[管理番号:2051]
性別:女性
年齢:50歳
はじめまして田澤先生。
私は○○県に住む主婦です。
サブタイプの結果はまだはっきりしませんが
はまだはっきりしませんが12月○日にトリプルネガティブの可能性が高い乳癌だと診断され、○○○○病院を紹介して頂きました。
カルテの内容
内容は豊富な膠原繊維質内に異型上皮が策状~不整な管状の構造を取り浸潤しています。
核異型中等~高度の乳管癌です。
広義の硬癌に相当します。
細胞質内または腺腔に粘液の産生を付随しています。
核異型中等からから高等です。
乳管内成分は目立ちません。
波及度は少なくともfです。
HER2はスコア2+KI-67陽性率23、6%というカルテを頂きました。
浸潤度は4×3,4.腫瘍の大きさは1,9cm。
この内容の広義や高度ど言う内容の診断に主人と二人夜も眠れず、死という恐怖に怯えるえる毎日を過ごしています。
そして主治医の先生には術前抗がん剤治療をを進められ、24日PET,25日MR,1月8日かからの3週間置きの8クール抗がん剤治療の開始予定です。
遠隔転移の事も気になります。
全摘手術の予定を組むのには2月になるとの事だったので抗がん剤治療先行で了承しましたが、先生のご意見をお聞きしたくメールを送らせて頂きました。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「この内容の広義や高度ど言う内容の診断に主人と二人夜も眠れず、死という恐怖に怯える」
⇒そんな必要はありません。単なる分類です。
「広義の硬癌に相当」の「広義」という意味は、硬癌には(『最初から硬癌であるタイプ(狭義の硬癌)と乳頭腺管癌から硬癌となるタイプ(これを広義の硬癌(と呼ぶ)の2タイプがある』のです。
質問者は後者に当て嵌まると言うだけの話です。
「核異型中等からから高度です」
⇒これは「顕微鏡の見た目」でしかありません。 心配ありません。
「遠隔転移の事も気になります。」
⇒大丈夫です。
「全摘手術の予定を組むのには2月になるとの事だったので抗がん剤治療先行で了承しましたが、先生のご意見をお聞きしたく」
⇒「質問者が小さくして温存」というつもりでないなら「手術先行」をお勧めします。
「術前抗がん剤が必ず効く筈」と言う考え方は危険なのです。
♯ 手術までの期間が心配なのであれば「日程をにらみながら」1~2回「術前に行う」という手もあります。
質問者様から 【質問2】
田澤先生こんにちは。
その節は私の悩みと沢山の疑問にお答え頂き、本当にありがとうございました。
今月の6日、不安な反面、待ちに待った全ての検査結果を主人と共に聞いてくる事が出来ました。
結果は良い事と悪い事がそれぞれあり、先ずは良い結果はとしてサブタイプはFISH法でHER2陽性となり、しかもCT,MRI,PETでも遠隔転移はみられず、リンパも腫れはあると言われていたものの、画像に映る転移はみられなかったようです。
悪い結果としては、もう片方の左胸にもMRIだけですが影が映った為、
当日針生検を行い、15日の結果待ちという事になりました。
ただ、左胸の腫瘍はエコーではかなり映りづらいらしく、主治医も細胞が取れてるか分からないとおっしゃっていました。
そして左胸のガンが悪性だった場合には全摘になるようです。
今回、予定で言えば私は8日から抗がん剤治療に入る予定でしたが、この左胸の新たなガンの事も考えたら抗がん剤先行が良いとも言い切れず、今月の27日に私の手術先行という希望もあり、右胸の全摘を行なう予定になっております。
その時までに左胸の結果がはっきりしなかった場合、左胸も少し切って細胞を取り出してみるとの事ですが、もし左胸のガンがはっきりした場合は予定を引き延ばし、いっぺんに両胸を全摘するのも視野に入れましょうと言われました。
ただ、私としてはいくら昨年暮れの検査で転移がみられなかったとは言え、右胸の腫瘍の大きさを考えれば更に手術を延期して良いものなのか、逆を言えば左胸がガンだった場合、右の治療が終わるまで左を放置しておいて大丈夫なのか不安です。
主治医は何故、今の状況で私の左胸は悪性だったら全摘だと言ったのでしょうか?私が画像を見たときには薄く拡がっていた様にもみえましたが、私はその事を主治医にはっきり聞くのを忘れてしまい、今不安を感じています。
そして左右のサブタイプが異なった場合、治療法や化学療法も異なると思われますが不安に思います。
最後にもう一つ、私のように両側がガンになる患者の場合、再発や転移になる確率は高くなってしまうのでしょうか?
