[管理番号:6299]
性別:女性
年齢:53歳
お世話になります、どうぞよろしくお願い致します
2014年8月右側乳がん (トリプルネガティブ)発覚
stage IIIC にて
術前ケモ EC及びドセタキセル を行いました
その後 2015年4月 右胸全摘&右腋郭清術 施行
右鎖骨上下部も含め放射線照射も施行
しかしこの度、左上葉に直径5ミリくらいの転移を2個認めました
(自覚症状は特にありませんが、術後3年検診という事で、造影CTを撮影して発覚しました)
抗ガン剤は避けられないと思いますが
他に有効な方法はありませんでしょうか。
ガンゲノム医療というのはまだ実用に至ってないのですね?
また、主治医は『エリブリンでいいんじゃないか』と仰っていますが
アバスチン+パクリタキセル を使用しなくて良いのでしょうか?
(検診で見つかったので、今後のためパクリタキセルを残しておきたいのだと思います)
しかし私としては、ここでやっておかないと更に機会を失ってしまうのではないかと考えます
と言いますのは、 術前ケモの時から骨髄抑制のためWBCが減少し、
グランシリンジを打ちつつケモ施行(ジーラスタは効果なしでした)
現在に至っても3000辺りしかありません
(元々、ケモ前から3600~4000ぐらいではありますが)
そこも踏まえて、先生ならどうお考えですか
どうぞよろしくお願い申し上げます
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「そこも踏まえて、先生ならどうお考えですか」
⇒白血球は気にする必要はありません。
「効果と副作用」のバランスを考えれば「becacizumab + paclitaxel」となります。
まずは、(画像上)CR(完全寛解)を目指しましょう。
質問者様から 【質問2 】
今後の治療及び評価について
性別:女性
年齢:53歳
前回はお忙しい中、ご回答ありがとうございました
あれから考えまして、内視鏡にて5/(下旬) 肺の左上葉部切除術を受けました
結果、術前の予想に反して左肺のリンパ節にも一部転移があったのですが、術後の病理にて転移巣は 原発のトリネガでなく
HER2 3+ が発現していました
その為、6/(中旬)より ハーセプチン+パージェタ+ウイークリーパクリタ
キセル の治療を受けております
現在まで7回受けております
パクリタキセルは8回を予定しています
今後、評価のため「CTを撮影する」との事でした
おそらく 8月中旬~下旬辺りかと思います
やはり今、必要でしょうか?
主治医は「撮影してみなければ評価出来ないから、それなら続けます?
(パクリを…って事だと思います)」
「他の臓器への転移がないかみる」
「そんなに早く転移しますか?」
「ないとは言えない」
…と言われ意気消沈しております
主治医の言う事も分かりますが、stage4の場合
早く見つけても余命は変わらないと聞きます
確かに肺の転移巣も取ってますし、腫瘍マーカーも正常内なので
他に評価のしようがないのでしょうが
今更ですが、出来るだけ被曝したくない気持ちがあります
勿論、必要ならば受けますが…
3/(下旬)造影CT 5/(上旬) PET/CT 5/(上旬)胸部CT再撮影(スライス幅を小さく
して) 以上をもってしても 肺の「リンパ節への転移」は見つけられなか
ったわけですので、画像診断の限界もあるわけで…
5/(下旬)以降、1週間程毎日胸部単純XPも撮影したり(これは術後の経過でやむを得なかったです)
放射線治療も受けてるし、ほんと今更ですが…
stage4に標準治療はないのですから難しいとは思いますが
今後の治療について
①今の治療が効いてる場合、この3種を何回続けるのがいいか
②この3種は8回終了で良いなら、この後はハーセプチン+パージェタを
続けたら良いか
③効いてない場合、カドサイラ で良いか
④ドセタキセルは以前、減量しながら3回しか使用できなかったが
2度は使用出来ないですよね
⑤今後の評価方法が他にありますか? 時期はいつがいいですか?
⑥がんゲノム医療のため、遺伝子検査もする予定です
まだ若いので治療費云々よりも出来るだけの事をして後悔のない様にし
たいです
先生はどんな風にお考えですか?
