[管理番号:993]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生はじめまして。
早発閉経でHRTを4年続けてましたが、乳癌が発覚してから今後も行いません。
なので今は閉経したような微妙な状況です。
乳腺症と言われてましたが、針生検の結果 癌が見つかりました。
手術は乳房全摘術です。
手術後病理結果で非浸潤癌だったのですが、術後のホルモン治療はするべきか悩んでおります。
健側も乳腺症と診断されてるので、少し心配しています。
病理結果は、
領域6センチ×5センチ
ER・6 (20%で高度陽性
PRG・6 (10%で高度陽性
ki67・10%
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳腺症と言われてましたが、針生検の結果 癌が見つかりました」
⇒これは注意が必要です。
よく「乳腺症から癌が発生した。だから乳腺症は癌のリスク病変だ」というような解釈をしている記事を見かけますが、事実は全く異なります。
単に「(乳腺症に見えただけであって)最初から乳癌だった」にすぎません。
それだけ(画像上)『乳腺症と癌が区別付けずらいことがある(勿論全てではありません)』ということなのです。
回答
「術後のホルモン治療はするべきか悩んでおります」
⇒私であれば、「非浸潤癌での術後ホルモン療法」は勧めません。
あくまでも「対側乳癌の発生予防効果」の意味しかありません。
勿論、そのために行ってもいいのですが、「子宮体癌発生リスク」を考えなくてはなりませんし、ホットフラッシュなどの副作用とのバランスで判断すべきです。
「健側も乳腺症と診断されてるので、少し心配しています」
⇒冒頭にもコメントしましたが、「乳腺症と乳癌は無関係」です。
ただし、本当に「乳腺症なのか?」という問題はあります。(患側も、最初は乳腺症と言われていたのですね?)
担当医が「自信を持って、乳腺症と断言する」なら、何ら問題ありません。
質問者様から 【質問2】
田澤先生お返事ありがとうございます。
非浸潤癌の場合はホルモンが陽性でも治療は勧められないのですね。
私は早発閉経なので、既に更年期の症状は出ているのでホルモン剤を飲んでもそこは変わらないと思うのですが、子宮ガンのリスクを考えないとダメなんですね。
ありがとうございます。
もう少し気になる事がありまして、
腫瘍の領域が6センチ×5センチと大きかったのですが、病理結果で微小浸潤を見逃すことはあるのでしょうか?
そしてもしも微小浸潤があったとしてもホルモン治療はしなくても大丈夫なのでしょうか?
断端陰性 頭側≧6mm となってますが十分でしょうか?
もしもの事を気にしてたらキリがないことはわかってるのですが、腫瘍が大きかったので心配になってしまって…
ホルモン剤を飲むかどうかですごく悩んでいます。
お忙しい中何度も申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「非浸潤癌で乳房全摘」した場合には(理論上)「手術だけで根治」となります。
「微小浸潤があるかもしれない」などと考えていたら「診断への疑いは際限なくなってしまいます」
回答
「腫瘍の領域が6センチ×5センチと大きかったのですが、病理結果で微小浸潤を見逃すことはあるのでしょうか?」
⇒0%ではないでしょう。
可能性を考えたら「何事も100%と言い切る事はできません」
しかし、それを言ったら「何事も前には進みません」
○「可能性は通常、無視できるレベル」と考えてください。
「そしてもしも微小浸潤があったとしてもホルモン治療はしなくても大丈夫なのでしょうか?」
⇒通常は、「微小浸潤の存在」は想定せずに「手術で根治」と考え「一切の薬物療法は」行いません。
ただし、「微小浸潤がある確率」は低いながら、「ご本人がどうしても心配」ならば、「副作用が許容範囲内で子宮体癌検診を定期的に行えば」やって悪い訳ではありません。
「断端陰性 頭側≧6mm となってますが十分でしょうか?」
⇒「乳腺を全摘」しているのに、このようなコメントは不要です。(病理医に言いたい所ですが…)
断端とは「乳腺を切離(つまり温存時)した際の」表現です。
乳腺を全切除しているのだから、「断端に関するコメントなど不要」なのです。
○病理医は「標本しか見ていない」ので、「乳房温存術での乳腺切除断端のような感覚で、このようなコメントを記載するのです。
♯全く無用であるばかりか、(いたずらに)患者さんを心配させるもので「百害あって一利なし」です。