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肺の腫瘤影について

[管理番号:5866]
性別:女性
年齢:56歳
ID○○です。
先日は母の手術をして頂き、ありがとうございました。
先生に手術をして頂き、術後は心身ともに元気に過ごしております。
大変感謝しております。
今回市の検診で胸部レントゲンの結果、要精密検査となりました。
少し心配な点があり、
質問させてください。
11月(下旬)日検診にて、胸部レントゲン撮影の結果、「左肺上野腫瘤影、左肺上野びまん性浸潤影、左肺中野びまん性浸潤影」
呼吸器内科を受診してくださいと昨日通知がありました。
7月に左乳房温存術、10月(中旬)日に放射線治療を終え、現在ホルモン療法中です。
照射が終了し2ヶ月立たずの検査のため、照射による影響だとは思いましたがやはり不安になります。
質問ですが、肺の腫瘤影・浸潤影は放射線治療によるものだと考えられますか?
それとも、原発や転移性のものも考えられますか?
先日、左脇のあたりが痛むと言っておりましたが現在は消失し、呼吸器症状も特にありません。
以上になります。
母が乳癌になってから乳がんプラザを毎日拝見し勉強させて頂いております。
これからもよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
当院ではトモセラピーなので、私が赴任して3年半を超えましたが(実際に)1例も放射線肺臓炎は起こっていません。
当院の症例数を考えるとこれはかなり驚異的な数字と言えるでしょう。(仙台時代を振り返ると、年に数件はあったように記憶しています。)
良く患者さんに「(遠方から)通ってくる価値はありますか?(地元でリニアックするのと迷うのです)」と聞かれます。
その際には、
「効果は不明(そもそも予防照射だし、温存乳房内再発自体非常に稀なことなのです)」だけど、「有害事象には明らかな差がある(放射線肺臓炎や皮膚の発赤など)」とお答えしています。
「「左肺上野腫瘤影、左肺上野びまん性浸潤影、左肺中野びまん性浸潤影」
「照射による影響だとは思いましたがやはり不安」
「質問ですが、肺の腫瘤影・浸潤影は放射線治療によるものだと考えられますか?」

⇒これは放射線肺臓炎で間違いないでしょう。
 (カルテで確認しましたが)地元で照射しているので、時期的に全く矛盾しません。
 
「それとも、原発や転移性のものも考えられますか?」
⇒(可能性がゼロとまではいいませんが)それはほぼありません。
 理由は3つ
 1.肺転移は血行性なので(左乳癌だから左肺に起こり易いなはありません)起こるとしたら「たまたま左だけ」というのは不自然(原発もしかり)
 2.時期的に、また所見的に「全く矛盾しない」
 3.術前胸部Xpや(照射した施設でも放射線の治療計画でCTなど撮影した筈ですが)、その時点で全く所見がないのに「癌が2~3カ月で、そこまで拡がる」ことは常識的にありません。
「先日、左脇のあたりが痛むと言っておりました」
⇒これはモンドールでしょう。 
 『今週のコラム 93回目 創部の下が痛い場合には「骨(肋骨)転移?」と、心配されるようです』をご参照ください。
「呼吸器症状も特にありません。」
⇒放射線肺臓炎は(無症状で)たまたま胸部レントゲンで指摘されることもあります。
 この場合には治療(ステロイド)も短期間で済むので、(症状がないことは)無論いいことです。