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針生検をしなければならない理由

[管理番号:729]
性別:女性
年齢:51歳

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
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管理番号:703「分泌物が出ていないのに乳がん?」

 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:928「トリプルネガティブの術後化学療法」

 
 
わかりすく丁寧に教えてくださり、本当に感謝しています。ありがとうございます。
不安な気持ちに押しつぶされそうになり、何度も泣いて、夜は眠れない日々が続いておりますが、こうしてやさしく教えてくださって、本当に救われます。
すぐにお返事をするのが筋なのですが、入院の準備や家のことの引継ぎなどでバタバタしており遅くなってしまいました。申し訳ありません。
ご説明で疑問に思っていたことが理解出来ました。でも、マンモはそもそも手で触ってもわからないほどの小さな病変も見つけ出すのが得意なはずなのに、どうして、2年前のマンモにも今回のも、何も写っていなかったのか・・・。運が悪いとしか言いようが無いのでしょうか?
ご質問の超音波検査ですが、とても丁寧に診ていただきました。あまりに丁寧なので、何か嫌な予感はしていたのです。
針生検はやはり受けていないと思います。局所麻酔もしてませんし、鉛筆ほどの太さとネットで調べましたが、そんなのではありませんでした。
なので、穿刺吸引細胞診というのをしたのに間違いないです。
おっしゃっている針生検とは、太針穿刺組織診のことだと思うのですが、これで診断の確定をするとネットでも書いてありました。マンモトームというものもあると調べました。
私が病院でいただいた冊子の説明で、乳がん診断までの主な手順というわかりやすく図にしているものがありました。
そこには、細胞診で悪性の疑いがある人は太針穿刺組織診をする。マンモと超音波と細胞診で悪性と確定された人は太針穿刺組織診を飛ばして手術という図がありました。
私は恐らくそれなのではと思いました。細胞診でクラス5なら悪性だともネットで調べました。私がクラスが何なのかも、あまりにショックで取り乱していた為、その時は聞いてないです。
針生検はしない大きな病院もたくさんあるらしいですが、必ずしないといけないものなのでしょうか?
もう、CTは撮りました。あと、骨の検査とセンチネルリンパ節生検をします。
明日、病院に行きますので、きちんと細胞診のクラスと針生検をしない理由を聞いて来ようと思っています。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「マンモグラフィー」に対する誤解がやはりあるようです。
 マンモグラフィーは「参考程度」にすぎません。
 50歳代までの「1cm以下の早期乳癌」の殆どは「超音波検診」であることを明記しておきます。(全くマンモグラフィーでは解りません)
 ♯60歳代以降であれば、「1cm以下でもマンモグラフィーに写って」きます。

回答

「マンモはそもそも手で触ってもわからないほどの小さな病変も見つけ出すのが得意なはず」
⇒これは完全な誤解(冒頭で記載したように)です。
 50歳代であれば、2cm前後のしこりでなければ、「マンモでは不明なことが多い」のです。
 今回のしこりも、結果として「超音波で解った」わけですから『小さな病変の描出にはエコーが優勢』であることが解ると思います。
 
「細胞診で悪性の疑いがある人は太針穿刺組織診をする。」
⇒私は賛成できません。
 悪性を疑っておきながら、「細胞診」⇒悪性の疑い⇒「針生検」のステップを踏むことで「無駄な時間」がかかります。
 ♯「悪性が疑われる」と言われていながら「無駄に不安な期間を長くする」必要はありません。
  診断は最短距離で行われるべきです。
 細胞診をする唯一の意味は「良性を良性と判断する」場合のみです。(例えば嚢胞や、明らかな線維腺腫など)
 例えば(画像上)「良悪迷う様な病変」の場合には「細胞診で良性」となったとしても「100%の信頼性」を置く事はできないのです。
 
「マンモと超音波と細胞診で悪性と確定された人は太針穿刺組織診を飛ばして手術という図」
⇒これも私には全く賛成できません。
 細胞診は「確定診断ではない」のです。
 細胞診のレポートには必ず「悪性が推定されます。組織診でご確認おねがいします」とある筈です。
 何故かというと「細胞診では1%程度に偽陽性が存在」するのです。
 つまり「細胞診でクラスⅤ」で手術⇒実際は「癌では無かった」という事例が少なからず存在します。
 これは、当然「裁判で裁かれることもあり」弁護士さん曰く「細胞診で陽性では裁判では必ず負ける」ようです。
 
 昔ならまだしも「針生検が当然の環境」の中で「針生検をせずに、細胞診を根拠とした誤診」は決して許されないのです。
 
「針生検はしない大きな病院もたくさんあるらしい」
⇒「大きな病院が正しい」訳ではありません。
 最近の「○馬大学病院や千○県ガンセンターの例」を出すまでもないと思います。
 
