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今後の治療方針

[管理番号:3552]
性別:女性
年齢:33歳
はじめまして。
田澤先生、いつも拝見させて頂いてます。
今回は思いきって質問させて頂きたくメールしました。
宜しくお願いします。
7月にしこりが悪性の疑いで組織診をし、エコーやマンモの結果、浸潤性乳管癌でしこりの大きさは2cmあるかないか、リンパ節転移無しと診断され、先月の8月に部分切除、センチネルリンパ節生検をして、センチネルに(医師の説明では、ふりかけぐらいの大きさの)転移1個有り、リンパ節郭清を行いました。
センチネル含め14個とったそうです。
組織診の結果の方には
ER 0(10%)
1+(10%)
2+(20%)
3+(60%) ER-score 3+
PgR 0(10%)
1+(30%)
2+(30%)
3+(30%) PgR-score 3+
Her-2 0(100%)
1+(0%)
2+(0%)
3+(0%) Her 2-score 0
Mib-1 10%
とあり、特に説明は受けてません。
そして昨日、術後の病理の結果をお願いしなんとか貰いましたが、結果の説明はなく、専門用語ばかりで見ても分からないと思いますよと言われましたが。。
現在、治療方針で凄く悩んでおります。
担当医からは、抗がん剤も念のためにやりましょうと言われ、何故か?お聞きしたところ、年齢が若いので再発や転移のリスクを下げる為にと、再発したら根治は難しいと、他、色々と恐怖心が出てくる様な話しをされました。
術後翌日から、抗がん剤を先にと強くすすめられています。
(医師の説明では一番強いタイプの薬だと。)
私は、副作用もそうですが、抗がん剤とゆうものに凄く抵抗があり、また、担当医の若いからと言う説明だけで、正直必要性が分からず、不信感を抱いてしまい躊躇しています。
私は本当に抗がん剤をしなきゃいけない状態なのでしょうか?
それに代わるものは、ないんでしょうか?きっぱり「ありません。」と担当医に言われてしまいましたが。
以下、病理の診断結果です。
確かに専門的で分かりませんし、説明もありませんでしたので田澤先生、解説お願いできますか。
右乳腺Bp+LN
intraductal and scirr,ly1,v0,N-
grade 2,mitosis score1,SN-LN:
(1/1)+non-SN-LN:
(0/13),pT1c,pN1,M0,background:
(fatty),surgical margin:(-),p-
stage llA
A. 右乳房の1時方向のNTD=46mmの
11mm×11×10mmの病変を含む
73mm×71mm×25mmのlumpectomy検体です。
上記部位に管内DCISを基軸に随所でfine
cordalscirrhous invasiveです。
浸潤規模はg +,f+,n-,s-,p-です。
Bloom Richardson分類の修正Elston分類では、腺管形成3点、核異型2点、核分裂1点で合計6点はGrade IIの中分化、中等悪性群に属します。
surgical marginは採り切れています。
自余の領域はlobular and ductal
proliferativeで、周囲は脂肪組織優性型です。
B. AX-LN:negative:(0/7+0/4+0/2
=0/13)
担当医は、こちらから聞かないと説明をしてくれないので、このまま言われるがままの治療に入ってしまっていいのかとても不安で、
納得して治療に挑めません。
この結果から田澤先生は、どのような治療案を出されますか?
セカンドオピニオンを田澤先生のところで受けたく、今日予約の電話をさせて頂いたのですが、なんだか気持ちが落ち着かないので、
先にメールさせて頂きました。
今後、治療開始するにあたり、江戸川病院に転院は可能なのでしょうか?
読みづらくまとまりがない文で本当に申し訳ありません。
お忙しいと思いますが、ご回答いただけたら幸いです。
宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(11mm), pN1, luminalA
担当医の考えには全く賛成できません。
○明らかなluminalAであり、抗ガン剤による「上乗せ効果」は全く期待できません。
 「若いから」とか「リンパ節転移していたから」という理由で「抗ガン剤を勧める」のは時代錯誤も甚だしい。と思います。
 質問者は間違いなく「ホルモン療法単独」です。
 そしてASCOの新しいガイドラインに準拠して「タモキシフェン+LH-RHagonist併用」の適応となります。(33歳だと、SOFT試験でもLH-RHagonistの併用による効果が確認されていますので尚更)
「担当医の若いからと言う説明だけで、正直必要性が分からず、不信感を抱いてしまい躊躇」
⇒質問者が正しい。
 「若いから」など、(質問者のいうように)全く理由になっていません。
 そのような感覚的な理由で「無闇に抗ガン剤を勧める」のは間違いです。(科学的根拠がありません)
「私は本当に抗がん剤をしなきゃいけない状態なのでしょうか?それに代わるものは、ないんでしょうか?」
⇒抗ガン剤は不要です。
 「Mib-1(Ki67) 10%」は間違いなくルミナールAです。
 ルミナールAでは「化学療法による上乗せがない」ことは、様々な臨床試験で明らかとなっています。
 ○もしもOncotypeDXを行えば、「化学療法による上乗せがない」ことは、より明白となります。
「解説お願いできますか。」
⇒要約すれば…
 浸潤径11mm  かなり小さいです。
組織型 硬癌 普通の浸潤性乳管癌です。
 核グレード1(核異型度2 核分裂1) かなり大人しいということです。
 リンパ節転移はセンチネルリンパ節に1個のみで(追加で郭清した)13個には転移
無しです。
 ルミナールA間違いありません。
 ○早期癌でルミナールA 全く抗ガン剤の適応外です。(私なら1秒も迷いませんが…)
「この結果から田澤先生は、どのような治療案を出されますか?」
⇒ホルモン療法(タモキシフェン+LH-RHagonist併用)です。
「今後、治療開始するにあたり、江戸川病院に転院は可能なのでしょうか?」
⇒可能です。
 その方が良さそうです。