでしょうか。」
⇒断端はどうなのでしょうか?
 断端陰性であれば、「そんなことはありません」
 
「主治医の先生は、万が一あっても、それは放射線でなくなるレベルとのことでしたが、乳房を全摘しなくても大丈夫なのでしょうか。」
⇒断端陰性であれば大丈夫です。
 
「②また、今後放射線治療の後に抗がん剤治療をすることになりましたが、手術から放射線治療までが7週間、抗がん剤治療までが12週間程度空いてしまうことになるのですが、こちらは遅くないのでしょうか。」
⇒通常は「抗がん剤が先行」する筈です。
 敢えて「放射線治療を先行」させる理由(断端が陽性とか)があるのか、担当医に確認した方がいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
お忙しい中丁寧なご回答をいただきありがとうございます。
非浸潤性癌について質問した者です。
放射線治療を先にやる理由をさっそく主治医の先生に聞いたところ、
①癌部分は取り切れているので大丈夫だが(断端陰性です)、遠くへ飛んでいるかは正確にはわからないので先に放射線治療をしてから薬物治療をするということでした。
また②リンパなどへの転移がなく、早急に薬物治療が必要ではないと思われるので、先に放射線治療(3週間でできるとわかりました)そしてそのあと4ヶ月の抗がん剤→ハ-セプチンでやっていく予定とのことでした。
HP等で調べると確かに抗がん剤治療から始めておられる方が多く、放射線から始めるのは自分に非浸潤性癌が多く、もしかしたらできやすい体質なのかもしれない、と考えておりました。
重ね重ねの質問で恐縮ですが、そのような理由から抗がん剤治療を後にするのは、再発や転移を考えると良くないのでしょうか。
ki67の数値は低いが、HER2がプラスで顔つきが悪いので悪性度はやはり高いこともあり、不安な毎日です。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「放射線治療を先にやる理由をさっそく主治医の先生に聞いたところ、①癌部分は取り切れているので大丈夫だが(断端陰性です)、遠くへ飛んでいるかは正確にはわからないので先に放射線治療をしてから薬物治療をするということでした。」
⇒「回答に矛盾」があります。
 もしも「遠くへ飛んでいるかは正確にはわからないので」というのであれば、『尚更、(通常どおり)抗癌剤先行』となりますが?
 ○放射線を(敢えて)先行させる理由として妥当なのは「局所に癌が残っているリスクが高いと考えた場合」となる筈です。
 
「また②リンパなどへの転移がなく、早急に薬物治療が必要ではないと思われるので、先に放射線治療(3週間でできるとわかりました)そしてそのあと4ヶ月の抗がん剤→ハ-セプチンでやっていく予定とのことでした。」
⇒残念ながら、私には担当医の「思考回路にはついていけません」
 通常は「抗がん剤⇒放射線⇒ハーセプチン単剤」となります。
 
「HP等で調べると確かに抗がん剤治療から始めておられる方が多く、放射線から始めるのは自分に非浸潤性癌が多く」
⇒ただ「多い」というのではなく、「ガイドラインでも抗がん剤先行を勧めている」のです。
 
「もしかしたらできやすい体質なのかもしれない、と考えておりました。」
⇒考え過ぎです。
 
「重ね重ねの質問で恐縮ですが、そのような理由から抗がん剤治療を後にするのは、再発や転移を考えると良くないのでしょうか。」
⇒「抗がん剤開始が数カ月遅れること」は実質的なリスク増大とはならないと思います。
 
「ki67の数値は低いが、HER2がプラスで顔つきが悪いので悪性度はやはり高いこともあり、不安な毎日です。」
⇒無用な心配です。
 「抗HER2療法は最高の治療」です。
 再発率を確実に「半分に減らし」ます。これができることを幸いに考え、「治療に専念すること」が重要です。