以上、先生のお考えを御教示下さいませ
なかなかセカンドオピニオンをきく機会もなく
こちらを頼ってしまってます
先生、どうぞよろしくお願い申し上げます
大学病院(関西)ですし、主治医もお忙しい中、患者は私一人ではないですから大変だとは思いますが
主治医とは考え方が合わないのかもしれません
転移してからは、こちらが調べていって提案
(当日たくさん質問だと先生もお困りだろうと思い、診察日前に質問提案をFAXしています)
…というパターンが多く 精神的にも苦しい闘病生活です
肺のオペも同様
わたくしの希望でして貰いましたので悔いはありませんが
結果的に良かったのか悪かったのか分かりませんが
たられば…で言えば、肺の「生検」という方法もあったわけで…
難しいです
画像診断の限界ですが…
長々と失礼致しました
どうぞよろしくお願い致します
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
QandA再開後の10番バッターです。
「①今の治療が効いてる場合、この3種を何回続けるのがいいか」
→パクリタキセルは、今後bevacizumabとの組み合わせのために,あえて
「trastuzumab + pertuzumab」と併用せずに、eriblinを使う(trastuzumab + pertuzumab + eriblin)方がいいように、私は思います。
「②この3種は8回終了で良いなら、この後はハーセプチン+パージェタを続けたら良いか」
→上記①の回答参照
「③効いてない場合、カドサイラ で良いか」
→カドサイラよりは…
①を参照のこと
「④ドセタキセルは以前、減量しながら3回しか使用できなかったが2度は使用出来ないですよね」
→使用はできますが、敢えて「他の有力な選択肢があるのに、再登場」させる必要がありません。
「⑤今後の評価方法が他にありますか? 時期はいつがいいですか?」
→腫瘍マーカー+半年に1回の画像診断(CTなど)で十分でしょう。
「先生はどんな風にお考えですか?」
→私は賛成しません。(エビデンスが少なすぎる)
質問者様から 【質問3 今後の治療と評価について】
性別:女性
年齢:54歳
病名:右側乳癌、肺転移術後
症状:
お世話になっております。
どうぞよろしくお願い致します。
その後 10月にCT撮影
画像上、問題なかったので
HER+PER+Wパクリ12回 で終了(9/5)
10月より先生のご指示に従い、HER+PER+エリブリンを現在まで続けております。
ただ、WBCの低下(1500~1800)の事もあり
エリブリンは2投1休ではなく、1投2休になってしまってます。
①今後 HER+PER+エリブリン をいつまで続けるのが良いか。
②現在1投2休になっているが、通常サイクルで頑張れない事はないと思うので、その方が効果が高いと先生がおっしゃるなら頑張ってみようと思います。
主治医はエリブリン自体「あってもなくてもどちらでも」というので相談にならない
体調の事があるので(副作用で下痢があります。
一時、体重が39キロを切りかけましたが、現在は43-3キロまでで何とか保ってます)
つい私も1投2休…で来てしまっています
③評価について、CTは今回必要か(10月にCT撮影済)
主治医はいちいち「薬を止めるには根拠が要る」とCT撮影を勧めます。
このまま続けるなら勿論、撮影はなくていいと思いますが…
④「休薬」というのは体調が悪化しない限り「ない」のでしょうか。
勿論、治療がエンドレスなのは分かっていますが…
⑤「薬剤を変える時期」は画像上及び、血液検査で明らかな異常が認められた時…と考えてよろしいでしょうか
以上 お忙しい中 恐れ入ります
どうぞよろしくお願い申し上げます!
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「①今後 HER+PER+エリブリン をいつまで続けるのが良いか」
→目標を決めることです。
1.評価で決める。
(もしも腫瘍マーカーが上昇しているなら)「腫瘍マーカーが正常化するまで」
(画像しか評価できないなら)「CTでCRとなるまで」
2.期間で決める。
とりあえず「3か月」とか「半年」とかです。
★だらだらとENDLESSというのは、いけません。
「②現在1投2休になっているが、通常サイクルで頑張れない事はないと思うので、その方が効果が高いと先生がおっしゃるなら頑張ってみようと思います」
→そう思います。
「③評価について、CTは今回必要か(10月にCT撮影済)」
→腫瘍マーカーで評価ができない(マーカーが上昇していない)のですか?