「必ずしないといけないものなのでしょうか?」 
⇒そう思います。
 針生検をすべき理由は
①誤診の排除 「実際は癌では無い」のに「癌としての手術をされた」場合の不利益は「医師側も患者さん側にも大変なもの」となります。
②癌の程度(浸潤癌か非浸潤癌か)が解る
③サブタイプが解る
 ♯②は手術の参考として、③は術後の治療方針の予想(患者さん側としては、術後の仕事などの計画のために事前にある程度の情報があった方がいい。と思います)
 
 

 

質問者様から 【感想2 針生検の重要性】

とてもわかりやすくご説明くださってありがとうございました。
すごく理解できました。
ドクターにたずねてみたところ、「明らかに細胞が悪性なので」ということでした。エコーでもそういう所見があったようです。
先生にこうしてご説明いただき、それが正しいことだと思います。
でも、悪性の不安で毎日毎日苦しむのが辛くてたまりません。
手術していただこうと思っております。
これから返信がなかなか出来ないと思いますが、今後もまたご相談させてください。よろしくお願い致します。
 
 

 

質問者様から 【質問3 抗がん剤の選択に悩んでいます】

この前は、色々とご相談にのっていただき、本当にありがとうございました。
また、久々に教えていただきたいことがございます。よろしくお願い致します。
先月末に乳房温存術を受けました。やはり、乳がんでした。
TNM分類は、T2N0M0でした。画像で見るよりも大きかったようです。
がんの性格は、おとなしいタイプだそうです。
ホルモンとHER2がマイナスなので、ホルモン治療は効かないので、抗がん剤しかないと言われました。
リンパ節の転移はありませんでした。でも、血液にのってどこかに飛ぶ可能性も無いとは言えないということで、抗がん剤治療を薦められましたが、治療は私自身が決めることだそうで、もちろん無治療の選択もありだそうです。
する必要もない場合もあり、治療が無意味な事もあるそうですが、私としては、少しでも再発や転移の可能性を消したいので、治療を受けようと思っています。
抗がん剤の後に放射線治療という順番になりました。
FEC+wPACを3週毎に4~6回、その後毎週12回、これが最強だとおっしゃっていました。
あと、TCも候補に上がっていましたが、結局、選ぶのは私自身と言われました。でも、医学のことなど全く知らない素人の私に、どうやって選べばよいのでしょう。
患者ひとりひとりに合う合わないがあると思いますが、先生ならどれが良いとお考えになりますか?
副作用も、耐えられるのかすごく心配です。
緑内障と診断されたわけではありませんが、昔、眼圧が高いということで、眼圧を下げる点眼薬を使用していたことがありました。
現在の状態は分かりませんが、もし、緑内障の疑いがあるとすれば、抗がん剤は大丈夫なのでしょうか?
質問だらけで申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 pT2, pN0, triple negative(TN)だったのですね。

回答

「ホルモンとHER2がマイナスなので、ホルモン治療は効かないので、抗がん剤しかないと言われました」
⇒TNということです。
 TNでは「浸潤径が5mm以下」などの「極端な低リスク」でなければ「抗がん剤が推奨」されます。
 理由としては、「ホルモン療法が効かない=抗がん剤しか方法がない」という事ですが、
 重要な点として「万が一再発した際に、絶対的な頼れる治療法が(現段階には)無い」ということです。
 決してTNだから「再発率が極端に高い」という訳ではありませんが、「再発しないことの重要性が高い」タイプという言い方もできます。
 
「FEC+wPACを3週毎に4~6回、その後毎週12回、これが最強だとおっしゃっていました。あと、TCも候補に上がっていましたが、結局、選ぶのは私自身」
⇒所謂「アンスラタキサン」です。
 術後補助療法では「最も強力」と言えるでしょう。
 しかもタキサンとしてweekly PTXを選択すればデータ上は最強となります。
 TCについてですが、(私の考えでは)TNでは「アンスラタキサン」がいいと思います。
 ただ、(具体的な数値が出てませんが…)「核異型度が1とか、Ki67が一桁」など極端に「大人しい」場合には「TCも考慮に値する」と考えます。
 
「先生ならどれが良いとお考えになりますか?」
⇒上術したように、一般的には「アンスラタキサン」ですが、「核異型度やKi値」など(場合によっては)「TCも視野に入る」とは思います。
 
「緑内障の疑いがあるとすれば、抗がん剤は大丈夫なのでしょうか?」
⇒通常は大丈夫と思いますが、「眼科医の判断」も必須となります。