[管理番号:788]
性別:女性
年齢:48歳
田澤先生、こんにちは。
7/24に左胸皮下全摘手術(乳首・乳りん温存)、センチネルリンパ生検、同時再建手術を
受けました。7/30に病理診断が出たということで、主治医から説明を聞きましたが、
海外在住で、全てのやりとりが英語。日常生活において言葉には全く困ることは
ないのですが、医学専門用語となると話は別。
5月からプロセスの間、病院から帰宅する度に、日本のサイトを探っては
認識を確認してきました。その折、こちらのサイトを見つけました。
タイトルの通り、予期せぬ病理結果を告げられ
当初は、手術、経口ホルモン薬治療(省けるかも)という説明でしたが
今後の治療方法を模索する中、知識があまりにも浅く
不安を強く感じてしまったので日本語で的確に説明して貰いたい、
先生のオピニオンを仰ぎたいと思い、投稿させて頂いております。
DCISと診断され、先の6/15に7x5cmとInvasive tumore(浸潤)0.9mmを摘出。
Grade 2
Nuclear score : 2
Mitotic score : 1
Tubule score : 3
ER/PR: Positive
Her2 : Negative
Ki67 : 14%
(Luminal A タイプということでしょうか?)
State: 1B pT1mi / pN1mi[sn](7/24)
上記の通り、7/24の手術に於ける病理報告で、
センチネルリンパ#1: 2.5 x 2.2 x 1.4摘出から0.5mmのMicrometastasis見つかり
陽性と診断(1/1)
頭の中で、「DCISなのにリンパに転移?」と混乱しましたが、
先に摘出していたとは云え、浸潤ガン0.9mmがあったこと
2013年11月のマモグラムで要再検査で石灰化してる部分を指摘されていたが
それ以上の処置・治療の要請を告げられなかったことで、放置。
健康保険(職場)が変わったりしたことで、定期的な検診に間が空いたことなど
DCISと診断されながらも浸潤も混在していたことが要因?と
朧気に考えつつも、主治医にも”Unusual” “Very Rare”なケースだと
云われました。
さて、今後の治療方法ですが
主治医からは;腋窩リンパ節の郭清(9月)をし、ホルモン治療(経口薬)
放射線治療は可能性として有る、抗がん剤治療は可能性として有るかもしれないが
現時点ではないと考える
というお話でした。
8/6にOncologyの医師とのカウンセリングがあります。
現時点で、同時再建で胸にはエキスパンダーが入っていますが、
腋窩リンパ節の郭清後、放射線治療は可能ですか?
私は完全なるガン家系なので、これを気にPETも受けたいと考えていますが
エキスパンダーが入っているとMRIは受けられないと認識していますが
いかがでしょう?CTは?
今、私の置かれているガンの症状・状態、予後、
腋窩リンパ節の郭清後の治療方法など
ご説明頂けると有難いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
内容は全て解りました。
pT1mi(0.9mm), pN1mi(0.5mm), luminal A
十分すぎる早期です。
たしかにpT1mi(微小浸潤)で微小転移とは言えリンパ節転移が見つかる事は”Unusual” “Very Rare”と思います。
回答
「腋窩リンパ節の郭清(9月)」
⇒微小転移(0.5mm)では追加郭清は不要だと思います。
日本のガイドラインでは「SLNの転移が微小転移であることが確定できた場合は、腋窩郭清を省略する事が勧められる」推奨グレードBとなっています。
「放射線治療は可能性として有る、抗がん剤治療は可能性として有る」
⇒これは「追加郭清して、複数のリンパ節転移が見つかった場合」の事をいっていると思います。
「腋窩リンパ節の郭清後、放射線治療は可能ですか?」
⇒放射線照射は(そもそも不要だと思いますが)エキスパンダー中はしない方がいいです。
日本では(数カ月後)シリコンインプラントに入れ替え後に照射が行われることが増えています。
「PETも受けたいと考えていますがエキスパンダーが入っているとMRIは受けられないと認識していますがいかがでしょう?CTは?」
⇒これはエキスパンダーにマグネットが使われているからです。(違うタイプもあるかもしれませんが)
CTやPETは大丈夫です。
○私であれば、pT1mi(0.9mm), pN1mi(0.5mm), luminal Aでは
追加郭清も放射線照射もせず、当然化学療法もせず、「術後ホルモン療法(タモキシフェン単独)のみ」とします。
質問者様から 【質問2 追加郭清をしない場合】
田澤先生。早速のご回答有難うございます。
先生の所見を何度も読み、少し気持ちが楽になりました。
主治医からは、あくまで追加で腋窩リンパ節の郭清という方向で
話があったのですが、そこで質問です。
先生の所見の様に、
追加郭清を受けないとした場合、残されてるリンパに転移してるかどうかの検査は具体的にどのようにするのでしょうか?
センチネルリンパの微小転移が0.5mmと小さいから
他のリンパにも転移していたとしても、
ホルモン剤治療で十分治療可能ということでしょうか?