沢山の質問をいっぺんにしてしまい、私も今の状況を田澤先生に上手く伝えられたのか心配ですがどうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「サブタイプはFISH法でHER2陽性」
⇒解ります。
「抗HER2療法の出現」により、今は「HER2陽性乳癌」の予後は劇的に改善しています。
人類が手に入れた「最良の武器」である「抗HER2療法」を術後にきちんと行う事です。
「CT,PETでも遠隔転移はみられず」
⇒当たり前の事です。
それよりも「無駄な被爆」の原因となっていることを「担当医には自覚」していただきたい。と思います。♯今週のコラム 6回目「無駄どころか、有害なのです。」を参照してください。
「リンパも腫れはあると言われていたものの、画像に映る転移はみられなかったようです。」
⇒おそらく「エコーで腫大」していたが、「造影CTで造影効果が弱い」のではないかと思います。
「悪い結果としては、もう片方の左胸にもMRIだけですが影が映った為、当日針生検を行い、15日の結果待ちという事になりました。」「ただ、左胸の腫瘍はエコーではかなり映りづらい」
⇒「MRI」を撮影すると、「しばしばある」事です。
通常なら「経過観察となる所見」でも、「手術前には(必要なら両側手術した方がいいので)精査へとすすむ」のです。
「良性の可能性の方が高い」とも言えます。
「左胸のガンがはっきりした場合は予定を引き延ばし、いっぺんに両胸を全摘するのも視野に入れましょうと言われました。」
⇒(万が一)両側乳癌ならば、手術は(当然)両側同時となります。
「主治医は何故、今の状況で私の左胸は悪性だったら全摘だと言ったのでしょうか?私が画像を見たときには薄く拡がっていた様にもみえました」
⇒「MRIで(不明瞭ながらも)広範囲」だということでしょう。
「そして左右のサブタイプが異なった場合、治療法や化学療法も異なると思われますが不安に思います。」
⇒心配ありません。
右が「抗HER2療法」なのだから、(他に追加するとしても)「ホルモン療法」しかありません。
「最後にもう一つ、私のように両側がガンになる患者の場合、再発や転移になる確率は高くなってしまうのでしょうか?」
⇒全く「無関係」です。
ご安心ください。
○そもそも「左も癌で有る確率は、それ程高くは無さそう」ですが…
質問者様から 【質問3】
田澤先生こんにちは。
先日はお忙しい中、沢山の質問にお答え頂きありがとうございました。
今日も2,3不安になる事がありご相談させて頂きます。
私はFISH法でHER2陽性が出る可能性は極めて低いと思っていた為、陰性なら田澤先生もブログでおっしゃっている様に手術先行を私自身も強く望んでいました。
ただ、HER2陽性が出てもその気持ちを切り替える事が出来ず、さらにもう片側にガンの疑いが出てきた事で主治医も手術先行を快く承諾してくれました。
けれどもHER2陽性に効く科学療法の薬が今では3つ程あることを知り、でしたら科学療法を試してから手術した方が予後良好だったように思いはじめました。
田澤先生、私の手術先行という選択はどうでしょうか?そしてもし手術先行でこのまま行った場合、術後にもこの3つの薬を試して貰う事は医療上可能なのでしょうか?
しかももう片側がガンだった場合には、主治医の日程上、更に手術日が延期されるそうです。
私のガンは12月○○日の時点で浸潤部分4cm、しこりの部分が1,9cmでした。ただ、一カ月経った現在ではもう少し大きくなった気がします。
このまま治療をせずに2月半ばまで延期してしまうのもとても不安です。
そして3週間くらい前からですが、首から喉にかけて段々んと痛みが出るようになり、脇のリンパも入浴中に石鹸をつけて自分んで触ってみると米粒大の大きさのものが感じ取れるようになりました。
私は12月○○日にCT,○○日にPET ○○日にMRを受けたばかりですが、それでも画像には映らないものが自分の触診で分かるようになってしまうものなのなのでしょうか?私の勘違いでしょうか?
