Site Overlay

今後の治療について

[管理番号:5006]
性別:女性
年齢:38歳
はじめまして。
いつも参考にさせて頂いております。
術後の病理結果が出たのですが、今後どのような治療がベストなのか迷ってしまったので田澤先生のご意見を伺わせて下さい。
術式 乳房温存手術
組織型 浸潤性乳管癌(左・内側下部)
大きさ 15×10mm
リンパ節転移 SN(1/2) I(1/16) II(0/6)(リン
パ節郭清しました)
リンパ管侵襲 Iy(+)静脈侵襲 v(-)
レセプター ER 100% PgR 100%
HER2 –
Ki64 29%
核異型 G1
ルミナールA
ステージIIA
断端 陽性
1.5cmの癌は取り切れていたのですが、DCISが広範囲に広がっていたようで乳頭側断端が陽性となりました。
この場合…
追加切除はするべきでしょうか?それとも、放射線治療で大丈夫でしょうか?
リンパ節転移が2つでKi64が29%と微妙なラインだと思うのですが、抗がん剤治療は必要だと思われますか?
ルミナールAなので、抗がん剤治療はあまり意味がないでしょうか?(それとも、ルミナールBに近いのでしょうか?)
リンパ節郭清をしているので、腋の放射線治療はリンパ浮腫の可能性が上がると思うのであまりやりたくはありません。
今後の治療として、
放射線治療とホルモン治療(タモキシフェン)だけで十分なのか?
追加切除をした方が良いのか?
また抗がん剤もやった方が良いのか?(やる場合の抗がん剤の種類と、上乗せ効果はどの位なのか)
田澤先生ならどう診断されるか教えて下さい。
 
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
腋窩郭清していれば、腋窩照射は不要(浮腫のリスクが増すだけ)です。
「1.5cmの癌は取り切れていたのですが、DCISが広範囲に広がっていたようで乳頭側断端が陽性となりました。
 この場合…追加切除はするべきでしょうか?それとも、放射線治療で大丈夫でしょうか?」

⇒本当に陽性であれば、追加切除すべきだとは思います。
 ただ、これだけは執刀医にしかわからないことです。聞いて見ましょう。
「リンパ節転移が2つでKi64が29%と微妙なラインだと思うのですが、抗がん剤治療は必要だと思われますか?」
⇒気になるならOncotypeDXすべきです。
 30以下ならルミナールAの可能性が高いとは言えますが、可能なら確認すべきと思います。
 ♯念のためにコメントしますが、「閉経前、リンパ節転移陽性でもOncotypeDXの適応はあります」(閉経前はリンパ節転移陰性だけが適応だと勘違いしている医師がまだまだ多いので、念のため)
「ルミナールAなので、抗がん剤治療はあまり意味がないでしょうか?(それとも、ルミナールBに近いのでしょうか?)」
⇒それはOncotypeDXしてみないとわかりません。
 Ki67の微妙な数字で判断すべきことではありません。
「リンパ節郭清をしているので、腋の放射線治療はリンパ浮腫の可能性が上がると思うのであまりやりたくはありません。」
⇒当然、必要ありません。
「放射線治療とホルモン治療(タモキシフェン)だけで十分なのか?」
⇒本当に知りたいなら「OncotypeDX」しましょう。
「追加切除をした方が良いのか?」
⇒どの程度なのか全く不明です。
 担当医とよく相談してください。
「また抗がん剤もやった方が良いのか?(やる場合の抗がん剤の種類と、上乗せ効果はどの位なのか)」
⇒それを知りたいならOncotypeDXすべきです。
 NewAdjuvant.comを用いると上乗せは「7%」となりますが…
  これはOncotypeDXを行った場合
   「low risk~intermediate risk」なら0~2,3%
   「high risk」なら10%以上
   これらが混ざった数値なのです。
   つまり質問者の場合に「上乗せが7%」となるわけではないのです。 実際に「3%以下」となるか「10%程度」となるのかはOncotypeDXをしてみないと(自分がどちらなのかは)解らないのです。
 もしも抗癌剤するならTCとなります。
「田澤先生ならどう診断されるか教えて下さい。」
⇒OncotypeDXを勧めます。