それであれば、主治医のいうように「区切り」には、そのようにしたほうがいいでしょう。
「④「休薬」というのは体調が悪化しない限り「ない」のでしょうか」
→ENDLESSは、現実的に不可能だし、そのような考え方には賛成しません。
ビジョンをもって、「CTで消失するまで」とか「腫瘍マーカーが正常化するまで」など『いい状態で休薬すること』が理想的です。
ただ、(目標達成が困難であれば)「3か月」とか「半年」という期間で休薬しましょう。
「⑤「薬剤を変える時期」は画像上及び、血液検査で明らかな異常が認められた時…と考えてよろしいでしょうか」
→基本的には、そうなります。
質問者様から 【質問4 肺転移】
性別:女性
年齢:53歳
病名:右乳癌術後 左肺転移術後
症状:
前回から1週間しか経っておらず、申し訳ございません
よろしくお願い致します
2点確認させて下さい
a 現在腫瘍マーカーは正常範囲内です
(CEA HER2蛋白定量 CA15-3 の3つしか調べてません
他にこれも!というのがあればご指示下さい)
(骨型酒石酸抵抗性フォスファターゼも調べてますが)
肺の転移巣も昨年5月にオペで取ってますので、今回評価する=休薬する、となると
?近々CT撮影して大丈夫なら休薬(現在までエリブリンは計3ヶ月、ただし1投2休)
もしくは?HER+PER+エリブリン2投1休を あと3ヶ月ぐらい頑張ってからCT撮影(エリブリンは計 半年 となる)
の どちらかですね?
b 現在までの7ヶ月間に
HER+PER+wパクリ12回(減量しながら)
HER+PER+エリブリン6回(1投2休の為)受けています
?前回④番でご回答頂いた「3ヶ月、半年」というのは
状態が良ければ「3ヶ月とか半年、HER+PERも全部休薬する」という意味ですか?
主治医は「状態が良くてもHER+PERはエンドレスで、休薬はしない」と言います
先生の仰る「休薬」は
例えば今回CTも大丈夫、となれば一旦(HER+PERも)全部休薬も可能という意味でしょうか?
?もう3ヶ月ぐらい、エリブリン2投1休で頑張り
そこで再度評価をして状態が良ければ休薬、も ありでしょうか?
?エリブリンを2投1休で頑張りたいですが
白血球が低下するので、難しい場合(確か1段階の減量は既にしていたと思います)
ステージ4の細く長く…の観点からいくと
グランシリンジ等を打ってまでの治療はちょっと違う…でしょうね?
お忙しい中、恐れ入ります
どうぞよろしくお願い申し上げます
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
腫瘍マーカーが正常なのであれば、CTで確認するしかないようです。(腫瘍マーカーはCEAとCA15-3で十分です)
主治医とは意見が違うようですが(再発治療にスタンダードは無いので仕方がありません)私であれば、(エンドレスではなく)ビジョンをもって「3か月間頑張ったら(CTなどで問題なければ)1度休薬」そして、また3か月後に評価(この場合も腫瘍マーカーが正常なのであれば、CTとなります)とします。
★この3か月を(病状的に余裕があれば)「半年」としてもいいのではないか?ということです。
質問者様から 【質問5 】
肺転移術後の今後について
性別:女性
年齢:54歳
病名:右乳がん
症状:
前回、本年2月にもお世話になりました
ありがとうございます
結果の報告と、今後についてお伺いしたいです
サマリー
2014.8月 右側乳がん stage3C
→トリプルネガティブ
2014.9月~ 術前EC+DTX
2015.4月 全摘&右腋窩郭清
2015.6月~ 放射線治療
2018.4月 左肺転移
2018.5月 左肺上葉部切除
→HER2 3+ タイプ
6月~ HER + PER + WPXT(12回)
HER + PER + エリブリン(8回)
2019.7月~ 現在まで 3ヶ月休薬中
結局、エリブリンは2/5と2/12 2週連続頑張ってみましたが
WBCが 1620 (2/26) となり
HER + PER + エリブリン は計8回で終了
(1投2休 の上 減量もあり)
以降は、HER + PER のみで継続
7/2 HER + PER 計19回目を最後に、一旦休薬しています