画像診断んが出てからもどんどん日にちは経って来ます。
遠隔転移の事もまた気になりだしました。
申し訳ありませんが、私の不安な点にお答え頂きたく、よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
○皆さんが誤解されていることに「薬剤の適応」というものがあります。
特に「HER2陽性」には(術前術後の治療としては)『ハーセプチンしか使えない』のです。
「pertuzumab パージェタ」「trastuzumab emtansine カドサイラ」などは『転移再発乳癌のみ』の適応となります。
●つまり「術前に抗がん剤を使うと効果が解る」などという医師が居ますが、全く無意味です。
実際のところ「術前術後の補助療法で用いる抗がん剤は決まっていて、選択の余地がない」のです。
回答
「HER2陽性に効く科学療法の薬が今では3つ程あることを知り、でしたら科学療法を試してから手術した方が予後良好だったように思いはじめました。」
⇒根本から「誤り」です。
まず、「pertuzumabもtrastuzumab emtansineも」術前術後治療には『絶対に使えません』
化学療法は「術前、術後どちらに投与しても、予後に影響ない」のです。
「田澤先生、私の手術先行という選択はどうでしょうか?」
⇒手術先行でいいと思います。
(小さくして温存)以外の理由で「術前抗がん剤を行う意味はありません」
「術後にもこの3つの薬を試して貰う事は医療上可能なのでしょうか?」
⇒術前であろうと、術後であろうと、ハーセプチンしか使えません。
「pertuzumabもtrastuzumab emtansineも」絶対に使えません。(不幸にして再発しない限り)
「14日にCT,24日にPET25日にMRを受けたばかりですが、それでも画像には映らないものが自分の触診で分かるようになってしまうものなのなのでしょうか?私の勘違いでしょうか?」
⇒そんな短期間で「変化はない」と思います。
「遠隔転移の事もまた気になりだしました。」
⇒遠隔転移はありません。
心配御無用です。
質問者様から 【質問4】
こんにちは田澤先生。
ご無沙汰しておりましたが先月の○○日に左右両側の胸を全摘し、2日前に無事に退院してまいりました。
やはり1月の
検査で左胸にもガンがあることがはっきりし、両側ならば手術日が延期になるとおっしゃっていたにも拘らず、有り難い事に当初の予定日どおりに手術をして頂けました。
今日は田澤先生に術後の病理検査の報告と、また質問したい事がありメールをさせて頂きました。
右側
乳癌の針生検:浸潤性乳管癌
ERO PRO HER2(2+)
FISHで増幅あり(3.9)
病理検査結果
TNM病期分類 ⅡA期
(pTIc、pNia、cMO、pStageⅡA)
リンパ節転移1個
(センチネル=1/2、レベル1=0/3、レベル2=0/1)
組織型;硬癌 浸潤径18mm
核グレード3、組織学的悪性度Ⅲ
脈管侵襲IyI,vI,(軽度)
左側
乳癌の針生検;日浸潤性乳管癌
ER100% PR90% HER2(0)
病理検査結果 暫定です。
TNM病期分類0期
(pTis,pNO,cMO,pStage0)
リンパ節転移0個(センチネル0/1)
浸潤性乳管癌
狭い範囲で浸潤のある可能性あり追加検討中
術前療法
FEC×4回
ドセタキセル+ハーセプチン×4回
ハーセプチン×14回
放射線治療は不要か?;右胸壁50グレイ/25回
この様な結果と今後の化学療法になる予定ですが、主治医からは放射線治療はしなくても良いと言われ、悩んでいます。
そして私がやりたいと申し出れば放射線治療も可能になるのですが、
22日から科学療法の予定が既に入っているので、放射線を受けるのならばどの段階で受ければ良いのか悩んでいます。
そして私はこの18mmの腫瘍の周りに4cm程のスキャピラがあった筈なのですが、
そのスキャピラが何だったのかを聞くと、もう取ってしまったのだから気にする必要はないと言われました。
主治医の言う通り
気にする必要はないのでしょうか?
そしてもう一つ、私の右胸のグレード、悪性度が気になります。
やはり
ステージ2Aでもこの二つがレベル3だと転移の可能性はかなり上がってしまうのでしょうか?
田澤先生のブログには私と同じような質問もあり、その意見も参考にはさせて頂いていますが、申し訳ありません、私の病理検査を視ての意見をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
右 pT1c(18mm), pN1, NG3, HER2 type
左 pTis, pN0
⇒抗HER2療法の「golden standard」です。
「主治医からは放射線治療はしなくても良いと言われ、悩んでいます。」
⇒リンパ節転移が1個なのだから「不要」と思います。
「放射線を受けるのならばどの段階で受ければ良いのか悩んでいます。」
⇒これは「議論の余地のないところ」です。
「FEC×4回 ドセタキセル+ハーセプチン×4回」⇒★ここで放射線⇒「ハーセプチン×14回」
「そして私はこの18mmの腫瘍の周りに4cm程のスキャピラがあった筈なのですが、
そのスキャピラが何だったのかを聞くと、もう取ってしまったのだから気にする必要はないと言われました。
主治医の言う通り気にする必要はないのでしょうか?」
⇒気にする必要はありません。
「乳管内進展」など「非浸潤癌部分」か「単なる線維化」かどちらかです(浸潤部分ではないようです)
「ステージ2Aでもこの二つがレベル3だと転移の可能性はかなり上がってしまうのでしょうか?」
⇒(レベル3ではなく)「グレード3」ですね。
悪性度(グレード)に拘り過ぎです。
「抗HER2療法を行う」のですから「大船に乗った」つもりで治療を受ければいいのです。
「私の病理検査を視ての意見をお聞かせください。」
⇒全く問題ありません。
左は「非浸潤癌がたまたま」見つかって良かったですね。
それと「抗HER2療法は再発率を半分以下」とします。
全く問題ありません。