現時点で、1コとは云えリンパを採っているからなのか
左手がしびれた感じがずーっとしてるので、腋窩リンパ節の郭清後の
副作用に不安を感じます。切らずに済むなら避けたいと思うのですが。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「センチネルリンパ節生検での微小転移の取り扱」に関するご質問ですね。
質問者は、多くの方が疑問に持つであろう「潜在的な疑問」を明らかにしていただいたことで感謝します。
この機会に「微小転移で郭清省略がなされる」理由をお話します。
微小転移があった際に「腋窩郭清する群」と「郭清省略する群」で「再発率も生存率にも差が無かった」のです。
「微小転移はセンチネルリンパ節だけで癌が捉えられていて、他のリンパ節へは到達していない」ということを示しています。
回答
「残されてるリンパに転移してるかどうかの検査は具体的にどのようにするのでしょうか?」
⇒画像上は解り様がありません。
定期診察時にチェックすれば十分です。
「センチネルリンパの微小転移が0.5mmと小さいから他のリンパにも転移していたとしても、ホルモン剤治療で十分治療可能ということでしょうか?」
⇒「腋窩郭清をしてもしなくても、再発率は同じ」というデータは
・他のリンパ節に、そもそも転移している可能性が極めて低い。
・(もしも転移していたとしても)「質問者のおっしゃるように」適切な補助療法で制御される。
ということでしょう。
「腋窩リンパ節の郭清後の副作用に不安を感じます。切らずに済むなら避けたいと思うのですが」
⇒そのために「センチネルリンパ節生検は確立」され、「郭清省略についての(上記のような)知見が明らかとなっている」のです。
○pT1mi(0.9mm), pN1mi(0.5mm), luminal Aという状況で「追加郭清」は不要と思います。
質問者様から 【質問3 エストロゲンについて】
田澤先生。こんにちは。
私の希望を後押しして頂けるご回答を有難うございました。
先日、主治医のチーム医療のOncologyの先生に、お会いしました。(初見)
病院を訪れるきっかけを問われるところから始まり、現時点に至るまでのプロセスと
病理検査の結果を踏まえた先生の所見を柔らかな語り口で、ゆっくりと時間を掛けて
質問と応答を交えながら、丁寧にお話して頂きました。
私の診断されたガンは、田澤先生にも仰って頂いた様に、極めて早期ガンであること。
更に、私のガンのタイプは、”Mucinous carcinoma”(粘液性)。
先生曰く、“Rare but Favorable” また”Rare“という言葉を
云われちゃいましたが、暴れん坊ではなく
比較的お行儀の良いタイプだということでした。
NCCNのガイドラインの説明を交えながら、
説明された今後の私のガン治療の見解は、
追加手術(腋窩リンパ節の郭清)は不要。
ホルモン治療も不要**
半年に1度の定期健診を3年間。
とのことでした。
この “ホルモン治療も不要”という意味には、**条件**があって
実は、今回の罹患・治療の以前の今年2月に、長年患っている卵巣嚢腫、
肥大し過ぎて肝臓を突き上げるぐらいまで大きくなっている子宮筋腫、
重度の子宮内膜症、過去3回の開腹手術による副作用で癒着が進んでいるので、
仕事の都合、長期で休みが取れる今年12月に全摘出手術を受けることが
すでに決まっています。(今回の全てのProcedureは、
そちらの婦人科専門Oncologyの先生にもその都度、報告されています。)
私のガン(Luminal A)で、中でもエストロゲンが88.67%と高く、
先生曰く、**手術(婦人科系)を受けることをRecommendする**ということでした。
それによって、残された右胸へのガン発症のリスクを減らせるとのこと。
(因みに右胸は、23・30・44歳の時に乳腺線維腺腫を摘出しています)
先生の説明には、主人共々、十分納得が出来ました。
この報告は、現在休暇中の主治医にもレポートされ、8/27に主治医に会う時に
今後の治療について、再度確認がなされると思います。
今後の展開として、山を越えることが出来た乳がんの治療と
今後予定されてる婦人科系の治療(摘出手術後)は、
エストロゲンに関して云えば相反する位置にあると思われ、
エストロゲンを遮断?(抑える)ことで、
どの様な副作用・後遺症が考えられるでしょうか?
もしくは、具体的な処方薬などがありますか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「0.5mmのMicrometastasis」で「追加郭清は不要」との見解。大変良かったです。
ただし、「エストロゲンについて」は質問者は勘違いされているようです。
回答
「卵巣嚢腫、肥大し過ぎて肝臓を突き上げるぐらいまで大きくなっている子宮筋腫、重度の子宮内膜症」「長期で休みが取れる今年12月に全摘出手術を受ける」
⇒全摘出とは「子宮及び両側卵巣摘出」でしょうか?
両側の卵巣摘出であれば、それにより「エストロゲンが枯渇する」ので、これが立派な「ホルモン療法」となります。
「乳がんの治療と今後予定されてる婦人科系の治療(摘出手術後)は、エストロゲンに関して云えば相反する位置」
⇒これは質問者の勘違いです。
婦人科系の治療(両側卵巣摘出)は「まさに乳癌に対するホルモン療法そのもの」です。
○通常の浸潤癌であれば、「エストロゲンが十分低下」したタイミングで(閉経後のホルモン療法である)アロマターゼインヒビターを始めるところですが、質問者の場合は「0.9mmの浸潤癌」だから、そこまでは不要でしょう。
「エストロゲンを遮断?(抑える)ことで、どの様な副作用・後遺症が考えられるでしょうか?」「もしくは、具体的な処方薬などがありますか?」
⇒これは「更年期障害」です。
婦人科の方で、対処してくれると思います。
日本であれば、漢方なども使われます。