(副作用の下痢が辛くなってきたのも大きいです)
8月脳MRI 10月PET CTにて画像上、新たな転移を認めませんでした
(腫瘍マーカーはずっと正常範囲内のままです)
本日まで3ヶ月、休薬しております
今後、いつまで休薬しても良いか…思案中です
前回の田澤先生の「3ヶ月 もしくは、病状に余裕があれば6ヶ月 休薬でも…」とのご回答にある様に
「6ヶ月でもいいか…でもちょっと不安な気もする…」という感じです。
(又、副作用の下痢も 休薬しても長く続き、最近ようやく無くなってきたところです)
stage4 にスタンダードはありませんが
再度、田澤先生のご意見をお伺いしたいです
主治医と話しましたが、以前の話と一貫性がなく
(私の様な前例がなく、未知の領域なのは分かりますが)
こちらは混乱するばかりです
どうぞよろしくお願い申し上げます
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「本日まで3ヶ月、休薬しております今後、いつまで休薬しても良いか…思案中」
⇒下痢が気になるなら(下痢はpertuzumabの副作用なのだから)
まずはtrasutuzumab単剤で再開してみては??
質問者様から 【質問6 】
肺転移、その後
性別:女性
年齢:55歳
病名:乳癌 TNB→HER2 タイプ
症状:
投稿日:2020年4月21日
いつもお世話になっております
前回後の経過と、今後についてのご相談です
画像上及び腫瘍マーカーとも問題なく2019.11.5からPER +HERの投与を再開しました
本日202.4.21まで9回(合計28回)
投与しました
4.7撮影の造影CTで、幸い、画像上及び腫瘍マーカーとも問題なかったので、しばらくまた休薬してみようと思います
とりあえず3ヶ月休薬してCT撮影
画像診断上問題なければ、その後また
PER +HER 再々開でよろしいでしょうか?
また異常を認めた場合、薬剤はカドサイラに変更でよろしいでしょうか?
アバスチン+パクリタキセルが良いですか?
お忙しい中恐れ入ります
どうぞよろしくお願い致します
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
「また異常を認めた場合、薬剤はカドサイラに変更でよろしいでしょうか?
アバスチン+パクリタキセルが良いですか?」
⇒重要な視点に欠けているようです。
〇薬剤は「一度使用したら次は使ってはいけない」と思っていますか?(その薬剤投与中に病勢悪化ならば使用しませんが)
そうだとしたら「誤り」です。
「肺転移を切除した以降は画像でもマーカーでも病状悪化はない」ように理解していますが、違いますか?
それであれば、(肺の手術以降に使用した)paclitaxelもeribulinも「病勢悪化を招いていない=効果が十分にきたいできる」薬剤となります。
更に言えば術前に使用したECもDTXも「効果が無かった」と判断することはできません(術後3年、無再発だったのだから)
つまりカドサイラなど持ち出す必要なく
順位としては 1. 「trastuzumab + pertuzumab + Paclitaxel] もしくは
「trastuzumab + pertuzumab + eribulin」
2. 「Bevacizumab + paclitadel」(またはtrastuzumab
emtansine)
3.「EC」もしくは 「trastuzumab + pertuzumab + docetaxel」
(またはTrastuzumab emtansine)
質問者様から 【結果7 】
肺転移術後、その後
性別:女性
年齢:55歳
病名:右乳癌、左肺転移
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]
早々のご回答をありがとうございました!
先生の書いておられる通りで、肺転移術後、幸い今のところ経過が良く、再々休薬出来そう、という事です
先生のご回答は正に「目からウロコ」です
悪化の場合に、今まで使用した薬剤が使えるとは露ほども考えていませんでした
本当に本当にありがとうございました
また希望と勇気が湧いてきました!
<Q&A結果>