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抗HER2療法

[管理番号:1882]
性別:女性
年齢:43歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1609「HER2型 治療方針について

 
 
田澤先生
いつもこのQ&Aで勉強させていただいたり、勇気をいただいたりしています。
ありがとうございます。
先日手術を終え病理結果が出ましたので、また先生に相談させていただきたく思います。
乳房全摘、センチネルリンパ節生検をしました。
術前の検査では、腫瘍は2.6cm、リンパへの転移なしでした。
術後はほとんど痛みもなく、順調に回復しています。
○病理所見
浸潤性乳管癌  腫瘍径2.0cm
リンパ節転移なし 0/3個
脈管侵襲なし
悪性度3
ER:(-)
PgR(+)弱
HER2 3+
Ki67 20~30%
T:1C N:0 M:0 病期:Ⅰ 
腫瘍の大きさが2.6cmといわれていたものが、2.0cmとわかり、ステージはⅡaからⅠになりました。
これについてはすごく喜んでいます。
今後の治療方針ですが、化学療法と抗体療法となりました。
①FEC療法 12週間
②パクリタキセル+ハーセプチン 16週間
③ハーセプチン
このようなかたちを提案されました。
薬剤の選択について、主治医に確認しましたところ、これが標準ですということでした。
再発や遠隔転移をできる限り避けられる治療を望んでいます。
いかがでしょうか。
お忙しくされていることと思いますが、先生のご意見をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c, pN0, pStage1
早期乳癌でよかったです。
HER2陽性ですので「抗HER2療法」は大変有効です。是非行ってください。
抗HER2療法は
○スタンダードレジメン「アンスラ+タキサン」
 ①アンスラサイクリン(EC,AC,FEC)3週毎4回(12週間)⇒タキサン(パクリタキセル毎週投与12回(12週)+ハーセプチン⇒ハーセプチン単剤(9カ月)
 ②アンスラサイクリン(EC,AC,FEC)3週毎4回(12週間)⇒タキサン(ドセタキセル3週毎投与4回(12週)+ハーセプチン⇒ハーセプチン単剤(9カ月)
○非アンスラサイクリンレジメン
 ③パクリタキセルとハーセプチンを毎週投与(12回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
 ④ドセタキセル+エンドキサン+ハーセプチン(4回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
 ⑤ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン(6回)⇒ハーセプチン単剤(12回)
  
 以上があります。
 これらの「直接比較」は無く、「スタンダードレジメン」は歴史的にエビデンスの集積があるので最も信頼性があります。
 ただし副作用の点から「比較的low risk」に対する治療法として最近使われだしているのが「非アンスラサイクリンレジメン」なのです。
 

回答

「薬剤の選択について、主治医に確認しましたところ、これが標準ですということでした」
⇒「スタンダードレジメン」ということです。(パクリタキセルが12回ではなく、
16回というのは長いようですが…)
私であれば「low risk」として上記の内③か④を勧めます(頑張れるなら④)
○ただ、質問者が「再発や転移をできる限り避けられる治療を望んでいます」とありますので、「low risk」であっても「スタンダードレジメン」を行っても何ら、問題ありません。